#103 cultbooks collections - manuel ocampo "fear of a kitsch existence"
フィリピンから来た地獄の絵描き、マニュエル・オキャンポの画集です。
彼の画集は全て押さえていますがその中でも一番分厚く大きな画集になります。
オキャンポは1965年生まれで、神聖な図像と俗悪な構図が魅力的な作家です。
彼の暗くて不穏なゴシック絵画は、恐れを清みに昇華させます。
なにしろハーケンクロイツが度々引用されますので、例えばドイツのカッセルで開催されたドクメンタアートショーでは検閲も受けています。
しかし見ればわかるように、これらの絵画は全て逆説批判として機能する装置として仕上げられています。
天才、ポール・バーホーベンの映画「スターシップ・トゥルーパーズ」は無心の若者たちが戦士として洗脳されていくむごさを、一見肯定的に描写することで逆説批判しました。
そしてその映画でさえ表面上なにが起こっているかだけをなぞり戦争肯定映画だとして、とてもたくさんの誤解を受けたそうです。
表現の表層的な表れ方を捉えて作品を攻撃する人は、他ならぬ自己と深く対峙することを恐れています。
あるいは別の言い方をすれば、無邪気に"世界は自己と他者に分かち得るものだ"と早合点しています。
オキャンポはカリフォルニアで暮らしたことがあり、L.A.のアート書店で彼の画集があるかと尋ねたら偶然書店のオーナーとオキャンポは友達でした。
その後アメリカン・フォークアートの棚の前に連れて行かれ、僕の趣味に合う絵描きの画集をたくさん教えてくれました。
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