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理念を大切にする京セラは、なぜ大赤字の最下位工場を最上位工場に変貌できたのか?

こんにちは。カレント自動車の取締役の渡辺です。
※私のプロフィールはツイッターをご覧ください

カレント自動車は理念浸透をめちゃめちゃ大事にしている組織です。僕たちはその考え方をまとめた”カレントフィロソフィ手帳”を全メンバーが持っており、日々意見交換をしています。

▲カレントフィロソフィ手帳

カレント自動車の理念、考え方をぜひ皆さんへ伝えたいと思うのですが、他社事例も交えて伝えることで、より深く理解いただけると思い、今回は理念を大切に組織運営をされている京セラを取り上げ、「なぜ大赤字の最下位工場が最上位工場に変貌できたのか?」について書きたいと思います。
※実際に京セラに当時いた方に伺った話です


なぜか?を理解して、原則を徹底する

1984年、創業25年目の京セラ株式会社のエピソードです。北海道北見工場、その工場は1年半前に合併したサイバネット工業の工場だったのです。つまり、そこには京セラ社員はおらず、サイバネット工業の人達ばかりだったとのこと。経営危機に陥り、京セラが救済のために合併したという経緯がありました。

まず京セラ側がやったことは、リーダーにアメーバ経営導入を伝えなければと想い、説明会を開き、いきなり「これから物と伝票は一対一対応でお願いしますね」と言ったそうです。サイバネットだったリーダーの皆さんから「なぜだべさ」と想わぬ言葉を投げつけられました。咄嗟に口に出た言葉が「マニュアルに書いてあるからだべさ」と、なんとも情けない言葉でした。すると、リーダーからは「今のままでいいべさ」と言われました。

▲画像はイメージです

それを聴いて、京セラの方は言ってしまいました。「あっ、そうですか。今のままでいいんですね。ならば、この工場をぶっ潰しましょう」と。ただ、とんでもないことになってしまったと思い、すぐ京都本社の経営管理部長へ電話で報告したそうです。すると、「よかったなぁ」と言われてびっくり。そして、「それは脈がある」とも言われました。

実は同時期、カメラのヤシカとも合併し、同様に説明会をやったところ、誰一人と「それはなぜですか」と聴かず、ただ聞いたふりをしてうんうんと頷くばかりで、言われた通りにはやらなかったそうです。

一方、北見工場ではまず、「なぜだべさ」と言ったのは立派だという訳です。そして、目的をしっかり伝えることができてなかったため、新たなことを始める際には、「まず目的を確り伝えること」、また「もしそうしなければどうなるかを伝えること」という要諦があったと。

それを聴いて、素直にその通りにしてみると、一転リーダーは「なら、わかった」と理解してくれたのです。しかし、実際には決められた通りになかなかやらずに誤魔化すことが度々あり、都度「一対一対応の原則、ダブルチェックの原則を守ってください」と訴え続けフィロソフィ教育に徹した結果、赴任してから5年後に黒字に、10年後には京セラで最上位の工場に大変貌することができたと聞きました。

高い目標を掲げて挑戦するという魂注入への飽くなき浸透活動

その10年の期間では、つくるものが激変した時代です。欧米向けのCBトランシーバーから始まり、パーソナルトランシーバー、アメリカSONYのOEMとして生産していたコードレステレフォン、光ファイバー用コネクター、積層コンデンサー、コンピュータ用HDD、オートフォーカスレンズシャッターカメラ等、ありとあらゆる製品を造り、そして今はスマホです。工場って、何でも造れるんだと驚いたものです。市場が求めるものを造る。それに徹すれば、工場は生き抜けることを学びました。

先述の通り、『なぜか?を理解して、原則を徹底すること』が起死回生の原動力ですが、そこには、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類・社会の進歩発展に貢献すること」という京セラの経営理念の浸透、『志を高く』、高い目標を掲げて挑戦するという魂注入への飽くなき浸透活動があったからこそ北見工場は再生できたのです。

経営理念は仲間と心と力を合わせること

カレント自動車においても毎朝全メンバーで唱和をしている経営理念があります。今の時代、唱和ってかっこわるいって感じる人もいるかも知れません。いや、そんな事ないんですよ。その意味と意義を深く考えること。それを言葉に発すること。言葉に発しないと必ず実現しません。そして、その実践をどうやって行なうかという試行錯誤は、必ず幸運を手繰り寄せ、報われる努力に繋がると信じてやみません。

▲カレントフィロソフィについて意見交換するメンバー

うまくいかないときには不安になることもあるかもしれません。しかし、対策を早く早く、深く深く、もっともっと打っていけば道は拓ける。そう信じて、仲間と心と力を合わせて頑張っていきたいと思ったエピソードでした!

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。また定期的に書いていきたいと思います。

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