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東大卒ママと東大女子でパネル対談してみた

 こんにちは、4歳男児を育てながら日系大企業で働く、カレー部長と申します。さる10/21に、母校・東京大学のホームカミングデイイベントとして、東大卒ママと現役女子学生とのパネルディスカッションを主催させていただきました。
 卒業生仲間とのやり取りや、学生さんの素晴らしいお話を通じて、色々思うところがありましたので、この記事を通じて、記録を残したいと思います。


なぜ引き受けたのか

 私は、東大卒ママのコミュニティ「東大ママ門」に所属しています。「東大ママ門」は、同窓組織として、年に一度のホームカミングデイにイベントを実施することを、主な活動内容にしています。運営は毎年交代制のボランティアです。私は2021年に引き続き、本年も代表を務めさせていただきました。
 やりたいと思った理由。それは、BEYOND by ONE JAPAN への参加を通じて、日本のジェンダー平等の現状に、強い課題意識を持つようになったからです。
 私が、半径5mから、日本のDEI 推進に貢献できることはないか。そう考えた時に、所属企業への働きかけと並行して、母校・東京大学のジェンダー平等は、取り組める/取り組むべき課題だと思いました。東京大学の女子学生比率は、2023年現在でも、たった2割。その結果として、霞ヶ関や大企業といった東京大学の卒業生が就職する組織の意思決定者も、今は、多くが男性に偏っています。
 育児をはじめとする「ケア労働」を担った人財が、生き生きとその能力を社会で発揮し、人生も存分に味わえる。そんな理想の実現へ向けて、東大卒ママのエンパワメントは、大きな一歩になると考え、私は2回目の代表を引き受けました。

◾️東大ママ門の詳細はこちら↓
https://twitter.com/mamasUTokyo2018

◾️2021年ホームカミングデイイベント 実施後の感想↓

何をしたか(1) 学生さんと連携

 本年は、東大女子が贈るフリーペーパー「biscUiT(ビスケット)」の運営メンバーの皆様と、オンラインでパネルディスカッションを行いました。学生さんとのコラボは、初めてのことです。
 コラボを企画した理由は、日本のジェンダー平等実現という共通の社会課題に対して、世代を超えて連携したいと思ったからです。
 前掲のとおり、東大の女子学生比率は、依然として2割です。さらに彼女たちはこれから、当時の私たちがそうだったように、ジェンダーギャップ指数125位の日本社会に放り込まれます。そこで、我々コミュニティの知恵と経験を、プレゼントとして、後輩世代に送りたい!我々の知識と経験を、後輩たちを守る盾、後輩たちを導く北極星として、役立ててもらいたいと思いました。

我々の想いに答えてくださったのが、biscUiT の皆さんです。

biscUiTは、2011年4月に創刊された、東大女子が贈るフリーペーパーです。UTはThe University of Tokyoを表しています。
東大女子はどこにいてもマイノリティです。学内でも多数派は男子であり、男子を前提としていろいろな居場所が形成されています。
だからこそbiscUiTは、そんな東大女子にとって女友達と話しているかのような居場所を提供できるフリーペーパーを目指しています。

biscUiT 公式ウェブサイト「About/コンセプト」より

 「女友達と話す場所」という素敵なコンセプトを掲げ、女子学生向けに情報発信しているbiscUiT の皆さん。そんな彼女たちは、私たちにとって「後輩」であり、共にマジョリティに対して働きかけていく「仲間」でもあります。
 私は、このパネルディスカッションを、決して「上から下への」ティーチングスタイルにしたくはありませんでした。もしそうしてしまうと、Z世代の彼女たちが持っているせっかくの知識や経験が、我々先輩世代に還流しないためです。そこで、一緒に未来を良くしていきたい!という思いを込めて、イベントタイトルの「Pass the Batton and Action Forward」を策定しました。

