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『蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2』感想

 どうもです。

 今回は、spriteより2022年5月27日に発売された『蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2』の感想になります。本作は同ブランドの作品『蒼の彼方のフォーリズム』の続編に当たるFD(ファンディスク)で、本編みさき√のアフターストーリーが描かれています。このFDが出るまでこのブランドは色々あったんですが、遂に発売されてもうそれだけで嬉しい限りでした。因みに自分は抱き枕カバー付きのPREMIUM EDITIONを購入。黒ワンピース好き。

 主題歌「one of a kind」は以前からむっちゃ好きで。クリアして更に好きになった。ムービー自体も発売まで沢山見ました。FCのシーン凄くて。そんな期待値高めでプレイした本作。期待以上でした…。冒頭のツイートでも解るかと思うんですが、発売日の23時頃に始めて朝5時近くまで夢中になってプレイしました。本っっっ当に面白かった。待った甲斐があったなと。

 と云うことで、感想に移りますが、こっからはネタバレ全開なんで自己責任でお願いします。


1.鳶沢みさきについて

 まず、彼女がどんな娘だったかも含めて、簡単に本編の振り返りから。

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 本編みさき√から引っ張ってきました。この言葉が一番彼女を体現していると思ってます(異論は認めます)。自分がどんな人物かちゃんと解っているからこそ、矛盾する様な両面感情に苛まれて拗らせてしまう。良くも悪くもその繊細な感情を剥き出しにできる面倒臭い性格してるのが、鳶沢みさきと云う女の子。そんなある意味凄く素直で人間臭い処が堪らなく好きなんですが。
 本編では、挫折を味わったみさきを晶也が助ける事で、幼い頃みさきが挫折させた晶也をも救う事が描かれました。この共依存的で一蓮托生的な関係である2人が特訓を重ねる中で恐怖心を味方にしていく。滅茶苦茶な感情から目を逸らさなくても歩ける場所に届ける。そして、見事秋大会では乾にも明日香にも勝ち優勝する事ができました。

 そして、今回のFDでは綺麗にその続きが描かれました。「夏の大会でいろんな人があたしを目指して来るのが恐い」と本編でも言及されていた通り。本編で味わった恐怖心とはまた違う恐怖心をどうやって乗り越えていくのか。2人の感情と関係を再認識させながらの、新しい2人の物語でした。

「後ろから大勢の人があたしを捕まえようとしてるのが……正直に言うと、恐い」
(中略)
「自分の無茶苦茶な感情だけなら、あたしは昔よりもちゃんと見れるようになったかもしれない。でも……」
「他の人が無造作に次々とあたしの心を乱しに来るなんて想像してなかった。……どういう理由があって、みんなあたしにこんなことするわけ? あたし、こんなことされるようなことした?」
(中略)
「わかるけど。……でも、こんな気持ちになるために優勝したのかなって思うと、悔しいような悲しいような気持ちになる。どうやってその気持ちに応えたらいいのか……わかんないしさ」

鳶沢みさき―『蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2』

 第二話でのこの言葉から、どこまで行ってもみさきはみさきだなと思いました。優勝してもまだ付き纏う別の恐怖心。でも、これは彼女自身だけの感情ではなく、周りの感情あっての事。ここからも以前のみさきより余裕が出てきたのは確かで。自分が抱えた事のある感情を、他人からも察し感情移入できる様になったのは大きな変化でしたね。また、この恐怖心と合わせて、どうしてFCをするのか…その理由が描かれていきました。

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 本作のキービジュにも書かれていた言葉。プレッシャーや期待に押し潰されそうになっている現状が恐いと。こんな気持ちを味わってまでなんでFCを続けているのか…。第四話のこのシーンで一番刺さったのは以下の言葉。

「だけど、期待に応えられない自分も恐いんだよね。他人の期待なんか無視してもいいってわかってるけど……。だけどさ。だけど…………無理だよ」

鳶沢みさき―『蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2』

 やっぱ他人の感情を無視できなくなった。そして、それに応えられない自分が極論言ってしまえば許せない。誰よりも自分に負けず嫌いなみさきらしい言葉だったと思います。

 晶也はこんな状況にある彼女を見て、嘗ての自分を重ねていきました。プレッシャーや期待に押し潰されそうになってFCが辛いと感じた幼い頃を。そして、その頃自分を指導してくれた葵さんもこんな気持ちだったのかもしれないと。葵さんがあの時言えなかった事を今みさきに言ってあげないと自分みたいになってしまうと。葵さんに感謝しているからこそ、彼女の想いを汲み、みさきへ届ける。ここで2組の関係性を対比させながら、3人の導線が生まれるのは胸に来るものがありました

