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PRスキル5「メディアシンパ形成スキル」

私はこれまでカレーの専門家とともに広報PRコンサルタントとして約20年にわたり、数多くの企業や団体に対してPR指導を300社以上に行い、企業取材を通じて多くの広報活動に携わってきました。その中で、特にメディアに頻繁に取り上げられる企業には、いくつもの共通したスキルや手法が存在することに気づき、まとめています。その実践的なスキルについて、具体的な事例を交えながら詳しくご紹介します。


メディアを味方にし、信頼関係を構築する高度な手法「メディアシンパ形成スキル」

広報活動において、メディアを単なる情報提供先ではなく「シンパ(味方)」にすることができれば、PR効果は飛躍的に高まります。これは高度なスキルですが、一度メディアに「この企業には面白い情報がある」と認識してもらえれば、記者がネタに困った際に「何か良い情報はありませんか?」と頼られる存在になれるのです。この関係性を築くことで、自社のニュースが頻繁に取り上げられ、広報活動がより効果的になります。
ここでは心理学を用いた、いくつかの有効な手法を具体的に紹介したいと思います。


心理学に基づくアプローチ

1単純接触理論(ザイアンスの法則)

広報戦略において特に効果的なのが、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが提唱した「単純接触理論」です。この理論によると、「人間は知らない相手には冷淡で攻撃的だが、接触回数が増えるほど好意を抱く」という心理的傾向があります。これを広報活動に応用することで、メディアとの信頼関係を強化できます。
具体的な実践方法≫
◎時間を見つけて記者に会いに行く
「特に用がないのに訪問するのは気が引ける」と感じるかもしれませんが、情報を手土産にすれば訪問に価値が生まれます。例えば、最近出したプレスリリースに反応がなければ、その関連資料や追加情報を持参して直接説明に行くのも有効です。また、記事を掲載してもらった感謝の意を伝える際に、新たな情報を提供することで、関係が深まります。
定期的な情報交換会を開催する
ある程度関係が築けたら、定期的に情報交換会を開催しましょう。リリースには書ききれない競合他社の動向や市場の最新トレンドを共有することで、記者はより広い視野で業界全体を捉える記事を書くことができます。結果として、自社の情報も自然に取り上げられやすくなります。
リリースに広報担当者の写真を添付する
これはユニークな手法ですが、効果的です。顔を知っている人には親近感を抱きやすく、初対面でもスムーズにコミュニケーションが取れるため、取材依頼や情報提供のハードルが下がります。


2返報性の原理

メディアとの関係構築によく用いるのが「返報性の原理」です。これは「人間は何かを与えられると、そのお返しをしなければならないと感じる」という心理です。メディアは企業から無料で情報を提供される立場にあるため、その恩義を感じ、何かしらの形でお返しをしようとする傾向があります。これを上手に活用することで、記事や番組で自社の情報を取り上げてもらいやすくなります。
返報性を活かす実践方法≫
ネタ帳を提供する
例えば、ある商社では自社の商品を12か月分リスト化し、記者に提供しています。記者は企画を考える際にこのリストを参照し、同社に取材依頼をする流れが生まれます。記者にとってネタ切れの際に役立つリソースを提供することで、自然と取材の機会が増えます。
関係者を紹介する
自社で対応できない取材でも、業界の専門家や大学教授を紹介することで、メディアに感謝されます。記者にとって信頼できる情報源を得られるのは大きなメリットであり、今後の取材でも優先的に情報を取り上げてもらえる可能性が高まります。
業界の取材窓口となる
自社だけでなく、業界全体の取材窓口になることで、メディアとの関係がより強固になります。例えば、私が代表を務めるカレー総合研究所では、メディアに適切な取材相手を紹介しています。このように業界全体を支援することで、自社への取材依頼が増えるだけでなく、業界全体の発展にも貢献できます。


まとめ

メディアとの良好な関係構築が広報の鍵
メディアをシンパにするためには、単なる情報提供者ではなく、「信頼できるパートナー」としての立ち位置を築くことが重要です。心理学の理論を活用しながら、継続的に接触し、価値ある情報を提供し続けることで、メディアとの信頼関係が深まり、結果的に自社の広報効果を最大化できます。ぜひ、この「メディアシンパ形成スキル」を活用し、効果的な広報活動を実現してください。


【参考情報】

井上岳久が講師で広報PRのスキル及びテクニックを伝授する

最高峰の広報研修機関「日本広報教育センター」とは?

日本広報教育センターは、企業の広報力の底上げを目指し、広報パーソンの教育や研修を展開する機関です。
広報の力によって、企業の価値は左右されます。広報を確実に展開させて企業価値を高めるためには、広報の基礎知識と実践力を持った広報パーソンの存在が不可欠ですが、国内にはその育成機関がほとんどありません。
そうした現状を踏まえ、日本広報教育センターでは、次の3つの事業を柱に、成果を出せる広報パーソンを育成していきます。

広報PRは「スキルとテクニックが必須!」をスローガンに掲げ研修及び講座を展開

<主な事業>
・広報PR研修事務局
 ~広報担当者や広報スキルを得たい方などを対象に研修を実施
・PRエキスパート資格
 ~広報の専門家を目指す方やキャリアアップを希望する方などに向けて  認定資格試験を実施
・戦略PR協会
 ~広報PRの専門家や実践者などが行う最前線の広報活動事例の紹介を実施
日本広報教育センター https://nihon-prec.jp/>


◆ 講師紹介:井上岳久氏とは?

実は、井上岳久氏はカレー専門家に加え、戦略広報および戦略PRコンサルティングの分野で長年活躍している、広報界のトップコンサルタントです。最先端の経営戦略である「戦略広報経営」の研究と実践においても第一人者として知られ、その豊富な知識と経験で数多くの企業を支援してきました。中小企業診断士の資格を持ち、慶應義塾大学経済学部を卒業後、事業創造大学院大学では客員教授も務めています。

井上戦略PRコンサルティング代表として活躍中!

これまでに広報に関する著書を20冊以上出版し、コンサルティング支援を行った企業は300社を超えます。さらに、宣伝会議や経営合理化協会、広報専門学校などの教育機関で15年以上にわたり人気講師として教壇に立ち、広報人材の育成に貢献してきました。特に、宣伝会議主催の「広報担当者養成講座」では、広報の基礎から応用までを指導し、多くの企業広報担当者から高い評価を得ています。
その講演活動も非常に活発で、年間120回以上、大手企業の研修や広報講座で登壇し、実践に基づいた広報戦略の重要性と効果的なPR手法を伝えています。井上氏の指導を受けた広報部門は、確実に成果を上げ、企業の成長を支える強力な広報チームへと変革を遂げています。