大枚はたくなら”なんとなく”では買いたくない。結婚指輪とパキスタンカレー。 #17
何十年も毎日身につける結婚指輪。
夫は、というか98%くらいの男性は結婚指輪なんて不要、もしくは嫁が欲しがるからしょうがなく大枚叩いて指輪をつけさせられる、という感じなんだろうが、事故にあって意識がない時や危ない人が近づいた時などに「この人には連絡する人がいる」というマークになるので、つけていた方が緊急時に何かとメリットはあると思うんだ。
(なんなら独身でも、深夜の帰り道は薬指に指輪をはめると危険予防効果があるんじゃないかと思ってる。)
20代は「結婚指輪はハイブランドのフルエタニティダイヤモンド」が当たり前と思っていたが、30代に職種が営業から企画系の内勤になったことで、自分が身に着ける物が「装備」じゃなくなり、夫と一緒に住むようになってアウトドアブランドを着るようになったり、料理を始めたことで「宝石が付いている指輪」とのギャップを感じるようになった。
年齢を重ねてやっと宝石の似合う素敵な女性になる、というイメージだったが完全に逆行している。人生って不思議。
とりあえず、伊勢丹に入っているジュエリーブランドを総ナメしたが、どれもこれも同じようなデザイン…。ハイブランドであっても宝石が埋まっていなければ、大きな違いがない。。
めちゃつまらん。
似たり寄ったりの丸いワッカの中から1つを選ぶ「理由」がなくて、ずっと買いはぐっていたが、いろいろ探していたらエシカルジュエリーというジャンルを見つけた。
「負の要素がない」っていうのも縁起が良くていいじゃないか!
どうせ何十万円も払うなら、フェアトレードで人に優しい過程を歩んできた物を買いたくなってきたぞ。
清楚ガテン系起業家美人を見つけた
Google先生が教えてくれたエシカルジュエリーブランドをいくつか見たが、店舗に行くと実際には口先だけの商売臭にガッカリした。結局はハイブランドに落ち着くのか…。と諦めかけていた時、
ダントツの透明性で泥臭い活動を一人でこなす美人を見つけたのだ!!
こちらは、私達が結婚指輪を購入したブランド「EARTHRISE」の代表兼ジュエリーデザイナーの星子さん。
しょうこ、と読むのだけど、ずっと「ほしこ」さんと呼んでいる。
星子さんは、自らパキスタンに足を運び、パキスタンで初めての日本人女性起業家としてスワート渓谷に宝石研磨工房を設立した。
サラッと書くと、普通のグローバルな起業家っぽく見えるが、
タリバンは大暴れ、街中では爆破騒ぎ、男尊女卑上等のオラオラな男達が蔓延っていた危険地帯のパキスタン。
各国の諜報機関が暗躍し、自爆テロや誘拐が年に数回程度起きているようなヤバイ場所にひとりで乗り込んで、研磨工房作って女性の自立支援・教育支援をしてるって…
ガテン系すぎない???
いやいや、そんな危ないことをやる人いるの?!
テキスト上ならいくらでも盛れるでしょ、と思ったけど、ちゃんと起業のあらましがブログに掲載されていたので、本気のヤバいガテン系女子だということが判明した。
行動力があるにも程がある。
もう、ちょっとネジがどっかに行っちゃっているのだ。
朝日新聞にも取り上げられちゃうガチ具合。
それでいて、この風貌とふんわりとした雰囲気と喋り方。
ギャップ萌えも甚だしい…!!!!!
しかも、同い年ときたもんだ。
ショップに行く前から、もうここで結婚指輪を買うと決めたよね。
こんなに破天荒なお姉さんが一人でやってるブランドなんて他にないもん。
数十万円するワッカの価値を、わたしはこの人に感じたのだ。
あとは、どうやって結婚指輪に全く興味を持たない夫を乗り気にさせるかが問題だな…と思っていたが。
私はすっかり忘れていた。
「パキスタンカレー」という存在を。
そういえば、富山県の射水市には在日パキスタン人が多く、1日に5食もカレー屋をハシゴするパキスタンカレー巡りをしたこともあった。
\もう、決定じゃん!/
満を辞して来店予約を入れ、無事に指輪を選び、緊張感のほどけた談笑中に、夫が「先週パキスタン大使館に行き、アシュフアク・アハマド・カリル報道参事官の御自宅で奥様の手料理をいただいたんです」という話を出せば、星子さんからも「わ〜!私も先日大使館にお呼ばれしました〜!」というまさかの返答。
「え〜マジで〜www」
の共感ポイントが奇異すぎる。
指輪の相談ついでに、パキスタン旅行用に各地方の治安情勢も聞けちゃうという一石二鳥感。
しかも、新婚旅行のスリランカで指輪のテクスチャー部分に細かい砂が入ってしまったのでクリーニングついでにお土産を渡しに行った時。
職人の植村さんから自宅で収穫したハバネロ(ハバネロって自家栽培できるんだ…)をもらったので、後日カレーにしてお返ししたり、ただの販売者と購入者の関係よりも深い仲になったことも、このブランドで購入してよかった価値の1つ。
結婚指輪の価値は人ぞれぞれだけど、盲目的に名の知れているブランドで購入せずにいろいろ調べてよかった、と毎日結婚指輪をつけるたびに思う今日この頃なのであった。