REO SPEEDWAGONが今年限りでツアー活動を中止するというニュースを見つけた。メンバー間のボタンの掛け違いのようだ。
イリノイ州シャンペーンで結成され、ライブを中心に地道に活動を重ねて苦節10年、「Keep On Loving You」でチャートNo.1に躍り出た。アルバム「Hi Infidelity」は、1981年のビルボード年間チャート1位を記録している。
そのREO SPEEDWAGONのサウンドが結実した、1984年リリースの大ヒット曲「Can't Fight This Feeling」(邦題:「涙のフィーリング」)。
ずっと友達だと思っていた女性に、いつの間にか恋心を抱いてしまった男のせつない心の中を描いた、80's屈指のパワーバラード。
あのイントロでキュンとなる方がいるのではないかと思うが、実は私がそう。特にラジオなんかで突然かかったら鳥肌モノ。ニール・ドーティのピアノとシンセサイザーのイントロから始まり、ケヴィン・クローニンの美しくせつないボーカル、美しいメロディ、片想いの感情が徐々に盛り上がってゆくような展開。そして、ハウリングしそうなパッキンパッキンのゲイリー・リッチラスのギターソロとバッキング、ケヴィンのボーカルと両極で、曲全体と不釣り合いかと思われるが、実にベストマッチ。これは、豊富なライブキャリアを持つ、ハードロックのバンドであるという誇りではないだろうか。
『もうこんな感情と戦うなんでできないよ・・・自分が闘い始めた理由でさえ、今はもう忘れてしまった・・・』
いまさらこんな名曲のエピソードを書くなんて野暮と言われそうだが、もうこんな感情と戦うなんてできないので書いちゃうよ。邦題も野暮なことだし・・・
この曲はボーカリストのケヴィン・クローニン自身の恋愛について歌ったもので、70年代半ばから構想を練っていて、すべての歌詞を書くのに数年かかったという。
曲のコンセプトは、友人グループの一員だった女性に惹かれたときに感じた“心の傷”。
ケヴィンの友人のグループにその女性はいた。その時、彼女はケヴィンの友人と付き合っていた。そのグループで一緒に遊びに行くうちに友達になった彼女とケヴィン、最初のうちは別に恋愛感情はなかったが、彼女と会うたびに、彼女のことを知れば知るほど好きになっていったという。しかし、その時はケヴィンは何も言えなかったそうだ。
後にケヴィンは、この曲を完成させることができたのは、「もうその気持ちと戦うことができず、思いを告げる決断したからだった」と語っている。
感情を抑えられなくなったケヴィンは、意を決してその女性に気持ちを伝えたところ、ふたりは素晴らしい関係を築くことになり、長続きはしなかったが、友人であり続けたという。コレって、本当は失恋なんだよな・・・
何を隠そう、私も高校三年生の時、後ろの席に座っていたM恵ちゃんと同じようなシチュエーションになったのだが、まるでこの曲の歌詞とゲイリーのギターのように恋愛は甘くて苦いものだ。
ビデオクリップは、一人の男性の誕生、成長、結婚し子供が生まれ、その子供の成長・・・夫婦は年老いてゆき、最後は最愛の妻に先立たれるというストーリー。自分くらいの年齢になってくると、このビデオクリップの年老いてゆくケヴィンを見ているとホロリと来ちゃうんだよね・・・
バブル期には、結婚式のキャンドルサービスのBGMの定番となっていたこの名バラード、ヒットする前、REOスピードワゴンの他のメンバーは、「あのくだらないバラード」と呼んでいたらしい。なんて酷い言いぐさ・・・
当時は、軟弱だ、産業ロックだ何だと馬鹿にされていたのも否めないけれど、後になって気づくと好きになっているいう、この曲の歌詞どおりじゃないか。
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