カスタマーサクセスの「はじめの一歩」は顧客がやっていることを集めること!
こんにちは。
カラーミーショップカスタマーサクセスチームの藤吉と申します。
簡単な自己紹介はこちら。
今回は、カスタマーサクセスの「はじめの一歩」は顧客がやっていることを集めるというお話です。
ご存じの方は多いと思いますが、現在のカスタマーサクセス事例を見ると、テックタッチよりもハイタッチでの施策事例が非常に多いです。
弊社のカラーミーショップというサービスは、クライアント数が4万店以上なので、ハイタッチは効率が悪く、テックタッチじゃないと成り立たないサービスです。
ただ効果的なテックタッチをしていくには、ハイタッチをして事例をつくり、サポートする型をつくらないと何を提案したら短期間で成功していただけるのかがわからないのです。そこで、期間を絞り、ハイタッチをすることで、サポートする型をつくろうということになりました。
具体的に何をしたかというと、
「売上がまだ発生していないショップさんに架電し、アクセスアップ・初受注のサポートを回数制限なく実施すること」
です。以下、どのような進め方をしたのかをご紹介します。
1.架電サポートをしていくための準備
まずは、誰がどのショップに架電するかを決めるために、まだ受注が発生していない架電リストをつくりました。
ただ、このハイタッチは、長期間、実施するものではないため、salesforceなどのツールは使わずに、簡単にスプレットシートで架電管理表を作成し、私を含む3名で行うことになりました。いったん、3か月実施することとし、
最終ゴールを
「初受注を発生させるショップを10ショップつくる」
にしました。
以上のような準備をして、3名でどんどん架電をしていくわけなんですが、盲目的に架電しても初受注ショップを10件つくることは難しいと考えていました。
なぜなら、売上がないショップを売上があるショップにしていくには、こちらが提案したことを実行してくれるショップじゃないと提案した時間が無駄に終わるからです。そのため、やる気があるショップを探しやすく必要があります。
そこで、架電リストにやる気が高いと思えるデータを表示させることになりました。具体的には、弊社の管理画面に何度もログインしているショップさんの方が、少なくともネットショップ運営にやる気があるとみなされるのではないか?ということで、架電リストに「申込後の初週ログイン回数」「申込後の2週目ログイン回数」などを追加し、回数が多いショップから架電をしていくようにしました。
通常の架電では、通話できる割合として10件電話して、3、4件程度です(架電有効率4割が業界平均)。今回のログイン回数をベースにした架電をした結果、1日の通話率は5割~6割ぐらいになりました。
また架電を重ねていく際に、そのショップさんがどのフェイズにいるのか、どのフェイズに持っていくために、どんな提案をするのかを決めておく必要があったため、フェイズの定義やフェイズごとの件数を見える化しておくことも必要でした。
フェイズの定義は、現状のショップオーナーの状況や過去行った初受注事例を参考に以下のようにしました。
<STEP1>
目標売上と達成の日付を握り、必要なアクセス人数の算出
<STEP2>
SNSをページに追加してもらう(無理ならブログ)、SNSでいいねやフォローのアクションをしてもらう
<STEP3>
SNS広告を掲載してもらう(無理ならGoogle広告)
また最終ゴールの初売上発生ショップ数から逆算して、上記のフェイズごとに、それぞれ何%ぐらいまで移行させるかを大まかに設定し、目標としました。
具体的には、
最終ゴールの初売上発生を10件にする場合、STEP3まで来ているショップを何件つくっておけばいいか?さらにSTEP3のショップをつくるために、STEP2のショップを何件つくっておけばよいか?さらにSTEP1は?全体の通話数は?架電数は?というように、精緻ではないものの、段階で数字を引き上げるための目標を設定しました。
以下は、上記の目標をリアルタイムにわかるようにしたスプレットシートです。今回の施策はあくまでもトライアルなので簡単なものになってます。
2.ゴール達成までのスケジュール作成
さらに時間という問題もあります。ネットショップの売上を上げていく場合、有料の広告などを利用すれば、売上を発生させるのは比較的容易ですが、なかなか有料の施策をやってくれるネットショップオーナーは多くありません。
ネットショップ運営が初めてのショップオーナーほど、まずは無料でできることをメインで考えています。また、弊社のサービスは月額利用料が安価だったり、フリープランという最近出たものは、売上が発生して初めて弊社の手数料が発生するものなので、なかなかネットショップ運営にお金をかけようという方が多くないと肌感覚ですが、思っています。
そこで、無料で売上を上げていく提案がメインとなるのですが、無料で売上を増やす施策は、かなり時間がかかります。ちなみに、無料で売上を上げる施策は、SNSか、SEO対策、ブログなどになります。これらの施策は効果が出るまでに、数カ月以上時間がかかるため、3か月以内に売上を発生させようとしたら、最初の1カ月まで、サポートショップを創出して、サポートをすぐにでも開始していかなければなりません。
以上のように3か月をどのように使って、ゴールを達成させるかのスケジューリングを行いました。具体的には各フェイズごとに最終ゴールを定め、どのくらいの期間でどのくらいまで目標達成していくかの大まかな週間目標をつくりました。
例)4月の週間目標と4月末時点の実績
3.架電をする中でトークを改善する
上記のような準備や目標達成のためのスケジュール作成をする一方で、どんな風に架電トークをするかも考えておく必要があります。そこで、
「カスタマーサクセスチームの〇〇と申します。このたびはお申し込みをいただきまして、誠にありがとうございます。ショップをつくるにあたり、何かご不明点はございませんか?」
というトークパターンをつくり、実際に架電していくことにしました。ところが、このトークには2つの欠点がありました。
