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CSAからみる畜産業の可能性

今日はアメリカでのCSA(Community Supported Agriculture)
の展開の一例として、畜産業での取り組みについてご紹介したいと
思います。

1. 畜産業をめぐる動向

CSA(Community Supported Agriculture)には、
金銭的な先行投資と、天候などによるリスクを、
生産者と消費者があらかじめシェアする役割があります。
では、農業ではなくて畜産業を考えたときはどうでしょうか?

もちろん、農作物を育てるときもとても手間がかかります。
どちらが大変、と比較することが目的ではありませんが、
動物を育てるということは大変な労力がかかります。
昨今は、食肉の安全性への関心の高まりもあり、
・ホルモン剤や抗生物質の使用有無
・Animal Welfare(動物の尊厳)
・環境負荷
など、消費者が畜産業へ求めるものも多岐に渡ります。

一昔前は、効率性を重視して安価で美味しいお肉を
供給することにフォーカスしていたのが、現在は
動物の尊厳を守ること、病気を起こさないこと、
一方でそこまで値段も高額にならず、美味しさも
追求する。
そんな風に、ケアするべき課題も増えているのが
畜産業界の現状だと思います。

2. 消費者の求めるものは?

一方で、私たち消費者は畜産業に何を求めているのでしょうか?
安心安全なお肉を食べたい。
できるだけ幸せに育てられた命をいただきたい。

ただ一方で、そんなに高い金額は払えない、とも言ってみたり。

そもそもここで考えたいのが、なぜそもそも抗生物質や
ホルモン剤を使っていたのかということです。
広大な土地がある、とはいえない日本で、安価なお肉を
安定的に市場に提供しようとしたら何が起こるでしょうか?
それは小さなスペースで、なるべく回転をあげること。
すなわち成長を早めること。
そこで、身体を大きくすることを主目的に餌を考え、
環境をコントロールし、そして効率性を上げるために
1匹あたりの面積を最小限にし、病気を防ぐために
抗生物質を使用する。
結局、私たち消費者が求めているものが作られているだけ
だとも見ることができます。

3. CSAからみる畜産業の未来の可能性

尊厳のある命をいただきたい。
そう考える畜産業者、消費者が増えています。
私も一時期ヴィーガンでしたが、気候や年齢の変化により
またお肉をいただくようになってから、極力幸せに育てられた
命をいただきたいと思うようになりました。

でも、それを実現するのは並大抵の努力ではできません。
その理由の一つが、どうしても先行投資が大きくなるからです。
動物を育てるのは月日が必要です。
そして、大切に育てようとすればするほど、その育てる
土地であったり、与える食べ物であったり、運動させたり、
それこそペットのように手塩にかけて、慈しんで育てる
労力が必要になります。
機械で管理などもできないので、旅行にだってそうそう行けません。
本当に大変なお仕事だと想像します。

そう感じていた時に、アメリカに引っ越し、CSAを通じた
サポート活動をしていく中で、CSAを利用している
Pasturedの畜産業者さんと知り合いました。
そのかたのインスタを見えていると、動物たちが家族のようで、
本当に楽しそうで。
豚たちが泥水に鼻先を突っ込んでいたり、その生産者さんの
小さなお子さんと戯れていたり。鶏たちも牛たちも、のんびりと
広い敷地の中で、自然のペースで成長しています。
CSAを利用することによりLocalの消費者とパートナーシップを
結んでいるからこそ実現できる、贅沢なFarmなのだと感じています。

その生産者さんは、鶏肉、卵、牛肉、豚肉を取り扱っていて、
中でも特筆すべきは牛肉。
10月と11月に牛肉として実際に消費者に届けられるのですが、
毎年1月に1Shareだいたい600ドル前後で売り出されます。
今回2022年は、なんと9日で売切れ。
牛たちはゆっくりと10ヶ月から11ヶ月程度、時間をかけて
大自然の中でのびのびと育てられます。
もちろん100%グラスフェッドです。
日本だったらどれだけ高くなることか!!

4. まとめ

今回は畜産業界の動向と、畜産業界でのCSA利用による
可能性についてご紹介しました。
一消費者として、安全性を求めるだけではなく、
パートナーとして一緒に尊厳のある動物を育てることも
できます。そして、それは”買い物は投票”という以上に、
動物の尊厳を守る畜産業者さんのビジネスを守ったり、
新規参入者を増やして、畜産業界自体を変える動きにも
なったりします。
日本でもそんな素敵な取り組みが増えたらいいなと願います。

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