「俺がみさきから欲しいのは、憧れなんだ」
「みさきに憧れていたいんだ。俺は努力しているみさきを見るのが好きだ。試合しているみさきを見るのが好きだ。俺はがんばってるみさきに憧れてるんだ」
みさきに憧れてるから嫉妬する。みさきに嫉妬してるから憧れる。
憧れも嫉妬も、俺が進む力になってくれると思うのだ。
「早くみさきのいる場所に行きたいって思う。早くみさきになりたいって思う」

日向晶也―『蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2』

 みさきに憧れの存在でいて欲しいと告げる晶也。2人が既に愛し合ってる状態で、相手がみさきだからこそ言える言葉だよなぁとしみじみ…。そして、そんな存在になって欲しいと一方的に押し付けるだけでなく、一生懸命作戦を考え提示する。将来復帰した時に対戦するかもしれないし、晶也が不利になるかもしれないのも関わらず。それは何故か…憧れだけではなく、みさきが好きだから。ここで、みさきはようやく気付きます。晶也だけでなく他の選手からの想いを。大変な事を求められる理由を。そして、自分も同じ気持ちを持っていた事を。

「ようやく、気づいた。あたしもみんなと、同じ気持ちを持ってたんだ。あたしだって……したいんだ」
みさきは、小さく震えながら、爆発しそうになってる感情を必死にこらえている。
期待してるんだ。FCで何かが変わるんじゃないかって、何か掴めるんじゃないかって、みんな、そう思ってるんだ。そんな気持ちで……あたしと、したいって…………………」
(中略)
「あー不思議だ。自分の気持ちが、変わっていくの……わかる。でもね、やっぱりまだ恐いよ。FCに関係することの全部が、それでも恐い」
「そうだろうな。恐くないわけないよ」
「恐いけど、気づいちゃったからさ。みんなの気持ちに気づいたから。みんな、ごめん! あたし勘違いしてたんだ……ごめん」
「気づいたなら、気づいたなりの気持ちがあるだろ」
「みんなのこと、愛したい……のかもしれない」

鳶沢みさき・日向晶也―『蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2』

 自分に向けられた想いの裏には期待が…「愛」があったと。愛をぶつけられていたんだと。決して自分に辛い想いをさせたい訳ではない、寧ろ辛いのはお互い様で大事なのはその先。晶也からみさきへの「愛」がキッカケとなり、振り返ってみると、例えば嘗て乾や明日香に対して抱いていた気持ちだって確かに「愛」があったと気づいたんだと思います。FCを通して誰かと戦う事で、自分を変える。みさき自身もそうしてきましたね。
 受け身に…否定的になるのではなく肯定的に考える。この晶也の愛情ベースの考え方が非常に良かったと思います。自分だけが…と云う限定的な思考から抜け出す為だったり、敵意を愛情として視れる様になる為に、絶対に必要だった。敵意と愛情を同時に扱うのは本作がスポーツモノである事からも説得力が増す良い運びでした。
 また、物語ではアバンやプロローグに、その物語全体の芯となるテーマやそのヒントが提示される事が多々ありますが、本作でもプロローグでの牡丹さんの言葉がここで活きてきましたね。

「お父さんへの愛もあるし、可愛い娘への愛もあるけど……。なんて言ったらいいのかしらね。根拠がなくても強く思える気持ちみたいなのがあると……自分をごまかせるというか」
「言い方は変だけど、愛があれば恐いものも恐くなくなる、というのはあるんじゃないかしら」

有坂牡丹―『蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2』

 本作が2人が付き合った後の物語である以上、「恋」ではなく「愛」を描く必要も間違いなくあって。自分思考ではなく、相手思考の「愛」へ変わっていった事。そこで相手への思い遣りがあるからこそ、期待や責任は必ず伴うものだと覚悟を促す。みさきと晶也の関係は勿論の事、この相互関係を同じFCを続ける選手へと拡大していく。FDである本作でしか描けない感情と流れがこのシーンに詰まっていたと思います。

