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【白井未衣子とロボットの日常】5・酔狂の日《9》

※予告なく変更のおそれがあります。
※設定上、残酷な描写があります。


HR形態では、狭い川の中を泳ぐ事は不可能だった。
武人は陸へあがり、建物の屋上を踏み台にしながら、ニシアの跡を追った。
夜で影は薄らとしか見えないが、水の波立ちは視認できた。

(まるで俺に来て欲しいって頼んでるみたいやんか。)
ニシアが何処に向かうか、武人にはわからない。
だが彼女、いやニシアは『オス』だから彼である。
彼の特性を知っていた武人は、場所の目星はつけていた。

(アイツは水中戦に長けてる。この方向やと愛嬌湾が戦いやすいやろう。)
ニシアのHR形態【スイム・ドランク】の形は変幻自在だった。
スケールの大小から数種類の生物まで調整できる。
ロボットのみしか変身しない武人とは大違いだった。

陸に上がってからアレックスには連絡を入れた。
白井3兄妹が戻ってきているので、【パスティーユ】は出撃できる。
だが、それ1体のみ。
[ラストコア]本部では小魚の群れの襲撃があったとの報告だった。
本部には行かんと、と武人は思った。 

ニシアの姿を完全に捉えるのは厳しい。
白井3兄妹への指示が届く範囲には、せめて行かないと。

武人は思考を変えた。
サイレンが流れた今、彼はHR形態へ変身し、猛スピードで愛嬌湾まで飛ぶ事にした。
(先回りでもしとく方がええやろ。奴は逃げる真似はせえへん。宣戦布告しとるし。)

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