1つ目は、ショップーオーナーに不明点がない場合、サポートに至らないという欠点です。実際に架電をしてみると、「急に今、不明点と言われても何も出てこないよ」という方が結構いたのです。
2つ目は、不明点を解決するのに時間がかかり、本来の提案にまで至らないという欠点です。こちらがやりたいことは、以下のフェイズのように、
・第1フェイズ:いつまでにいくら売り上げをつくりたいかを決めてもらう
・第2フェイズ:SNSやSEOなどの集客を開始する
・第3フェイズ:SNSやSEOなどの集客を継続利用してもらう
という3段階でオーナーさんに動いてもらおうと考えていたため、不明点を解消する段階は極力すっとばしたいと思っていました。
不明点の解消よりも、集客策を一緒に考えていくサポートをしないと売上発生に短期間ではつながらないからです。ところが、不明点を解決した途端、次の提案を聞いてもらえずに架電終了となるパターンも多く、効率が悪いと感じました。
今回の架電は私を含む3名で行ったのですが、1人のメンバーが、このトークだと話を聞いてもらいやすいと情報共有してくれたので、その人のトークに改善することになりました。
そのトークは、このような内容です。
「お世話になっております。カラーミーショップの藤吉と申します。
この度はカラーミーショップのご利用ありがとうございます。わたしども、ショップさまのサポートをしているチームなのですが、現状の課題やご不明点などのフォローをさせていただければと思いまして、ご連絡いたしました。今、少しお時間よろしいでしょうか?」
以前のトークは、本題を伝えていないがために、御用聞きのようなサポートになっていましたが、堂々と集客アップ・売上アップのアドバイスをいたしますと伝えることで、やる気があって、話を聞いてくれるショップオーナーが見つけやすくなりました。
ちょっとトークが長いのが玉に瑕ですが、最初に長くても本題をきっちり伝え、話を続けても良いかを相手に判断させることは、テストクロージングになると後々わかりました。
4.不在時用のメールテンプレートの活用
架電をしていくと、このショップにサポートしたいなというショップが出てきます。ところが、お電話しても不在でお話ができない場合も多々出てきます。
そこで、お電話した際に、不在だった場合に送る用のメールテンプレートを活用することで、どこの誰がどのような用件でお電話をしたのかをわかりやすくしました。
誰だって、いきなり知らない番号がから電話がかかってきたら出たくないですね。さらにネットショップをオープンすると、どこから知られたのかわからないですが、SEOの代行会社などから営業電話がかかってくることが多々あるそうなので、電話自体に不信感を持つショップオーナーも多いのです。
そこで、以下のような不在メールを送ることで、どこの誰からの電話だったのかをオーナーに知らせることができます。弊社ではZENDESKを導入しているため、テンプレートを作成しておけば、ワンクリックでメール送信ができました。
例)不在メール
ちなみに、この不在メールを送っておくと、後日電話をして通話できたときに話が早かったり、電話のアポ獲得にもつながりやすいため架電をする際は、必ず実施した方がよいです。
5.架電サポートをしても売上が発生しない?
以上のように架電管理シートをもちい、トークも改善しつつ、不在ショップにはメールを送ることで、ある程度のショップさまと通話することができました。そして、1回だけ通話してもすぐに成果が出ることは稀なので、複数回サポート電話をしていきました。
ところが、売上発生ショップが一向に増えないのです。今回の架電では、3段階のフェイズに分けて提案をしてきたのですが、途中で電話がつながらなくなったり、こちらが提案したことを実行してくれても売れないのです。
提案している内容は、一般的なネットショップで売上を上げていくステップに基づいたものなので、効果がないということはないのですが、結局売れないのです。もちろん、急にポロっと売れるショップも数店舗出てきたのですが、こちらが提案した内容ではない方法で売れている状況でした。
そこで始めたことが、成功事例の収集です。今回の施策では、主にSNSで売上を増やしましょうと提案をしてきたのですが、どのSNSで、何をどのくらいやったら効果が出るのかといった、生の成功情報を具体的に集めることにしました。実際に成功事例を集めた方法は以下で詳しくお話しています。ご興味がある方はご覧ください。
上記のような方法で集めたノウハウをそのまま提案していったところ、初売上を発生させるショップが出てきました。
そのショップは、
・ショップオープンしてから4カ月目
・商材は家の中で使える装飾グッズ
・行動力があるオーナーさん
でした。
ハイタッチサポートを行った初月は、ブログでアクセスを増やす方法をご提案し、実際にその月にブログをつくり記事投稿をしてくれました。
その後、ハイタッチサポート2カ月目では、なかなかアクセスが増えてこないので、ブログの記事を増やしてもらいつつ、SNSのインスタグラムで投稿をして、フォロワーを増やすことを提案しました。オーナーも提案に納得して、ブログ記事の投稿やインスタグラムの投稿を頻度多めに行ってくださいました。でもアクセスは微増、売上はゼロ円でした。
さらにハイタッチサポート3か月目に入りました。この時期は、インスタグラムやブログの投稿頻度が下がってきており、「売上はもう発生しないのでは?」と疑念をもっていらっしゃいました。このとき、先ほどお話した成功事例が集め終わったタイミングだったので、具体的な手順や事例オーナーさんが気を付けていることをお伝えしました。
その後、初売上がやっと発生しました。Instagram経由での受注であったため、こちらとしては狙い通りでした。
以上がハイタッチで型をつくる方法になります。
ただこの後も課題が出てきました。それはInstagramが自社には向かないといったショップ商材の場合、効果のある提案できないことです。
Instagramでの初受注の型は作ったものの、それに当てはまらない場合の型が必要になりました。今期はInstagramの型の展開とInstagram以外の型をつくるための事例収集を並行して進めています。