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 恐怖心との付き合い方はこれで解決。「愛」に加えて、FCを続ける理由としては「あたしと試合できるとこまで来て」と、みさきと晶也は約束を交わしました。更に、第五話では、いつか晶也と戦う日を考えて以下の様な事を口にします。

「晶也が安心して、あたしのセコンドをやらなくてもいい状態になりたいって思うんだよね。晶也がいなくても全力を出せるあたしになりたいんだ」

鳶沢みさき―『蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2』

 ちょっと寂しくもあるし、嬉しくもあるそんな言葉でした。でも、将来に対して漠然とした考えしか無かったみさきがここまで将来を考えている事が何よりも嬉しかったですね。その為にちゃんとFCを愛したいと誓うみさき。晶也との試合を想像するシーンも含めて、「愛」を更に育んでいく2人の今後を願うには十分で感動的なシーンでした。これまでに無い前向きな気持ちと、強さを身につけていったみさきは見事、真藤さんにも勝利する彼女らしいFCを魅せてくれました。(FCについては後述します)。

 最終話では、待ち望んでいたみさきのウェディングドレス姿が見れて感無量でした。愛を確かめ合い、本作を締め括る様な晶也の言葉と、エピローグでのみさきの言葉を記して、この章もそろそろ締めていきたいと思います。

俺たちは似たもの同士だから――
だから、俺も自分の気持ちを素直に伝える。伝え続ける。
いつか一緒に飛べる日まで。
その日が来ても、それからずっと。
One of a kind ―― 唯一、無二 ――
俺とみさきは、一緒にいる。一緒に飛ぶ。いつまでも。どこまでも。

日向晶也―『蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2』

(練習場に向かって飛び立つ、晶也の背中を見て思う)
大好きなものがあって、よかった
(あたしは、まだまだ飛べる)
(どこまで行けるか、わからないけれど……)
(行けるところまで、ちゃんと行こう。やれるとこまで、ちゃんとやろうって)
(素直にそう思えて……。それが凄く、嬉しい)
(もう一度、心に刻む)
(――あたし、フライングサーカスが大好きだ!!)

鳶沢みさき―『蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2』

「One of a kind  唯一、無二 」をしっかり使ってきたのは恐れ入りました。また、「大好きなものがあって、よかった」これが「愛」を軸に描いてきた本作からのメッセージな気がしています。愛の対象は何でも良いのです。実際、このエピローグで「鳶沢みさきを……蒼の彼方のフォーリズムを好きでよかった」と心の底から想えました。本当に感謝の気持ちで一杯です。

 改めて、鳶沢みさきの感情解像度高めに丁寧に描いた上での「愛」とFC、そして2人の将来まで絡ませた素晴らしい物語でした。お蔭で彼女の事が益々好きになりましたし、希望を感じさせる余韻も凄く好みでした。
 鳶沢みさきについて、延いては本作のメインとなる物語については以上になります。何か少しでも感じ取って頂けたり、考えのヒントになっていたりしたら幸いです。


2.FC(フライングサーカス)について

 いきなりですが、こんなに試合が描かれるとは思ってなかった。本作で描かれた試合数は驚異の6試合。どの試合も魅せ場があって濃ゆいし、ここは完全に本編の上位互換と云うか、このブランドが本作の魅力を本当に理解して、それを最大限に押し出してきているなとひしひしと感じました。もうヤバかった…。そんな試合を1試合ずつ振り返られたらなと思います。

①みさき vs 佐藤院

 合同練習での練習試合。結果は4対4の同点。この試合では勝ち負けが決まっていない結果に不満気なみさきが印象的でした。乾の戦術を元にしたポジション争いによるFCが出来上がりつつあり、みさきが研究されている事もこの試合で明らかになりました。これからのFCを示唆する大事な試合であると同時に、みさきの感情が揺らぎ始める試合でした。

