【白井未衣子とロボットの日常】14・忘却の日《6》 1 カレーポーク 2023年11月16日 20:18 ※予告なく変更のおそれがあります。※設定上、残酷な描写があります。「あ、和希君と勇希君ね?」食堂でランチのメニューを眺めていると、後ろからサレンさんに声をかけられた。隣にリュート王子もいた。「今からランチなの?」「そうですが…。」「なら席を広く取るから、一緒に食べましょ?」サレンさんは王子に一言言って、席の方へ向かった。男3人だけで食堂のランチを選んで、出来上がりを待っていた。「未衣子はどうしたのだ?」「彼女にも連絡は取りましたが…勉強が落ち着いてから行くと。」「いくら健康体だったとはいえ、根を詰め込みすぎると身体に毒だぞ。」「俺も…肝に銘じておきます。」兄貴が王子と会話していた。俺も会話に加わろうと、自分から話を切り出した。「王子達は何で今もいるんだ?みんな帰ってるのによ。」「君達の異変を、アレックスから聞いたのでな…。」「変わってるのは…未衣子だけなんだけど。」「家族に不調があれば気遣うのは当たり前ではないのか?」王子がそう言った。俺はそうだな…と王子の発言に納得していた。「私の場合は他にもあるのだが…。未衣子の今の異常性に、我々他星人側から推測できる根拠はないかと尋ねられてな。私とサレン、同じく長期滞在する同朋達と情報共有と交換を行ったのだ。」「俺達がアレックスさんと相談している時にですか?」兄貴が言った。兄貴としては、俺達の対応と同時進行で王子達と掛け合ったんだなあと、想像したんだろうな。そう考えると、アレックスさん大変だと心配してしまう。「私は一般的な素養、サレンは技術士官なのでな…。限られた人員で専門的な情報を入手する事になり、断片的ではあるが…。」王子は言葉に詰まっていた、ように見えた。次に話そうとした内容に、マズい事でも入ってんのかな?と俺も兄貴も思ってた。困惑気味の王子だけど、続きの内容は話してくれた。「些末な事柄でも触れたら申し訳ないのだが…。和希、勇希。君達の両親はどのような人物なのだ?」「え…。」俺は戸惑ってしまった。ここでいきなり、俺達の家族について触れてきたから。「祖父母と一緒に暮らしているって…。」「ああ、そう言えばゆっくり話す機会がありませんでしたね。」動揺する俺の隣で、兄貴が代わりに言った。連戦続きで話してないか、と振り返って思った。「勇希が言ったように、俺達は現在祖父母と暮らしてます。父は健在ですが、単身赴任のような形で仕事してまして…実家には中々帰りません。」「母君は?」母君…お母さんの事か?何で王子が深く聞いてくるんだろうと、俺は混乱していた。兄貴も、ああ…と頭を掻きながら説明を続けた。「俺が10歳の時に、病気で…。」「この世にはいないと。」「そうです。」兄貴の軽い説明で、王子はうむ、と考え込んでいた。だけど王子からの質問は、ここで終わらなかった。質問じゃなくて、頼み事だった。「母君の写真など…記録保存されている媒体は所持していないか?」「媒体?アルバムみたいな?」「…家に探せばあるかもしれませんが…もう7年も前で俺も顔をはっきり覚えていなくて。地球では写真という紙媒体がまだ主流なので、丁寧に保管していないと…。」「…わかった、この話はなかった事にしてくれ。」王子はカウンターで注文したランチを受け取った。「サレンがもうすぐ来る。私は先に席についておく。私達も今は自由な身だ。後からゆっくり雑談でもしよう。」王子はランチを席まで運んでいった。サレンさんの分も出来ていて、後は彼女が取りに来るだけだった。「俺達も何か頼もうか。」兄貴が言ったので、俺もランチを選んで食べていた。 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #つぶやき #妄想 #まとめ #創作1 #ミコロボ 1