この曲のココが気持ちいいぞ!    ~「さよなら夏の日」/山下達郎

「さよなら夏の日」(1991年)/ 山下達郎
作詞・作曲:山下達郎

山下達郎さんの名曲はさぞたくさんたくさんあるのでしょうけど、わたくし世代的には合っていながら、そんなに知らないんです。
あの世代の音楽はほぼサザンで終始したということと、あのやや粘っこい声が苦手だったのかなぁ。
でも、かみさんが買ったベスト盤を車で聴いてると、この歳になって「やっぱすごいなぁ」って思いますね。
「アトムの子」(1992年)とか、オリジナリティ、クリエイティビティがキレッキレ・・。

で、ここでは私の一番好きな「さよなら夏の日」を採り上げたいと思います。
9月に入って夏も終わって、っていうタイミングでこの曲。あまりにベタなのは承知の上ですが、とにかく大好きなんですよ。
なんなんでしょうか、このみずみずしさ、透明感、夏が終わっていく淋しさとすがすがしさ。もうね、聴いてたら夕立の降るプールと虹しか見えん。

 読んで初めて知ったのですが、我らがWikipediaによりますと、

“夏の終わりにガール・フレンドと遊園地(山下の地元である東京都練馬区の「としまえん」(2020年8月閉園))のプールに行った時に夕立に会い、雨上がりの虹を見たという高校生の時の思い出を元に作った曲ゆえ、とても愛着のある作品だという。”

Wikipedia

いや、わかりますよ、アーチストたる者、こういった甘酸っぱい経験をカタチにしてなんぼだとは思いますが、ここまで見事に表現出来るもんでしょうか。まぁ、だから山下達郎なんでしょうけども。見事すぎる。。
Wikipediaはこう続きます。

“また、全ての演奏を自分一人で行った初めてのシングルだというのも、思い入れの強さの一因だとしている。”

Wikipedia

え?そうなのね。何でも弾けるとは思ってたけど、この曲が初めてやったのね。あの夏空に響き渡るようなクレヴァス(で合ってる?)もご自分で?いい音ですよね。
さらにこう続く。

“カウンター・ラインを、当時購入したばかりのハンドベルで演奏している。”

Wikipedia

あれはハンドベルの音なのか。先生なんでハンドベル買ったんやろ?
さっきのクレヴァスも買ったんかな、、。

 で、肝心の「気持ちいいところ」の話ですが、間奏でコリッと半音上がった直後の「♪どうぞ~変わらないで」のとこですよね。

1番の「♪ときが~」、2番の「♪めぐる~」と同じメロディですが、ちょっと凝ったコードを当てて、素晴らしいクライマックスに仕上がってると思います。

 普通はね、いわゆるCメロとかサビとか言われる部分(この曲では「♪ごらん最後の~」のとこ)に最大の盛り上がりを持って来たりするわけですが、この曲は結果的にそうはならず、「♪どうぞ~」のとこが最高潮だと私は思います。

 ではここで、1番の「♪ときが~」のところと、この「♪どうぞ~」のところを、わかりやすくするために同じCキーにして並べてみましょう。

いかがでしょうか、このコードアレンジ!
夕立の空の雲がみるみる退いて、夕焼けの晴れ間がぶぁーーっと開けてくる感じしませんか?俺だけか!?

あともうひとつ言うとすると、各コーラスの最後の「♪行くよ~」のところが、

1回目の「♪行くよ~」は<Ⅱm7-5/Ⅰ>、
2回目の「♪今も~」と3回目の「♪行くよ~」は<Ⅰ>、
4回目の「♪行くよ~」は<Ⅴ#>、

って変えてるのだが、適当に変えてるのではなくて、かなり適材適所に変えてる感があって気持ちいいです。

「君を愛してる 世界中の誰よりも」っていう普通だったら歯の浮くような詞が、落ち着いたテンポとメロディにがっちり乗っかって、まったく暑苦しくないところもいいですよねぇ。
珠玉の名曲。

 

 

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