はじめての写真集#2〜魅力にふれる〜
「あ、かわいい」
カホちゃんが思わず手に取ったのは、女優・広瀬すずの最新写真集「レジャー・トレジャー」。撮影は、数多くのアーティスト写真を手がけている写真家、奥山由之さんです。
ページをめくるたび、鮮やかな色がつぎつぎと目に飛び込んできます。まるで絵本のような、カラフルで可愛くて、でもどこか懐かしい世界。
「女優さん」というよりは、ひとりの女の子としてそこに存在している広瀬すずちゃん。とてつもない有名人なのに、あどけない顔で笑う姿はなんだかずっと前から知ってる友達のように思えてくるから不思議です。
「お待たせしました」とコーヒーを運んできた店員さんの手が、ふと止まりました。
「その本、置いたばかりなんです。さっそくお客さんに見てもらえて嬉しいですね」心なしか弾んだ声をした彼の胸には「店長」の名札が。
カホちゃんも嬉しくなり、こう答えます。
「テレビで見るすずちゃんと、なんだかまた違う魅力がある気がします」
「広瀬すずさんご自身が、思いを込めてプロデュースした一冊ですからね。それに奥山さんの写真は、フィルムの特性を生かした表現が多彩なんですよね。たとえばこれとか。」
店長が指さした先には、やわらかそうなふわふわ服をまとったすずちゃんの姿が。フィルム特有のザラつきとプリズムのような光が、なんだかノスタルジック。
「この写真集は、衣装の質感と、光の質感に統一感があるんです」と店長。
「統一感……?」カホちゃんが思わず聞き返します。
「衣装の素材と、光の印象を見比べてみてください。やわらかなオーガンジー素材の衣装のときは、ふんわりした逆光の光。カジュアルなお洋服のときは、パキッとした順光や、スタイリッシュな夜景の光。どうです?」
「なるほど」と、隣のさらおちゃんも思わずうなずきます。「今まで気にしてなかったけど、自分たちで撮るときもチャレンジしてみるとおもしろいかもね!」
海外の派手なロケ地をめぐるわけでもなければ、最新機材を駆使しているあるわけでもない。それでも、この一冊の中には「広瀬すず」というひとりの人間の魅力が詰まっています。楽しい夢を見るように、何度もページをめくりたくなる魅力がぎっしり。
「なんだか写真撮りたくなってきちゃったね」と、さらおちゃん。
「帰り道、写ルンですでお互い撮り合う?」と、カホちゃん。
今日も良い写真日和になったみたいですね。
次回はどんな写真集に出会えるでしょう?お楽しみに。
企画:CURBON/ライター:片渕ゆり