【14】化学物質過敏症 緩和のために姉が実際に行ったこと
これまで、化学物質過敏症(CS)について、
原因と症状について触れてきたのですが、
姉がCSになってから、実際に行ったことを書きます。
現在困っている方の参考になれば、
それからCSではない私たちにとっても
毎日の生活のヒントがあるのではないかと思います。
特に4)の咬筋と側頭筋のマッサージは
CS、ESの方以外の頭痛持ちの方にもぜひみてほしい内容です。
1)全ての化学物質から距離をとる
2)自宅で使用する物を見直す
3)ヨガをはじめる。アーユルヴェーダの考え方を身につける
4)理解してくれる医師を見つける。咬筋と側頭筋のマッサージをする
1)全ての化学物質から距離をとる
(家庭内から撤去した化学物質)
合成洗濯洗剤 NANOX 、おふろのルック、マイペット、ガラスマジックリン
中性洗剤ヤシノミ洗剤、台所洗剤ジョイ、カビキラー、ファブリーズ、ヘアケア剤、ヘアムース、ワックス、化粧品、制汗剤など、
CSになった姉は
良くも悪くも"有害化学物質人体センサー"になり、
鼻は効くし近づくと頭痛がするので、
有害物質を察知、判別できるようになり、
まずは頭痛の原因の可能性のあるものを
全部二重にジップロック袋に入れてしまい込みました。
(処分する作業は危険だったため、後日私が処分しに行き、
使えそうなものは持ち帰りました。
飛行機の距離なので、すぐに行けず、姉に会うまでの数ヶ月で
私も洗剤をアリエールからシャボン玉スノールに替え、
何度も洗い、私に反応しないようにヘアケア剤、化粧品は使わず、
”化学物質抜き”を行って会いに行きました。)
※この時、危険な物質を察知、早めに避けたいがために
姉はどんどん匂いに敏感になり、
つねにクンクンと鼻を利かせている状態でした。
2)自宅で使用しているものを見直す。
合成洗剤、有害な化学物質はすべて撤去。
石けん、重曹生活に切り替える。
CSが重症化していた当初は使用できなかったものもありますが、
1〜4まで実践したことで、
現在姉はCSの症状はだいぶ良くなり、
今では以下の商品が使えています。
香りについては合成香料が入っているものはもちろんNGですが、
精製度の高い精油であれば僅かな香りであれば反応しない場合もあります。
(※症状が悪化している時は香り全てが受け付けませんでした。)
CSの患者の方にはそれぞれ合うもの合わないものもあるので、
全てが大丈夫なわけではありませんが、参考まで。
●手洗い、体洗いは ”シャボン玉 浴用石けん”
●ヘアシャンプー、ヘアコンディショナーは"オサジ無香料"
●洗濯は洗濯石けん "シャボン玉スノール" "シャボン玉過炭酸ナトリウム (酸素系漂白剤)
●セーターなどのデリケートな洗濯は
"オサジのヘアシャンプー"で洗ったあと、
柔軟剤の代わりに"クエン酸"または"木村石鹸ソマリリンス剤”を使用。
●食器洗いは "シャボン玉 台所せっけん"
●部屋の掃除や消臭は "重曹"を使用。乾拭きか、"重曹水"
で拭く。白く残らないよう重曹は良く溶かし、しっかり拭き上げます。
●お風呂洗いは"セスキ炭酸ソーダ"
●虫除けは手作り"生のミントの酢漬け”
●タンスの防虫剤は"ヒノキ"
●脱臭、調湿は"出雲屋炭八"
もともと肌が弱いので化粧品はかなり気をつけて選んでいましたが、
それでもCSになってからは反応してしまうものもあり、
現在は以下を使用。
●基礎化粧品、ファンデーション "HABA"
●アイブロウ、眉マスカラ、アイシャドウ、マスカラ"ETVOS"
●リップ、チーク”THREE”
●制汗剤みょうばん入”デオナチュレ”
全てがトライ&エラーで、いろいろと試してはダメだったり、
昨日まで大丈夫だったものが今日使えなくなる場合もあります。