◾️2023年東大ホームカミングデイイベントの詳細はこちら↓

◾️biscUiTの公式サイトはこちら。バックナンバーも読めます↓

何をしたか(2) 卒業生へアンケート

 準備に際しては、コミュニティ全体に広く意見を募りたいと考え、「22歳の私に伝えたい、ああすればよかった!これはしてよかった!」というアンケートを実施しました。かなり個人的な質問をするので、アンケートチーム一丸となって、質問順を考慮したり、趣旨が正しく伝わるよう説明動画を作成するなど、工夫しました。その結果、実に85件、心のこもった回答をいただきました。
そのおかげでイベント本番では、幹事メンバーだけの個人的な意見だけではなく、アンケート結果全体を踏まえて、中身の濃い議論を行うことができました。
 さらに、思わぬ副産物がありました。多くの回答者の方から「このような振り返りの機会がもらえてよかった」「素晴らしい企画だと思った」という温かい励ましをいただいたのです。これには、幹事一同、胸が熱くなりました。

話してみて、どう思ったか

 当日は、biscUiT 3名、東大ママ門2名で、パネルディスカッションを行いました。私は、アルファブロガーのおたまさんと一緒に、東大ママ門側のパネラーを務めさせていただきました。
 印象に残ったことは本当にたくさんあるのですが、この場では、特に心に残ったことを2つだけ、シェアさせていただきます。

当日の様子

Mission, Vision, Value の重要性

 これからの組織は、ますます組織のMission, Vison, Value(MVV)が大事になってくると感じました。学生さんの一人は「仕事内容は、何でも良いと思っている。やっているうちにできるようになると思うし、できるようになったら、きっと何でも楽しいと思うから。それよりも、一緒に居て居心地が良くて、成長できると思える仲間と一緒に働きたい」という趣旨をおっしゃっていました。
 仕事内容ではなく、チーム重視で選びたい。これは、2008年に就職活動した私には、とても新鮮な考え方でした。では、「一緒に居て楽しい」チームは、どのようにしたら選べるか?一つの答えは、チーム内で明文化された行動様式、つまり「Value」とのマッチングだと考えます。

 バリューは、「私たちがこだわりたいことはなにか?」という問いに対する答えだ。仮に合理的でなかったとしても、自分たちがこだわりたい美意識が組織にはあるはずだ。だからバリューには、組織の個性が表れる。

 そしてその組織のこだわりが日常の活動になり、組織がうまく協働するコツをつくっていく。それが蓄積されていくと組織文化になる。ユニークなバリューやその結果としての組織文化がある会社ほど、ビジョンもユニークになり、組織への求心力が高まっていく。

佐宗 邦威『ミッション、ビジョン、バリューの何が違うのか』
https://dhbr.diamond.jp/articles/-/9548?page=2

今回お話した3名の学生さんは、いずれも非常に高い解像度で、自己理解なさっていました。それは例えば、「自分はこういう人生を送りたい」という人生プランや、「私はこれは好き/これは苦手」という、判断基準です。
 これからの若い求職者はきっと、このような自分なりの「Misson, Vision, Value」を確立したうえで、就職活動に望む事例が増えると予想します。つまり就職活動とは、求職者と組織の、MVV マッチングになるのではないでしょうか。
 そんな彼/彼女たちに選ばれる組織であるためには、まず、組織のMVV を明文化することが最も重要と思いました。そして、時に彼/彼女たちを感化しながら、仲間にしていくことが必要だと感じました。

「登った階段を降りられない」悩み

 高学歴ママのならではのお悩みとして、「(海外勤務など)もっとチャレンジングなポジションを目指して働きたいのに(制度/社会通念が障壁となり)できない」というものがあります。私もこのような問題意識のもと、東大ママ門の活動を行っていました。しかし今回初めて、無理してハイキャリアを追求したくはないという悩みがあると知りました。
 学生さんの一人は「自分は卒業したら、大好きな地元に帰って、ライフを重視しながら生きていきたい。けれど、親からは『せっかく東大に行ったのにもったいない』と言われている」という趣旨をおっしゃっていました。一緒にパネル登壇したおたまさんは、この現象を「せっかく登った階段を降りるのがもったいないという感覚」と表現し、これに対して、卒業生からも共感の声が、複数あがったのです。
 確かに「東大卒だから、頑張らないといけない」というプレッシャーは、あると思います。「バリバリ頑張りたい」女性が一定数居ることは素晴らしいですし、そういった女性が能力を遺憾なく発揮できる土壌の形成は、とても重要です。一方で従来の価値観からすると「スロー」な世界線も、あっても良いし、むしろあるべきだと、今回のディスカッションを通じて、強く感じました。

以上

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