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光をつかめるようになるまで|Artist Interview - 宵月絃 2/5
What’s “Artist Interview” ?
写真のCURBONが、「写真の階段の登り方」をテーマに、活躍中のアーティストにインタビューする連載企画。2020年11月現在は、宵月絃さんのインタビューを公開中です。
四季の記憶を綴るように好きを集めては写している、何処にでもいる花好きのひとり。透明感のある写真が特徴的で、生花だけではなく、自身でドライフラワーも作りながら撮影しSNSに公開している
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--- 写真を撮るとき、大きく2つのタイプに分かれると思うんです。「美しいと思うものがあるからカメラを構えるタイプ」と、「ファインダーを覗くからこそ美しいものを見つけられる、と感じるタイプ」。宵月さんはどちらでしょうか?
うーん。どこかへ出かけたときのことを考えてみると、最初からカメラを構えているわけではない気がします。まわりの風景をぐるっと見渡したり、音楽を聴きながら歩いたり、好きな光や影を探したりして、それからカメラを構えます。
で、ファインダーを覗いたその瞬間に、予想外のものが映り込むときや、美しいものを見つけるときがあるんですよね。「なんだこれ!」だとか「こんなとこに(美しいものが)あったの!?」とか。そういう偶然が面白いです。
--- 今、宵月さん、「光を探す」っておっしゃいましたよね。光を探せるようになること・つかめるようになることって、写真が上達する際にものすごく大切なステップだと思うんです。宵月さんが光をつかめるようになるまでは、何かきっかけがありましたか?
撮りたい理想の写真のイメージが頭の中にあって、「実際に撮るにはどうしたらいいんだろう?」「どこに気をつけたらいいんだろう?」と考えていたことがありました。
SNSをしていると、多くの写真が流れてくるので、撮りたいイメージに近い写真と出会ったときはじっくり見て、どうしたらこういうふうに撮れるのかを考えました。
その写真がどうやって構成されているのか、一つずつ要素を紐解いていって。そうしていくうちに、「もしかして天候や光が大きな理由なのかな」と見つけることができました。
それで、まずは光を意識しながら実際に撮ってみたんです。撮れた写真は、自分の理想とはちょっと違ったんですけど、それでも光がうまくつかめた瞬間があって、「あ、こういうことか!」というふうに理解しました。
だから、光を自覚できていたというよりは、自分の撮りたい写真を撮ろうとしていく中で光を見つけられた、という流れでした。
--- そうだったんですね。あと、少し話が変わってしまうのですが、宵月さんというと紫陽花の写真が印象的です。紫陽花を撮るようになったのはどんなきっかけがあったんでしょうか?
なにか大きな出来事があったわけではなく、気づいたら自然と撮るようになっていました。
でも、始まりといえば、写真を始めて少し経ったころ、近所の紫陽花を見に、毎日通いつめた時期があったんです。「撮りたい」と思うより先に、「紫陽花を見たい」という気持ちで通っていました。
だからじつは、最初のころはカメラさえ持っていってなかったんですよ。
--- なんと……!それは驚きです。
同じ場所でも、紫陽花の表情は毎日違うんですよ。一日ごとに、花の状態が変わっていく。
紫陽花って、基本的に花が落ちないので、咲いたままだんだん枯れていくんです。その、咲いてから枯れるまでの様子を毎日のように見ていました。
「変わる」ということがとても美しいと思えて紫陽花の魅力にハマり、それから写真にも撮るようになりました。
紫陽花は、晴れていても雨が降っていても、どんな天気でも楽しめる花なんです。咲いているあいだ、ずっと楽しめるところがいいなと思います。
それに、ただでさえ紫陽花は品種が多いお花ですし、同じ種類の紫陽花でも、色や模様の出方が違ったりして個性が豊か。群生している中で一本だけ垂れ下がっちゃって、仲間外れのようになっていたり、まわりと同じような咲き方ができない子を見つけて喜んでしまうこともあります。
--- たしかに、一つだけ、ぴょこって咲いてたりしますもんね。紫陽花って。可愛いですし、つい撮っちゃう気持ち、わかります。宵月さんの美しい紫陽花の写真は、紫陽花への愛情深さから生まれていると知って、納得しました。
次回 更新予定記事
写真を「読む」こと|Artist Interview - 宵月絃 3/5
Interviewer / Writer : 片渕ゆり(@yuriponzuu)
大学卒業後、コピーライターとして働いたのち、どうしても長い旅がしたいという思いから退職。2019年9月から旅暮らしをはじめ、TwitterやnoteなどのSNSで旅にまつわる文章や写真を発信している
Editor:伊佐知美(@tomomi_isa)
「旅と写真と文章と」をこよなく愛す編集者、フォトグラファー。日本一周、世界二周、4年間の旅×仕事の日々を経て、2020年夏より日本で一番人口の少ない沖縄県読谷村に移住、海と空とさとうきびに囲まれた暮らしを開始
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