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試行錯誤をひとり重ねた日々。写真と現像を学んだ道のり。|Artist Interview - Yukinori Hasumi 2/6
What’s “Artist Interview” ?
写真のCURBONが、「写真の階段の登り方」をテーマに、活躍中のアーティストにインタビューする連載企画。Hasumi Yukinoriさんのインタビューを公開中です
埼玉県出身。”都市”の魅力を表現することを追求しているフォトグラファー。癒しや安堵を与えてくれる夜の街明かりをアイデンティティとし、東京とニューヨークへの強い愛着を原動力に、”都会への憧れ”を想起させるような作品を創ることを目指している。大学時代に建築を学んでいたことから、近代建築にも造詣が深い
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ーー初めてカメラを手に取った日から10年近く経つとのお話でしたが、写真はずっと独学で学ばれてこられたんでしょうか?
はい、独学です。誰かに習ったことはないですね。
ーー東京に引っ越してきて、社会人になって仕事も忙しい状況のもとでさらにカメラについても新しく学ぶ……って、けっこうハードに聞こえるのですが、正直なところ大変じゃありませんでしたか?
あんまり大変だとは思わなかったですね。
ーー好きだから気にならない?
そうですね、好きなことなら苦にはならないので。むしろ写真がやりたくてしょうがない気持ちでいました。
ーーHasumiさんの中で、撮りたい写真を撮れるようになるまでの道のりはどのようなものでしたか?コンデジから一眼レフに変えたら、すぐに撮りたい写真が撮れるようになりました?
いや、そんなことはなかったです。道のりはだいぶ長かったですね。
ーーぜひその紆余曲折について伺いたいです。
僕が写真を始めた当時は、SNSもまだ普及してなくて。写真を見る機会があんまりなかったんですよね。
だから、お手本となる理想の写真に近づけていくというよりは、自分の撮りたい写真ばかりを撮っていました。
写真を始めて間もないころの作品
ーー誰か上手い人の写真をお手本にするのではなくて、自分の頭の中のイメージをひたすら具現化して写真にしていった、と。
そうでした。そのうち、誰かに見てほしいという欲求が出てきまして。それで、「flickr(海外発祥の写真共有のためのWebサービス)」をやり始めたんですよね。
そこで初めて、「あ、うまい写真ってこういうのなんだ!」というのがわかったんです。そこからは、色んな人の写真を山ほど見ましたね。もう、flickr上のあらゆる写真を。
ーー世界中のいろんな人が撮った写真を見ることで、表現の幅を広げていったのですね。
そうですね。でもじつは、当時の僕、「現像(レタッチ)(※)」っていうプロセスを、最初全然知らなくて(笑)。
※現像(レタッチ):もともとはフィルム用語。現像処理をして、フィルムに写された像を写真=目に見えるようにすることを指したが、デジタルデータが主流となった現在も、撮影した元画像を「Lightroom」等の専用ソフトで編集することも含め、使われている
写真が上手い人は、全員「Photoshop」という、写真編集のほかに精度の高いイラストやデザインなどの工夫もできるソフトウェアで加工してると思ってたんですよ。
だから本も買ってPhotoshopの勉強をして。その後5年くらいは、Photoshopで加工してました。
ーーえっ。一枚一枚、すべてPhotoshopで……!?すごく手間がかかりますよね?
はい、時間をかけて。今となっては良い思い出なんですけどね。
Photoshopで試行錯誤を重ねていたころの作品
ーーその経験があってこそ、今の美しいHasumiさんのお写真があると思うんですけど……それにしてもすごいですね。
数年経って、やっと写真編集の王道ツールである「Lightroom」の存在を知ったという。知ったときは本当にショックでしたね(笑)。衝撃でした。
ーーショックですよね。「みんなこんなに簡単に現像していたんだ!?」って。
Lightroomの存在の次にショックを受けたのは、「プリセット(※)」との出会いでした。「こんなのがあるんだ!」って。
知ってからは、高いお金を出して海外のプリセットを色々買いました。
※プリセット:Lightroom上で、ワンクリックで写真を編集できる機能のこと。スマホアプリでいうところのフィルターに似た機能。
で、自分の写真に(プリセットを)あててみるんですけど、作例みたいに全然ならないんですよね。
ーーああ、そのときの残念な気持ち、よくわかります。
「なんで上手くいかないんだ?」と思って。試行錯誤をして、色々なプリセットをあてては調整して、少しでも理想に近づこうとしていました。
ーーLightroomについての本や上手い人の写真を参考にしながら、自分で試行錯誤を繰り返して今の形になられたという。
はい、そんな感じでした。懐かしいですね。
ーー感覚ではなくて、とことん頭で理解してこられたんですね。
ほぼ毎日Lightroomは触っていました……というか今も毎日触っています。
今思えば、最初のころは、Lightroomの各機能への理解が浅かったんですよね。それぞれのゲージをいじることで何が変化するのかをわかっていなかったので、徹底的に調整したり、極端な表現をしてみたり、とにかく繰り返して今に至ります。
ーーHasumiさんの写真は一日にしてならず、ですね。努力の積み重ねだ。私も精進します……!
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Interviewer / Writer : 片渕ゆり(@yuriponzuu)
大学卒業後、コピーライターとして働いたのち、どうしても長い旅がしたいという思いから退職。2019年9月から旅暮らしをはじめ、TwitterやnoteなどのSNSで旅にまつわる文章や写真を発信している
Editor :伊佐知美(@tomomi_isa)
「旅と写真と文章と」をこよなく愛す編集者、フォトグラファー。日本一周、世界二周、4年間の旅×仕事の日々を経て、2020年夏より日本で一番人口の少ない沖縄県読谷村にて、海と空とさとうきびに囲まれた暮らしを開始
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