視線の向こう

朧げな記憶で
過去を辿るやくざ者
過去を振り返れど
幸せな記憶など
何処にも無かった
ある晴れた8月の
燃え盛る昼下がりに
有名な企業の
社長を撃ち殺した
太陽に背を妬かれながら
淡々と進む街中で
サイレンの喧騒が
彼を追い詰める
沢山の警官に囲まれ
逃げ場を失くした
やくざ者は
手持ちの拳銃を
口に咥えながら
視線の向こうに
垣間見える世界を
眺めて少し微笑んで
拳銃の引き金を引いた






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差羽ナガレ
読んで頂き感謝致します サポートして頂いても書く事しか出来ませんが 宜しくお願いします