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厳冬の風景

いま改めて考えてみると、日本は海に囲まれた細長い島国だから、気温が安定しているんだなあと思う。

例えば、むかし旅行した中国の奥地にあるウイグル自治区。ここは世界で最も海が遠い都市で、内陸性気候と言われている。内陸性気候の特徴は、空気が乾燥していて、太陽が出ると気温が一気に上がる。でも太陽が沈んで夜になると、急速に冷え込んでいく。

水は温度が比較的安定しているから、近くに海があると、気温の変化が緩やかになる。逆に海が遠い地域だと、一般的に気温の変動が激しくなるということらしい。


僕が内陸性気候を経験したのは、ドイツの中でも海から遠い地域に住んでいた時。寒暖の差が比較的大きく、特に寒気が入ってくると大変冷え込んだ。最低気温が氷点下10度を大きく下回り、最高気温でも氷点下10度くらい、という日が何日か続くこともあった。昼間でも外を歩いていると、顔が凍りそうになる。

一方で暖気が入ってくると、翌日には気温が一気に前日比でプラス20度くらい上がることも。気温の変化がかなり激しい。

さて、そこまで気温が冷えると、日常生活に何が起こるのか。日常から変化する事柄もある一方で、意外と変わらずいつも通りのものもあって・・。

ということで今回は、ドイツの厳冬期の日常風景について。

<変化するもの>

■ 頭を暖める
外を歩く人の帽子・フードの着用率が上がる。というのも、頭を暖めないと命にかかわるから。僕も冬季は、会社のカバンの中に常にニット帽を入れていた。

■ 川でスケート
川が凍ると、アイススケートを楽しむために人々が集まってくる。

この写真は凍った川。でもまだ12月だったから、スケートができるほどには厚く凍っていない。

■ 湖が凍る
特に水深の浅い湖は凍りやすい。写真は凍った湖の上に立っている息子。そり滑りへ行った帰り。湖が凍ると、木も何もない白くてフラットで広大な地面が広がることになる。

ちなみにこの湖は一周すると2時間ちかくかかる大きさなんだけど、冬季は全面が完全に凍る。

この湖が溶け始めた3月の写真 ↓

ちなみに毎年3月くらいには必ず「凍った湖の上で遊んでいた家族が、氷が割れて湖に落ちた」というニュースが紙面を賑わす。みなさんもお気を付けくださいませ。

■ 湖でアイスホッケー
雪山へ登山にいくと、ふもとの湖でアイスホッケーをしているグループをみかける。

■ そり滑り
極寒である必要はないけれど、雪が降るとみなさんそり滑りへお出かけ。登山との合わせ技で、例えば3時間登山して、40分くらいかけてそりで滑り降りる、という遊びをしている。会社の飲み会のイベントになることも。

■ 雪だるま
日本のものは「だるま」がベースになっているから2段重ね。でもドイツのものは「人」がベースになっているから、3段が主流 ↓

■ 立往生する車
道路の脇で故障して立往生している車が増える。ドイツでは、そういう時に必ず「車の外に出た状態で」故障対応サービスを待たなければいけないと定められている。極寒の中で外で待つのは命にかかわるから、冬場は常に車の中にスキーウェアを常備していた。

■ パリン
ベランダで冷やしておいたビール瓶が凍ってパリンと割れた。アルコールが入っていると少々冷やしても凍らないんだけれど、あまりに気温が下がると凍ってしまって割れる。涙。

<変わらないもの>

■ 建物内の温度
家や職場など、どの建物もセントラルヒーティングで建物全体を暖めているので、とても快適に生活することができる。

■ 爆走する車
路面凍結を恐れず、あくまでもアウトバーンを時速200㎞超で爆走する車たち。ドイツでは法律で秋~春の時期はスタッドレスタイヤに替えておかなければいけない。

■ 夜中の公園
極寒の夜中であっても、公園で集まるアラブ風の若者たち。アラブ系の国では一般に日中が暑いため、涼しい夜に屋外で遊ぶ文化らしく、ドイツでも普段からその行動パターンを踏襲している。たとえ零下十数度の極寒の夜中であっても、屋外で集まってポケットに手を突っ込んでお喋りしている。

■ 涼しい顔
そんな極寒の街の中でも、涼しい顔して自転車に乗っているドイツ人たち。体のつくりが違うから、寒さに強い人が多い。真似できん。

ということで、ドイツの厳冬の風景でした。

by 世界の人に聞いてみた

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