【白井未衣子とロボットの日常】14・忘却の日《4》 1 カレーポーク 2023年11月16日 20:11 ※予告なく変更のおそれがあります。※設定上、残酷な描写があります。未衣子は平然としていて、俺達の慌てぶりに首を傾げていた。「ご飯はもちろん食べるぜ!」「その前に未衣子、今わかった事を話したいんだ。『武人兄ちゃん』なんだが…。」兄貴は事実を話そうとした。妹の左肩に手を置いていた。話が途切れたのは、未衣子の反応が割り込んだからだ。え、という声を聞いた俺達は、もしかして夢で彼の行方を見たのだろうか…と推測した。俺達の説明で行方不明の事実が判明し、妹が泣き崩れると予想した。予想は、裏切られた。未衣子本人の、反応後の発言によって。「『武人兄ちゃん』?誰なのその人。新しい家族でも増えたの?」この発言は、逆に俺達に動揺を誘っていた。おかしいと疑った俺達は、もう一度尋ねた。「家族じゃないけど、家族のような存在の『武人兄ちゃん』だぞ。」「知らない。」「お前結構慕ってたじゃねぇか。『武人兄ちゃん』頼りに毎日[ラストコア]に行ってるし。」「知らないわ。」一点張りに『知らない』発言を繰り返した未衣子。冷静さに欠けていた俺は、未衣子の発言に腹が立って声を荒げてしまった。「俺達をからかっているのかよ!あれだけ『武人兄ちゃん』に会いに行きたいが為に、俺達を足として使いやがって!」「お婆ちゃんの言いつけでしょ、仕方ないわ。」「だったら、兄ちゃんの事忘れたとか、平気な顔して言ってんじゃねぇよ!」「忘れたじゃなくて知らないって言ってるでしょ!」俺と未衣子は口論になっていた。大切な存在として扱っていた妹との間に、亀裂が入ってしまった。修復不可能な亀裂を避けるのに、兄貴が仲裁に入った。「落ち着け勇希。まずは整理しよう。…未衣子、俺達の事はわかるか?」「何言ってるの?和希兄ちゃんと勇希兄ちゃんでしょ。」未衣子はさっきの口論のせいか、不機嫌な物言いだった。頭の良い和希兄ちゃんは、未衣子に幾つかの質問を始めた。淡々と答える未衣子を、俺は黙って見ていた。最初は俺達の家族構成から、[ラストコア]の知識まで、ありとあらゆる質問を行った。口に出さないでいた俺だが、質問の合間合間で困惑させられた事もあった。未衣子の答えが影響していた。例えば、「【パスティーユ】の開発者は誰か?」の質問。未衣子はアレックスさん、と答えた。開発者がアレックスさんという答えは正解だ。これはまだいい。問題は次だった。「【パスティーユ】開発に立ち会った人物は?」という質問。これはHRの『武人兄ちゃん』が自分の身体を検査してもらい、擬似的な技術を発明させたと聞かされていた。ところが、未衣子は違う答えを言った。 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #つぶやき #妄想 #まとめ #創作1 #ミコロボ 1