上記はあくまで現在使用できているものです。
私は姉と一緒に暮らしていませんが、現在生活を見直し中です。
●おふろでは"アレッポの石鹸"
●髪の毛は湯洗い、時々アレッポの石鹸を使用。
●洗顔も夜はアレッポ、朝は湯洗い。
●トイレや靴箱の消臭は”重曹”
●虫除けは生のミントを乾燥して、お茶パックにいれたもの
●G除けはクローブをお茶パックにいれたもの
●石けん生活にして、肌荒れすることはほとんどなくなりましたが、油分が必要な時は、白色ワセリン”サンホワイト”を使用しています。
3)ヨガをはじめる。
アーユルヴェーダの考え方を身につける
姉はもともと娘とともにダンスを習っていたのですが、
先生は過敏症にも詳しく、もともとスタジオの壁紙なども
CSでも反応しないものを使用してあり、
姉の強い味方になってくれました。
ヨガの呼吸法やアーユルヴェーダの考え方を少しづつ学ぶ中で、
”敏感になりすぎないように”注意することが必要と言われました。
◯危険物質の元をつきとめようとして、自分からクンクンと嗅ぎにいかない。
◯化学物質に気づいたらその場を離れる。
◯人と比べない。
◯かんばりすぎない
(最初のうちは、危険な化学物質に曝露するのが怖いので
ついクンクンとアンテナをはり探してしまいがちになりますが、、)
ヨガを学ぶことで少しづつ
そういった心持ちでいられるようになっていったようです。
敏感になりすぎないように暮らす事がとても大事なのだと思います。
4)理解してくれる医師を見つける、
咬筋、側頭筋のマッサージをする
CS、ES患者にとって病院選びが一番難しいのでは?と思います。
症状がでていても、この病を知らない医者が多く、
姉も様々な病院で診断がおりないまま悪化しました。
自分で調べてCSと気がついてから、
CSの患者に対応してくれる病院を探すも数が少なく、患者は多く、
診察まで数ヶ月待ち、診てもらえても薬、治療法はない。といわれる。
とにかく化学物質を避けて、悪化しないように暮らすしか
方法がないと言われたのです。
特に歯医者は口の中に直接薬剤を入れるわけで、
CS患者にとっては恐怖でしかないのですが
CS患者さんを何千人と診ている小児科で、CSでも診てくれる
歯医者さんを教えてもらいました。
乳歯の根管には、たいていヨードとホルマリンの化合物を詰めるが、
それもここにはなく、もっと安全なものを使っている。
シックハウスやシックスクール症候群、そして化学物質過敏症の原因、
発がん性のあるホルマリン系の薬剤を一切置かず、代わりに無味無臭で、
人体に無害の水酸化カルシウムで対応しているとのこと。
歯科医院独特の臭いがまったくしない。
それから電化製品もESの患者さんが体調不良になるので極力置かず、
PC、は使用していない。
儲けを考えず、ここまで患者に対し、
親身になってくれる病院はなかなか無いと思う。
この歯医者さん、早くても数ヶ月待ち、ご迷惑をおかけしたくないので、
ネット上での医院名は伏せます。(調べればすぐにわかると思います)
以下のマッサージは現在頭痛で苦しんでいる方に
ぜひ試してみて欲しいと思います。
合う、合わないはあるかもしれませんが、自分でやればマッサージはタダです。みなさまが少しでも楽になればと願います。
●まず先生に言われたことです。みなさまもぜひ行ってみて下さい。
1)力をぬいて座る、背筋をのばす。
2)目と口を自然に軽く閉じる。
さて、その際に上の下の奥歯は離れていますか?
わたしはしっかりくっついていました。
□上下の歯を離そうとすると、口が開く。
□上下の歯を離した状態にすると違和感がある。
方は、TCHの疑いがあります。
TCH(Tooth Contacting Habit)とは?
