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【白井未衣子とロボットの日常】1・正夢の日 《1》
※予告なく変更のおそれがあります。
※設定上、残酷な描写があります。
それは運命だった。
家族ぐるみで遊園地に出かけた時、災害レベルの事件が発生した。
みんなが悲鳴をあげて逃げ回るなか、私は母の腕に抱えられながら、後ろを覗いた。
黒くてでかいものが、戦っている…。
その記憶は、時がたってもずっとこびりついた。
あれから10年の月日がたった。
言葉も行動もおぼつかなかった私は、今は中学生になった。
それでも…いつも似たような夢を見る。
黒い巨大の正体はロボットで、黒髪の男の人が変身して…私達を守ってくれている。
私はずっと、夢の中の男の人を信じている。
夢の話を2人の兄達や祖父母にする。
すると祖母がやめるように言ってきた。怖い顔をして。
「いい加減にしなさい!」と。
私は何度も祖母に怒られているけど、
憧れの男の人の夢を見るのがそんなにいけないの?
怒られる理由がわからないよ。
「お前さあ、婆ちゃんに何でも言うなよ…。」
「何で?」
「婆ちゃん困ってたんだからな。」
「うん…でも、他の夢なんか、見たことないし。」
「そうなんだよなあ…。」
通学途中、私が下の兄で同じ中学生の勇希兄ちゃんと話した内容だった。
勇希兄ちゃんにはいつも忠告されているけど、私は全く気にならない。
自分の見る夢で友達が出来なくなっても、やる事が勉強と読書と家事手伝いしかなくても、気にならない。
しつこいようだけど、私は夢の中の男の人を信じている。
いつの日か、私と出会うのを。