見出し画像

【白井未衣子とロボットの日常】2・復讐の日《4》

※予告なく変更のおそれがあります。
※設定上、残酷な描写があります。


訓練開始から1週間が経った。
3人合同の必修訓練は、私個人の感想だと、辛かったけど楽しかった。
初めの1日2日は、訓練が終わった後にすぐ眠ってしまった。
勇希兄ちゃんが「ご飯食べろよ」と言って起こしに来てくれた。
栄養は大事なんだな…って改めて思ったよ。
つらい経験もあれば、楽しい経験もあったよ。
私達の乗る【パスティーユ】の仕組みや乗りこなしの技術とか…。
外宇宙の知識や教養など、学校や読書で味わえない体験がたくさんあった。
今までに取り組んだ中では、私の目を1番光らせた体験かもしれない。
2人の兄も同じ事言うかも。
訓練終了時、時刻は夕方5時を過ぎていた。
武人兄ちゃんとサポート役の人に「案内したい所がある」と言われ、やってきたのは[ラストコア]の統制制御室。
ここで情報収集したり命令を出したりしているらしい。
この日は西条司令とアレックスさんがいた。

もう1人、計器と格闘しているのか。
つまみを回し続けているお兄さんがいた。
この人はオペレーターさんだった。
「情報が拾えました。宇宙からですね。」
「可能性としたら、宇宙船が近くに佇んでいるな…。」
「解析できるか?」
「大丈夫です。読み上げます。」

『敬愛なる地球人よ。
我々は土星圏ニコンの王家・フレアランスの遣いの者である。
貴殿らとは話し合いの場を持ちたくて、ここにやってきた。
貴殿らに危害を加える事はない。
この電波を拾える者、どうか我々を導いてくださらないか。』

以上、オペレーターさんが読み上げた。
「土星圏か…どう見る黒川。」
アレックスさんが武人兄ちゃんに声をかけた。
「[ホルプレス]のような軍団はいそうにないと思うんやけど、一応確認した方がええなぁ。」
[ホルプレス]。実は私達を襲った敵のロボだって、武人兄ちゃんから教わった。
宇宙ではそこまで強くないらしい。

でも武人兄ちゃんは、
『よう耐えた。乗られへん奴もおるからな。』
と褒めてくれた。

それはさておき、西条司令らは武人兄ちゃんに判断をさせた。
この中で1番宇宙に詳しいのは武人兄ちゃんだからで。
側で私達も、探りを入れるのかな、と考えていた。
「まずは[ホルプレス]共々、HRの奴等と関わってないかチェックや。それを先に電波に乗せや。」
「ああ。そうしよう。確認次第、許可してもいいな。」
「人型やったら余程のことやない限りは、地球を敵視せえへん。もししても防衛線は張れるから大丈夫や。」
私達を見る武人兄ちゃん。
きっと、私達を頼りにしてくれているんだ。
期待に応えなきゃ。

「気に入ったみたいだな。」
「めちゃめちゃ頑張ってくれてる。今までの兵隊さんとは大違いや。」
「…最小限には抑えないとな。期間限定とはいえ、一般人で子供だから。」
アレックスさんは哀しげに言った。

いいなと思ったら応援しよう!