アメリカ大学留学の所以
これは楽にかける話のひとつで、前にblogで書いたけれど、blog自体を消してしまったので、こちらでもう一度。
アメリカの大学に行くことを決めたのは、小学校に入る前である。なんだそれは?だが、いわゆる英才教育である。うちの父親は自分が留学したかったけれどできなかった(後日聞いたところによると、勇気がなかったらしいが、ドル高で時代的にも難しかったと思う)タイプで、見栄っ張りでもあるので、"これから小中高、大学までは行ってほしい。大学院に行ってもいい。そして、高校あたりからなら、親元からでなくても、アメリカでもフランスでも(なんでフランスかと言えば、じきに父親はソムリエの資格を取った)、好きなところに行っていい" そういう話だった。私は当時から一石二鳥が好きだったらしく、"英語が中学から始まるなら、高校から留学は早い。でも大学なら同時に英語もできるようになって一石二鳥!"ということで、このときから留学を考えていた。日本の大学に籍を置くことを条件に留学を許してもらった友達もいたから、うちは理解のある親だったということになる。
基本的には、このまま高校生になってしまいました、なのだが、もちろん揺らいだことはある。
高校はある県(じゃないんだけど)一番の進学校で、生徒会長もやっていた。名前を言えば地元はもとより、"親がそのあたり出身で"とか"そこ出身の人が大学にいたな"とか言われる、知名度のある高校だった。外から見ればうらやましい、さぞ安泰だと思われたけれど、ところがどっこい、全然楽しめなかったのだ。
ここの高校生はとにかくプライドが高くて他人を褒めなかったし、野球部で絶対音感だったりと多才で目立ちたがり。中学でトップだった者の寄せ集めなので、しょうがないのかもしれない。場合によっては田舎から下宿していて、町村の英雄扱いだった。7割が理系でその多くが医学部志望、現役合格が前提!高校生活は大学受験と部活のためだけにあるような学校だった。私はその時点ですでに日本の大学に行く気がなく、実際センター試験すら受けていない。
以下の最初の印象が強烈すぎて怖かったし、自信がなかったので(家庭環境由来なので当時はどうしようもなかったのだけど)、卒業後なかなか仕事が決まらない不安定な段階になるまでは、高校がぶっちぎりで人生のどん底だった。卒業したものの、もう一度高校をやり直したいと思いながら帰ったことを思い出す。
忘れもしない、入って最初の実力テスト(実テ)である。これは、"受験よりも勉強したかも"なんて声がある一方、成績には関係ないので、なぜに?と思っていた。私はほぼ勉強せずに行ったけれど、前に座っていた子は目の下にクマをつくり、完全にやつれた様子で来ていた。それを見た友達がかける言葉は"がんばったね"であった。これだけでも十分恐いのだけれど、友達と輪になってお昼を食べているときにその話をしたら、なんだか反応がいまいち。よく見てみれば、いつもきっちりポニーテールの友達は少し毛が出ていたし、ほかの友達も顔に疲れが出ていて…ああ、何も準備しなかったのは私だけなのね、と思った。
ちなみにこの高1初・実力テストには、京大の過去問が出た。そういう学校なのだ。
そして、言ってしまえば、私はasexualであるからして、この時期つきあうことにも興味が持てなかった。実際恋もしなかった。Sexually activeになり始めたクラスメートを見ながら、"今、軽音部に入ると、もれなく先輩彼氏がついてくる!"にしか見えないのに、なんでそんな先輩と寝てるんだ…と思っていた。学校祭を機につきあいはじめた人々や、別れて違う人とつきあっている人を見ても、友達の元彼とつきあったら、友達関係はどうなってるんだ…?と思っていた。いまいち、わからなかった。私はまだ子供でいたかった。
話を戻そう。
これだけ”いい学校”なのに楽しめない。ということは、"いい大学"に行ったところで、楽しめるとは限らない。当時、どん底に自信がなかったので、"私はだめ(な存在)だから、楽しむことはできないだろう"と思っていた。実際のところ、イメージだけどサークルも就活も合わないと思ったし、もうとにかく怖かった。そんな、楽しめる保証のない日本の大学に行くために、必死で勉強する価値ってあるのだろうか。保証も希望もないのに自分を追い込んで、なんだかとても大変そうな受験勉強なんてできるんだろうか。答えはNOだった。それでも日本の大学を考えようかと、本屋で大学カタログ雑誌を見てみたけれど、やはり気になるのは留学制度。選択肢は2つだった。
1. とりあえず日本の大学に行く。最初は中学からの親友もいるので楽しいだろう。ただし、アメリカに行っておけばよかったと後悔する。
2. アメリカに行ってみる。最初はなじめないかもしれないが、1か月程度で友達もできるだろう。果たしてこの時に、日本の大学に行っておけばよかったと思うだろうか。
後悔するのは、どっちだろう。
結局のところ、アメリカに行ってみて、だめだったら帰ってくればいいし、と思い、一か八か行ってみることにした。とても安心する発想だった。
それから後悔したことは一度もない。それどころか、いいことしかないーと言い切っていいだろう。
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