君は OFFICE CUE を知っているか~私が推したい会社は北海道にある~
久しぶりに本棚から引っ張り出してきた。
古本屋の匂いがするこの本は、オフィスキューの創立20周年を記念して
11年前の2012年に発行された私にとってのバイブルだ。
現 伊藤亜由美社長と 現 鈴井貴之会長が1992年に札幌のマンションの一室から立ち上げた小さなタレント事務所。それが
クリエイティブオフィスキュー。
「北海道ならではのエンターテインメントを届けたい」という想いで、手作りで手探りで唯一無二の楽しさを現在も発信し続けて、昨年30周年を迎えた。
亜由美社長が企画・構成・監修を務めたこの著書には
立ち上げ時に社長だった鈴井貴之氏の実にダメなところが満載されている。
はっきり言ってこの人は、はんかくさい。
言ってる事とやってることが呆れるくらいかみ合っていない。
タレントに支払うお金を持ち出し、すすきので全額飲んでしまったり、無茶な企画を無理矢理初めて失敗したり、タレントに対して厳しいくせに、自分の内面はやたらネガティブだったり。
とにかくダメ人間なのだ。
そんな鈴井貴之氏のダメダメっぷりが詰まっているのがこの二冊。
腹立つくらいダメな奴なんだけど、憎めないんだな。
そのダメ社長(この時点では夫でもある)を、亜由美さんは実に辛抱強く巧みに操り、必死に働き、行動し、人と人とを繋いでいく。
そしてそれを後押しするかのように、大切な時にシンクロニシティが起こる。必ず良い方向へ引き寄せられていくのだ。
そうして現在、従業員90名の芸能事務所となって北海道のエンターテインメントを引っ張っていく存在となっている。
私のnoteに度々出てくる「君はOFFICE CUEを知っているか」というタイトル。
これは全国的にはあまりにもマイナーな、けれどとても素敵なこの事務所を、ひとりでも多くの方に知ってもらいたいという想いからつけたものだ。
推したちが所属している事務所だからということが一番だが、もちろんそれだけではない。
子どもたちが巣立って行き、空の巣症候群とか更年期鬱とかどうにでも病名が付くような状態になり引きこもっていた私が、浮上するきっかけになったのが推しの存在だ。
水曜どうでしょうをリアルタイムで観て、大泉洋ちゃんが大好きになり、チームナックスを知り、深夜の彼らに大笑いし、ある日突然戸次重幸シゲちゃん沼に嵌ってしまった私の話はこちら。
どんなに頑張っても思い通りにならなくて、もっとできるのに もっとやらなくちゃと自分を責めていた頃。
ある時、体の不調が頑張りすぎていたことに気付かせてくれる。
家族以外の人間関係を断ち、仕事も辞めて、家にこもって過ごす日々の中で、唯一私を笑わせてくれたのが「水曜どうでしょう」のDVDだった。
大泉くんのぼやきが私を救ってくれた。
何にもできない自分を認め、この状態になった自分を許せるようになった頃、何気なく応募したチケットが当たった。
それが
水曜どうでしょう祭FESTIVAL in SAPPORO2019
降りしきる雨の中、うれしーのコーヒーを飲みながら、仕事を休んで付き合ってくれた長女と会場を周っている時
Hey!!Do you want to eat pie?(おい、パイ喰わねえか?)バッグを汗だくで売っている亜由美社長を見つけた。
私は亜由美さんを写真でしか見たことがない。にもかかわらず、すぐに社長だ!と分かったのが自分でも不思議だった。
きっとその周りにいた人たちはオフィスキューのスタッフだろう。
社長は誰よりも先頭にたって動いていた。
フィナーレの「1/6の夢旅人」を泣きながら歌って、びしょ濡れで帰ったのはいい思い出。
その後 戸次沼にドボンしてファンクラブ会員になり、イベントに行く回数が増えた。
生の彼らに会うために車を走らせ、会場に着くと待っていてくれるのはオフィスキューのスタッフの方々。
流行り病のせいで顔の半分以上はマスクで隠れているにも関わらず、みんな笑顔なのがわかる。
いつでもあたたかい雰囲気が漂っている。
嫌な思いを一度もしたことがないというのはつまり、接客が良くてファンのマナーも良いってことなのかもしれないと初めの頃は思っていた。
オフィシャルファンクラブサイト ThankCUE+の中にも、2か月に一度来る会報誌の中にもその雰囲気が感じられていたが、
いろんなイベント、舞台に行くうちに少しづつ印象が変わってきた。
もしかしたら、キューのスタッフの皆さんは残らず、キューのタレントのファンなのではないだろうか?と気づいたのだ。
ファンサイトのスタッフダイアリーにあがる所属タレントの素の写真を見ると、関係性が良く分かる。
自分がそうだからこそわかるファン心理。
そこから生まれる企画は、仕事なんだけど仕事じゃないみたいな、大好きなタレントをカッコよく、おもしろく撮りましたよっ見て見てって感じなのだ。
ほら!こんなシゲちゃん待ってたっしょ?
どう?この洋ちゃんカッコよくない?
安田さんにはまた逃げられたんだわ。
もりーだーは今日も元気だべさ。
音尾君は今度は金髪だわ。
ノールは今回もなまらイケてるっしょ?
ってまるで推し友のように、または、おかあちゃんがハンサムな息子を自慢するように、写真や動画を投下してくれるのだ。
そして、こんなにスタッフの露出がある事務所ってあるんだろうか?と思う。
ハナタレナックスの収録に、ダブルブッキングで来られなかった音尾琢真君の代わりに、やっちまったマネージャーが出演するとか、もりーだー(森崎博之リーダー)のラジオ番組のパーソナリティーが歴代事務所スタッフで、それがなまらおもしろかったり、配信の前説もいつもスタッフだ。
ジャンボリーなどのメイキング特典映を観るとよく分かるのだが、絶えまなく笑い声が入っている。
彼らのおもしろくてわくわくすることを作り出す企画力は天才的だ。
そしてそれをスタッフもタレントも一緒になって楽しんでいる。
みんなおもしろいことに真剣なのだ。
スタッフがタレント一人一人を愛し、タレントがスタッフを信頼している。そして何よりファン目線でファンを一番に考えてくれていることが伝わってくる映像を見て、私は幸せになる。
この大手の芸能事務所には絶対できない手づくり感と、ファンを巻き込むものすごい身内感。
そして、スタッフの所属タレントとファンに対する愛。
それが、クリエイティブオフィスキューの最大の魅力だと私は思う。
洋ちゃんが何度紅白の司会をしようと、りーだーが日本の農業を背負って立とうと、安田さんが名俳優と言われようと、音尾君の見た目がどんなに変わろうと、シゲちゃんが仮面ライダー俳優になろうと、
オフィスキューは変わらず北海道で、ファンが観たい素の彼らを輝かせて届けてくれると信じている。
人生最大の挫折と闇の中にいた私を救うために、北海道に在り続けてくれた
タレント愛に溢れ、ファンを愛しファンに愛される会社、それが
クリエイティブオフィスキュー。
この会社がある限り、私は笑い続けていられる。