わらび餅と茶碗蒸しの福
ある日のこと。
白金の利庵という店で 大好きな仲間と共に、
チラチラと燻っていたある怒りを肴におそばを頂いていました。
おそばがおいしくて、勢いでズズッと。
その後いさんで食後にわらびもちをお願いしました。
本わらび粉の香り漂う中、切り分けることも難しいほどのぎりぎりのやわらかさに仕上げられたわらびもち。
一口、二口、含んでその食感を確かめるように噛みしめ、味と香りを愉しんでいくのとあいまって、
先程までの怒りの熾火が、うそのように治まっていくのを感じ、驚きました。
忘れようとしたり、無理に消したりするのでなく、もういいや、と手放せていたのです。
何度もいただいているのに、はじめての感覚でした。
もちろん、こんなことで解決するわけのない怒りもたくさんあるとは、思いますが。
きな粉のイソフラボンの効果なのか、やさしい歯ごたえのせいなのかを確かめたくて、
それから何度も作っては口にしています。
固さや甘さを変えたり、わらび粉やきな粉を変えたり。
そしてそのたび口角上がり、笑顔になってしまうのでした。
配合の割合は、わらび粉:水の重さを1:6にするのが気に入っています。
本わらび粉50g、好みの砂糖35g、水1.1/2カップを鍋に入れて透明感がでるまでしっかり練り、冷水にとってから器に分け入れ、お好みのきな粉や蜜を。
トップの写真は丹波黒大豆のきな粉で頂いたもので、うぐいすきな粉や生姜風味の蜜もまた違った美味さです。
わらび餅と同じように頼りにしているのが、茶碗蒸しです。
それも、とろろ汁やあん、じゅんさいなど、とろり〜んとしたトッピングをかけたものを口にすると、なんともホッとする味わいです。
写真は、出汁に塩と薄口醤油で調味した吸い物に、長芋のすりおろしを加えたとろろ汁をのせました。
長芋のほか、刻みえのきや、なめこでも。
濃厚接触者の濃厚接触者になった期間にも、この口溶けと温かさで、幾度となく不安を緩めてもらえました。
食べものには、香りがあり、味わいがあり、さらに目で見るうれしさ、噛むときや飲み込むときの音もあり、それらには確実に人を幸せにする力があります。
まさに、口福。
そしてそれを作るとき、料理するときに、
食べ物の力は触れる手から、そして目からも耳からも鼻からも伝わり、さらに心までも動かしてくれるものと感じるようになりました。
怒りや不安は、できるなら早く手放したいものですね。自分のために。
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