②明日香 vs 真藤

 続けて練習試合。結果は0対2で真藤の勝利。①の試合で佐藤院さんが魅せたソニックブーストを今度は明日香が決めるも、真藤さんがスイシーダで迎え撃つ。彼の強さを改めて思い知らされる試合でした(佐藤院さんは納得いってなかったですが)。また、明日香の作戦(ショートカットする方向を防ぐポジション取り)は、この後のみさきの作戦へと繋がるモノでした。

③みさき vs 我如古繭

 我如古さんから果たし状を突き付けられての試合。理由は秋大会準決勝で手を抜かれて酷い負け方をしたのが悔しかったからだと。PVでも2人の試合があるのは解っていましたが、理由が明かされてなるほどなと…。本編では我如古さんについて詳しく描かれなかったので、ここで回収してくれた事自体は嬉しかったです。そして、結果は3対3。我如古さんの戦い方は彼女の腕や脚の長さとかスタイルの良さを活かしてて良かったですね。対してみさきはスモーの強さと、驚異的な集中力による直感的な動きを魅せ、執念が感じられる試合でした。また、みさきの荒い呼吸も記憶に残っている様に、ファイターとしてのスタミナ消費の激しさを突かれた試合でもありました。これも課題として取り上げられ、作戦へと繋がるモノでしたね。

④真藤 vs 紫苑部長

 真藤が四島を離れる前にと、紫苑部長に果たし状を突き付けての試合。本作で最も打ち震えた試合でした。『Rash and Rash - 無限軌道 -』が流れて身体が熱くなったし、『蒼の彼方へ』が流れた処でもうダメで…涙腺崩壊でボロボロ泣いてしまった。限界まで意地を魅せた部長の姿、本当にカッコよかった。漢の中の漢ですわ。2人の表情や雄叫びも迫力満点で画面越しでも熱気が伝わってきましたね。また、セコンドとの掛け合いも晶也と部長、佐藤院と真藤、完全に信頼し合っている関係が感じられる試合だったと思います。結果は5対6で真藤の勝利。試合後、みさきに感謝し、順番に魂を注入するシーンもむっちゃ沁みました。本編みさき√でも部長とのエピソードはあったし、"友情"と一言で言い表すには勿体無い、部活ならではの熱いモノが感じられて。これ以上無いみさきへの綺麗なバトンパスでしたね。あのシーンのCGもとても気に入っています。

⑤みさき vs みなも

 みなもがみさきを目標にしており、夏特訓の成果をぶつけるのも兼ねて果たし状を突き付けての試合。覆面を外し、素顔でFCをするみなもちゃんの姿とても良かったです。真剣な眼差しが特に。また、みなもちゃんのセコンドは白瀬さん。彼が嘗て使っていたトリプルSなどのトリッキーな技やコンビネーションを披露してくるのが魅せ場でした。が、途中、みさき覚醒。呼吸…鼓動…からの叫び声、流れる『one of a kind』もう完璧…。みなもちゃんの「愛」に全力で応える。両者ギリギリまで出し惜しみなく必死に戦い続ける。こんなん熱くならない訳がないです…最高だった。そして、結果は10対4でみさきの勝利。試合後のやり取りも微笑ましかったですね。また、白瀬さんの戦闘スタイルがイマのFCにも影響を与えると証明し、晶也が彼や葵さんとこれからも接点を持ち続ける事が示唆されたのも良かったです。

⑥みさき vs 真藤

 真藤からみさきへ誘う形ではあったが、実はお互いに求めている気持ちがあっての試合。最後に相応しい試合でした、本当に。みさきの気持ち的にも「負けたくない」から「勝ちたい」へより積極的なモノだったのが印象的でした。そして、遂に作戦「対角線ショートカット」を魅せる時が来ました。②の試合で明日香が魅せた技の応用も含めて。最大の魅せ場としては、お互いに至近距離で向かい合った状態、すぐにでもドッグファイトができるポジション取りが完成したシーンから。みんなの想いを背負っての疑似エアキックターン!泣かせにくる『Way to Fly - 蒼の彼方へ -』とか云う神曲。まさか前の試合の応用をすぐに取り込んで来るとは…流石に激アツ展開すぎました。そして、最後の最後まで息を切らす勢いで…鬼気迫る表情でドッグファイトを繰り広げる2人。みさきを全力で鼓舞する晶也の姿も胸熱でした。そして、結果は4対3でみさきの勝利。ここは静寂からの歓声によって、その場の空気感が限りなくリアルに伝わってきてとても良かったです。

