見出し画像

【白井未衣子とロボットの日常】3・糾弾の日《3》

※予告なく変更のおそれがあります。
※設定上、残酷な描写があります。

時間は夜になった。
今日も[ラストコア]内で泊まる予定で、私は基地内を歩いていた。
すると、私は外を眺めている武人兄ちゃんを見つけた。
外と言っても…実際は海底の映像であるが。

「兄ちゃん?」
私は声をかけてみた。
兄ちゃんは気づいて、私の方へ向いた。
沈んでる様な表情だった。
「未衣子か…?」「どうしたの?」
「大した事ないで?未衣子はどうしたんや?」
「今から閲覧室に行って…勉強しようかなって。」
「未衣子は熱心やなぁ…。」
それからは、中々言葉が続かない。
武人兄ちゃんも、あの戦闘が気掛かりなのかもしれない。
当事者だもの、気になるのは当然だよ。
なんとか…気まずい雰囲気を打開しなきゃ…。

「あの…。」「なあ未衣子。」
私は名前を呼ばれた。
この時、自分の体を震わせた。
「お前にとっては、俺はどう映るんや…?」
それって…私からの客観的視点が欲しいの?
私は正直に答えた。
「兄ちゃんは優しい人だよ。命の恩人だよ。」

「そうか…。」
武人兄ちゃんの返答はそれだけだった。
再びの沈黙。会話が続かない。
下手に話題を探しても、不穏な空気を打開するのは難しい。

私が内心焦っていた時。
「なあ、未衣子。」
また兄ちゃんが呼んだ。
「もし、俺が地球を苦しめる敵に回ったとしたら、お前はどうする?」
敵…?私達を助けてくれた武人兄ちゃんが敵に?
[ラストコア]の人達も信頼する兄ちゃんが敵に?
私は、兄ちゃんの言葉が飲み込めなかった。
ただ固まっている私の頬に、武人兄ちゃんの手が伸びた。
手から伝わる、兄ちゃんの熱。
私は答えを出さないといけないのかな、と本気で思った。

でも、私の考えすぎでもあった。
武人兄ちゃんの熱が無くなっていく。
兄ちゃんの手は、私の頬から離れていた。
「いや、気にせんでええ。君らはまだ子供や。もしもの時は宗太郎らに任せるから。」
兄ちゃんはちょっとだけ笑った。
私は答えを出さなくてよかった、と少し安心した。

離れたのは手だけじゃなく、距離もそうだった。
「明日も訓練あるからな、勉強も程々にしい?」
武人兄ちゃんが手を振って、去っていく。
何事もなく。

私は期待に応えられてないのかな…。
だってあの時、何も言えなかったから。
敵になるって聞いて、怖かったから…。
一体、どうすればいいのだろう。
武人兄ちゃんの隣に立つには。

ずっと兄ちゃんの味方でいるの?
でも、敵になったら?
地球を滅ぼす事態になっても味方をするの?
自分の住んでる星なのに?

私の思考はぐちゃぐちゃになっていた。
勉強はしたけど、身についたのかはわからなかった…。

いいなと思ったら応援しよう!