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その1杯が救急搬送を招く!? 酷暑の今年だからこそ急性アルコール中毒にご注意を!

CureApp宋医師が夏の飲酒リスクと対策を解説

 今年の夏は連日危険な暑さが続いております。全世界で熱中症関連のニュースが飛び込んでくる中、7/26に4年に1度の祭典である夏季オリンピックがパリで開幕となりました。ビールを片手にスポーツ観戦することを楽しみにしている方もいらっしゃると思います。しかし、夏は急性アルコール中毒のリスクが高まることが分かっています。悲しい事故が起こらないように、夏を楽しんで過ごすためには、お酒の飲み方に気を付ける必要があります。そんな夏の飲酒のリスクと対策について、CureAppで減酒治療アプリの開発を担当する宋医師が解説致します。

東京で毎年1万人が救急搬送される疾患とは⁉

 夏の飲酒で特に危険なことのひとつが「脱水になりやすいこと」です。アルコールには利尿作用があるので、飲酒により体内の水分が失われてしまいます。また、アルコールを分解するには水分が必要です。夏は発汗によりさらに脱水状態となり熱中症のリスクが高まるうえに、血中のアルコール濃度が上昇し、急性アルコール中毒のリスクも高まります。夏はBBQやビアガーデンなど屋外で飲酒をする機会がありますが、炎天下での飲酒は非常に危険な行為であると認識する必要があります。東京消防庁の調査によると、毎年1万人以上の方が急性アルコール中毒により搬送されています。月別に見ると宴会の多い12月についで、8月の搬送者が多いことが分かっています(図1参照)*1。

また、救急搬送された人を年代別にみると20歳代が抜きんでて多くなっています(図2参照)*1。その理由として、飲酒に関する知識と経験が不足しているため、お酒の適量が分からず無謀な飲酒をしてしまうことがあげられます。急性アルコール中毒になると意識レベルが低下し、嘔吐、呼吸状態の悪化など危険な状態になり、命を落としてしまうこともあります。

夏の飲酒の心得3箇条

 炎天下での飲酒は非常に危険ですので、夏の屋外での飲酒は特に避けた方が良いでしょう。また、屋内であっても夏は既に身体が脱水傾向にあることを踏まえ、いつも以上に健康に配慮した飲み方を意識する必要があります。飲酒する際の注意点をいくつかご説明します。
(1)一気飲みはしない、させない
 通常、血中アルコール濃度が0.02%から0.1%程度でほろ酔い期と呼ばれるリラックスした状態になりますが、0.3%を超えると泥酔期と呼ばれるもうろう状態、0.4%を超えると昏睡期という生命に危険を生じうる状態になります*2。短時間に一気飲みを繰り返すと、自分でも気づかないうちに、ほろ酔い期を通り過ぎて、泥酔期、昏睡期に至ってしまい大変危険です。一気飲みが原因で悲しい事故がこれまでに数多く起こっています。夏は開放的な気分になるものですが、一気飲みはしない、させないと心に留めていただきたいと思います。

(2)あらかじめ量を決めて飲酒する
 自ら飲む量を定めることで、過度な飲酒を避けるなど飲酒行動の改善につながると言われています。行事・イベントなどの場で飲酒する場合も、各自が何をどれくらい飲むかなどそれぞれ自分で決めて飲むことが大切です*3。1日に純アルコール量で60gを超えると多量飲酒とされ、事故や怪我、急な病気の危険性が上がります。
 また、生活習慣病のリスクを高める飲酒は「1日当たりの純アルコール摂取量が男性 40g以上、女性 20g以上」と言われております。飲酒による影響は体格、性別、体質により個人差がありますので、この量であれば絶対に安全とは言えませんが、この量よりも少ない飲酒を心がけることによって飲酒による健康被害のリスクは減らせると考えられます。各酒類に含まれる純アルコール量は商品の裏面に記載されていることもあります。下記の表*4にも大体の目安を示しますので、各自お酒の適量について考える際の参考にしてください。

(3)飲酒前または飲酒中に食事をとる、飲酒の合間に水、または炭酸水を飲む
 飲酒のペースを抑えて、血中のアルコール濃度を上がりにくくする効果があります。

まずは減酒から始めてみましょう

 これまでお伝えした通り、夏は飲酒によって急性アルコール中毒のリスクが高まります。しかし、その他にもアルコールは高血圧、肝障害、様々ながんなど多くの身体疾患の原因であることが分かっています。このような健康被害を防ぐために、重篤な状態に陥る前にまずは飲酒量を減らすことを考えてみてください。お酒のことで悩んだら、かかりつけ医にご相談することをお勧めします。

(1)東京消防庁HP https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kyuu-adv/201312/chudoku/
(2)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-001.html
(3)厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001211974.pdf
(4)厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html