上下の歯の軽い接触癖のこと。
強いくいしばりではなく、軽い接触癖が長時間続くことにより、
頭痛が深刻化しています。
※通常上下の奥歯がくっつくのは、ご飯を食べるときに咀嚼した際の、
3食合計でも1日20分弱なのだそうです。
それ以外の時間帯は、口を閉じていても上下の歯が離れている
”安息位”という位置に歯があるように気をつけることが大事。
顎関節症患者さんとCSの患者さんの症状が
似ていることに気がついた先生が、顎関節症の治療と同じく
歯を安息位に置くことで、CSの症状もやわらぐのでは?と考えたそうです。
特にCS、ESの方は化学物質や電磁波に反応した際、
苦しく、辛いため、気づかないうちに歯を噛み締め、
より頭痛がひどくなり悪循環を繰り返します。
敏感にニオイを感じる、ストレスを受ける
↓
歯を食いしばる(気づかずに)TCHになる
↓
咬筋、側頭筋が凝る
↓
下顎がずれ、同時に血行不良
↓
頭痛、目の不調、首、肩の凝り、腰痛、手足の冷え、しびれ、目眩、耳鳴り
先生に言われた解決法は以下3つ。
1)【歯を離す】
と書いた付箋を自宅やデスクあちこちに貼る。
付箋が目についたら、すぐに奥歯を離すように
意識するだけで、頭痛はかなり緩和します。
2)寝る直前は 楽しいこと、くだらないことを考える。
すごくシンプルですが、夜寝る前ってどうしても
昼にあった嫌なこと、今後の不安や悩み、悲しいことを思い出しがちで、
そのまま寝ると睡眠中も奥歯を噛み締めてしまうそうです。
寝てる間の噛み締めもTCHにつながります。
歯ぎしりがひどい私はマウスピースもすすめられました。
くいしばりのある人の特徴として、
舌の側面がギザギザになっているそうです。
先生の患者さんの中でも、70代のご婦人が奥歯が染みて
あまりに痛く病院にいらしたけれど、虫歯も何もなく、
この話しをしたところ、
実は娘さんを以前に亡くされていて、
寝る前にどうしても娘さんの事を考えてしまうと
ポロポロと泣きながらお話くださったそうです。
その患者さんも、そんな風に寝る前は楽しいことを考えるように
心がけたら、奥歯の痛みとしみる症状が無くなったそうです。
CS、ESの方は特に辛いこと、あの時こうしていたら、
これからどうなるんだろう。
不安や悲しみで押しつぶされそうなお気持ちになることは多いと思います。
とても難しいと思いますが、
いろいろと考えるのは陽が出ている時にして、
寝る前は考えても答えのでないこと、仕方ないことは考えず、
宝くじあたったら何に使おうかな〜とか、
くだらない漫才とかを思い出しながら眠りについてくださいね。
先生が優しくお話くださいました。
3)咬筋と側頭筋のマッサージをする
このマッサージで姉はCS、ESの症状がかなり改善しました。
(もちろん生活の中から化学物質を排除したこと、
仕事を辞めたことも影響しています。
今後新たに仕事をはじめて、また化学物質の多い職場、
周囲から理解が得られなければ悪化する可能性もありますが、
それでもこのマッサージを知ったことで
悪化しても早めに回復できるようになりました。)
人差し指、中指、薬指の3本を頬骨の下のくぼみに置く、
噛み締めて盛り上がったところが咬筋。
力を抜き口を開け、歯を離して、3本指でマッサージ。
上から下、下から上、痛い所を集中的に揉む。
2〜3本の指をこめかみに置く。
噛み締めて盛り上がったところが側頭筋。
耳たぶの上は4本指を大きく広げてマッサージ。
力の入れすぎに注意して、毎日10〜15分程度、気持ち良い程度の力でもんだりくるくるしてください。それから、姉はCS、ESの症状で具合が悪い時に、マッサージするようにしています。
”きちんとマッサージしなくては!”と思わないことがコツです。
鏡をみながらやるとつい真剣にマッサージに没頭してしまうので、
TVをみながらなど、リラックスして、
肩の力、奥歯の噛み締める力を抜いてマッサージしてください。
咬筋、側頭筋のマッサージについて、
歯科医の先生に教えていただいたこと、
他の歯科の図などをいただいて、自分なりにまとめてみました。
今苦しんでいる方に少しでも役立てばと思って作りましたが、
私は素人なので、参考までにご覧ください。