 ―以上、6試合の感想でした。
改めて、FCについてはクオリティアップが凄まじかったです。試合状況と解説も図解と共に把握しやすくなり、この点はスポーツである以上、理解すればするほど楽しいに決まっているので、とても良い効果をもたらしてくれました。CGについても緊張感を煽る演出が一際目立ちました。セコンドとの掛け合いの度に切り替わるのが特に好みで良かったです。また、表情ドアップ、一人称視点、流動的な切り替え、多彩なアングルetc…。音響面では風の音、呼吸、鼓動などのSEから、壮大なオーケストレーションによる新曲、ボーカル付きアレンジでの懐かしい楽曲達まで、ここぞと云う場面で効果的にシーンを盛り上げてくれました。これらの要素が全て完璧に噛み合う事で、臨場感のあるフライングサーカスシーンを味わう事ができました。正直言って、ここまで没入感を得られる物語体験を提供できる媒体はノベルゲームしか無いなと想う程でした。時間を忘れて作品世界に浸っている時間・感覚・体験が大好きなので、本当に凄いなと思ったし、感動しかなかったです。 

 あと、これだけFCを描いた理由について。妄想になりますが、最終的に鳶沢みさきへのバトンパスを描きたかったのだと思います。

 佐藤院さんは、真藤さんの一番のパートナーでありたいから。
 我如古さんは、渇きを潤す本気を欲しているから。
 明日香は、FCが好きで楽しくて仕方がないから。
 部長は、悔しさをバネにその先を見たいから。
 みなもちゃんは、勇気を欲しているから。
 真藤さんは、持ってないモノを求めて強くなりたいから。
 晶也は、とにかく空で、自由になりたいから。
 みさきは、みんなを愛したいって思いたいから。

FCは勝ち負けだけが全てじゃないと、それぞれがFCを続ける理由を描き続けてくれました。これは1章で先述したみさきへの「愛」と、彼女の心理描写に説得力を持たせる為に描く価値があったのだと思います。と云う事で、かなりダラダラと書いてしまいましたが、FCについては以上になります。


3.さいごに

 まとめになります。

 『蒼の彼方のフォーリズム』と云う作品に対して想い出補正があるとは言え、本当に期待以上でした。これ以上ない、物語体験を限界まで高め上げた"最高傑作"でした。その体験が促す"泣き"の導線も見事。発売前より『FILMIC NOVEL』と謳っていた通り、感情解像度の高い心理描写とFCの圧倒的臨場感演出が本作最大の魅力で。これによって作品世界や人物の実在感が高まり、同時に引きずり込むパワーと云うのはとてつもなかった。手汗はかくし、身体は熱くなるし、クリックする手が止まらない。この物語体験の点だけで云えば『蒼の彼方のフォーリズム』が間違いなく最前線にいるとも断言できます。そして、今後この体験を越える作品はspriteからしか出して欲しくないなと思う程にはこの作品が堪らなく好きです。

 ヒロインである鳶沢みさきの物語と、彼女と共に歩む日向晶也の物語も想像する余地と希望が持てるエンディングで個人的には満足しています。何と云いますか、みさきと晶也の試合は勿論見たいんだけれど、それを描いてしまったら終わってしまう様な気がするので(笑)

 他の登場人物についても、FDでありながらきちんと出番があって良かったです。みさきが一番好きだけれど、それとは別で明日香がやっぱ『蒼の彼方のフォーリズム』のメインヒロインだと随所で再認識させられたのも地味に大きかったですね。また、みなもちゃんの魅力を引き出す事で次回作へ繋げたのも色んな意味で上手かったと思います。

 とゆーことで、感想は以上になります。
本作発売まで本当に待った甲斐があったと云うか、制作してくれただけでも嬉しかったのに、こんなに素晴らしい作品を届けてくださって本当に嬉しい ですし、感謝の気持ちで一杯です。これを書きながら泣きそうな位には…。大袈裟だと思われるかもしれないけれど、本作のお蔭でかけがえのない貴重で幸せな体験ができました。次回作も楽しみにしています。改めて制作に関わってくださった皆様方、本当に…本当に…ステキな作品をありがとうございました…っ!!!

 ではまた!

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