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拝啓あなたへ


また同じ夢を見ていた。

私はあなたと笑い合っていた。
あの頃と同じように。


「別れよう。」

そう告げたのは私の方だった。

窮屈な世界に光を灯してくれたあなたを、私は最も簡単に手放してしまった。

私にはあの頃、1日1日を生きていくのに必死だった。
きっとそれはあなたも同じだっただろう。

何もできないこの世界で、何も理解されないこの世界で、私はあなたと生きていける自信がなかった。

いや、それはただの言い訳なのかもしれない。

自信がなかったのではなく、怖かったのだ。
この世界から、周りから、否定されることに怯えていた。

0か100の考え方しかできない私は、大切な光を自ら消した。

過去に戻れるとしたら…とよく聞かれるけれど、私は迷わずあなたと生きた過去に戻りたい。


あなたはよく私の夢に現れる。

時に現実のようにグサッと胸が痛むようなことを言ってくる時もある。
けどそれはすべて正しいのだ。

私にはそれを受け入れる義務がある。

ただあの頃と同じように笑い合って、何気ない会話をし、何気ない時間を過ごす夢もある。

夢の中にいる私は夢だと感じる。

「どうか、このまま目覚めないで。」

そう願っていても、「ピピピピッ…」

アラームの音で現実に引き戻される。

また目を閉じたら続きを見れるのだろうか。
そう思って瞼を閉じても、もうそこにあなたはいない。

何度も何度もまたあなたと笑い合える日々を願った。

けどもうそれは無理なのだ。

叶わない夢になってしまった。

あの時の選択を変えていれば、今頃私はどう生きていただろうか。

ふとそんなことを考えていたら、辺りは真っ暗になっていた。


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