顎関節症や咬筋、側頭筋のマッサージについては
いろんな歯医者さんがweb上にアップしていますので、
そういったものも参考にしてください。
以下1枚にまとめました。
プリントアウト用PDF
↓
ここまでが化学物質過敏症になってから、姉が実践した中で、
結果がでたものです。
現在併発している電磁波過敏症への対策はまた次回に触れたいと思います。
(最後に)
家庭内からはなんとか化学物質を取り除いても、
外には危険な有害物質がいっぱいです。家の中でも安心はできません。
窓を開けていたら、ご近所からの洗濯物の香り、外の除草剤の散布などに曝露する危険もあります。
アパートの建物内にも、柔軟剤や芳香剤を使用している方は多く、
ご近所さんとちょっと立ち話も、今までのようにはいかなくなりました。
外出時はたいへんです。
屋外ではすれ違う人の柔軟剤の香りで一瞬でやられます。
外では臭ったら走って逃げるしかない。
マスクをしていても、柔軟剤や合成洗剤のマイクロカプセルは侵入してきます。
公共交通期間、病院、小学校、児童館でも柔軟剤使用者は多く、
曝露されると体調が一気に悪化し、数日間寝込むことになります。
好きだった買い物もできず、映画館や水族館など人が集まる場所、
室内で空気がこもる場所にはいけません。
近所にでかけるのも一苦労なので、旅行はかなりのリスクを伴います。
親しかった友人にも気軽に会えなくなり、
もちろん新しい友人を作るのは難しく、
子供の友達を自宅によぶこともできません。
子どもの学校のプリントもインクに反応、
新刊の本や漫画も天日干しして少しずつ読む。とにかく手間がかかります。図書館の本や古本は大丈夫かと思えば、柔軟剤や消臭剤、タバコの煙が染み付いていれば苦しくなります。
SNS上でみていると、ご近所の家の庭やベランダで干しているの洗濯物から有害な化学物質と香りのマイクロカプセルが侵入し、苦しくて窓があけられない、閉め切っても換気扇から入ってくる。
お願いしても(お店で売っているものを使っているのだから)と、
ご近所からの協力を得られず、孤立、引っ越ししなければならない方がたくさんいます。
もちろん引越し先を探すのもとてつもなく大変です。
賃貸ではなく、持ち家なのに離れなくてはいけない場合もあります。
職場で改善してもらえず、姉のように仕事を辞めざるを得ない方ももちろんたくさんいらっしゃいます。
人によっては、奥さんや旦那さん、家族が理解、協力してくれず、家にいられない、苦しい、息子さんの車の消臭剤に反応し、会えなくなるなど、
近隣だけではなく、家族からも、心身ともに離れ離れになるケースも多いです。
田舎に行けばなんて軽く言われることもありますが、農薬や除草剤などの
有害な化学物質に規制が緩い、現在の日本では、安全な場所などありません。そもそもどうして、他者の使用する有害な化学物質による空気の汚染によって、CS患者が逃げて暮らさねばならないのでしょうか。
姉の場合は会社では協力を得られず、
他の場所でも理解を得られず大変なこともたくさんありますが、
実家の両親は理解し暮らしを見直してくれたこと、
ヨガの先生が親身になって協力してくれたこと、
今は小学5年になる娘がつねに姉の味方でいてくれること(もちろん私も)。親しい友人や元同僚の中には病気を伝えると、姉と会えるように洗剤を替えてくれる方もいて、娘の小学校の先生も味方になってくれる人もいました。
降り掛かってくる災難に負けず、常に懸命に次の手段を考える姉に
みな協力したいと思ってくれているのではと思います。
私も姉を尊敬しています。
支えてくれている周りの方々、友人たちに本当に感謝します。
失うことが本当に多い病気ですが、
子どもの同級生のお母さんの中に、とても親身になってくれる方もいて、
新たに素晴らしい友人を得ることもできました。
CS、そしてESは孤立との戦いです。
もしこれを読んでくれているCS、ES患者のご家族、友人、周りの方、ご近所の方は、”もし自分が同じ病気になったら?”
想像力ですれ違う誰かを救ってください。
そして、現在、”化学物質過敏症予備軍”の私たち12人は
今、何をすべきか。一緒に考えていただけたらと思います。