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グッド・バイ、太宰治
電子書籍は苦手だけど、著作権が切れている純文学は無料で読めるから、どんどん読んでる。おもしろいね、やっぱり。今回は、太宰治の『グッド・バイ』を読んだ。
ページ数を見て、へー短いんだ、と思いながら読み進めたら、未完だった。調べたら、『グッド・バイ』は『人間失格』と一緒に、太宰治の最後の作品なのだとか。途中で何回も口角が上がるくらい面白い作品だっただけに、惜しい気持ち。
テキトーあらすじ
ざっくりまとめると、何人もの愛人を持つ主人公が、さすがにこのままじゃダメじゃね?と思った結果、一人一人に対し律儀にお別れを告げていく、というお話。憶測でしかないけど、この主人公は太宰治自身なんじゃないかな、と思った。彼も生前は容姿端麗だったし、小栗旬が演じた映画の中にもあるように何人もの女性を魅了してきた。彼は山崎富江と一緒に入水自殺をする前も、幾度となく自殺を試みているという事実から分かるように、常に「さよなら」と隣にいたんじゃないかと思う。だから、今作品みたいな、一人一人の元恋人とか愛人とかにお別れを告げるようなお話を書いたんじゃないかな、と考えたり考えなかったり。
テキトー感想
この作品を読んで、私の身の回りに重ねてみて、現代の人間関係の希薄さを感じた。『グッド・バイ』の主人公みたいに、今でも浮気をしたり、二股三股したりする人はざらにいる。だけど、その浮気相手たちに対して、この主人公みたいに誠実にお別れを告げよう、と思う人が果たして、今のこの世の中に存在するだろうか。近年では、太宰治の時代の人からしたら考えられないくらいの数の出会いの手段や機会がある。趣味趣向が合う人、雰囲気が好きな人、見た目が好みな人もそう、私たちが関わっていきたい人を「自ら」選べるようになった。例えば、最近のマッチングアプリ。そこで出会って、実際に会って、少しでもうーん、と思ったらもうそれきり。「さよなら」も「ありがとう」も言わずに。そのような出会いを失敗であるとも考えず、反省しようとも思わず、はい次、はい次、と自分の理想を一心不乱に追い求めつづける。自由で便利になっていいところもあるけど、そのような利便性が逆に私たちの人間性やあたたかみを奪っているんじゃないかな。たくさん愛人がいるのは昔も今もいいことだとは言えないけど、人とのつながりの「濃さ」はだんだんと、着実に薄れてきていると思う。