実録!スタートアップの採用のリアル vol.6 〜働く時間・場所・働き方は全て自由!?組織拡大を続ける秘訣とは?編~
採用活動をされている企業のみなさん、
「この採用、ちょっと色々あったな…」
「ぶっちゃけ、厳しいな…」
「ちょっとミスマッチだったな…」
という経験はありますか?
企業と求職者どちらが悪い、ということではなく、シンプルに合わなかったり、最終的に思った通りの結果にならず、お互いが残念な思いをしたことは、少なからず起きるのではないかと思います。
誰を採用するのか?
誰を採用しないのか?
これは採用活動をしている人事にとって、とても重要なテーマだと思います。
実際に数社にインタビューさせていただいた体験談をシリーズ記事にまとめました。
ぜひ参考にしていただければ幸いです。
採用で価値観のフィットは見ない
今回取材させていただいたEverforthさんは、主にクラウドプラットフォームの開発を手掛けるITベンチャー。CEO森下さん・CCO沖津さんのお二人にどんな考え方で組織を作っているのか、お話を伺ってきました!
(左:CEO森下さん、右:CCO沖津さん)
Everforthさんが特徴的なのは、なんと言ってもそのワークスタイルです。
「好きな時間に、好きな場所で、好きなことをする」を文字通り実践しており、働く時間・場所・働き方は全て自由なのだというのです。
現在メンバーの数は60名ほどですが、実際多くのメンバーはリモートで、自分の好きな時間に仕事をしているそうです。
しかし、そのようなワークスタイルだとメンバーを目の前で管理することができず、組織のマネジメントはどうしても難しくなってしまうもの。
企業文化も浸透させにくいですし、個々人の裁量がかなり大きくなってしまいます。
そこまで個人に任せたワークスタイルを貫くには、どのような人を採用するのかが非常に重要なはず。
きっと採用もかなり要件を厳しくして、ギラギラ目を光らせながら人を選んでいるのかと思いきや…
「採用において、会社と人材の価値観のフィットなどは特に見ていません」
というのです。
(Everforthさんのオフィスにお邪魔したところ、美人なネコちゃんがお出迎えしてくれました!)
価値観の多様性がチームの強さにつながる
スタートアップでは、採用においてカルチャーフィットは最も重要な要素の1つといっても過言ではありません。
あえてそこを見ないとは、一体どういうことなのでしょうか?
沖津さん:
「価値観や考え方のフィットを見る会社は多いと思うのですが、僕らは逆にメンバーの価値観は多様でよいと思っています。会社に合わせて、個々人の価値観を変えてもらう必要はない。そのままの姿で自由に生きてもらえばいいんです。」
確かに、自分の本来の価値観を尊重してくれるのであれば、人材側としては非常に働きやすい環境でしょう。
しかし裏返して見ると、それは会社がバラバラになってしまう危険性も孕んでいるように思えます。
それでも、その価値観の多様性が逆に強みにつながるのだと沖津さんは言います。
沖津さん:
「価値観や個性が多様であることによって、組織としての幅が広がるんです。タイミングによっていろいろな仕事が出てきますが、そういった時により多くの仕事に対応できるようになりますからね。各人が違った価値観を持ち、各々で判断して行動しているのがチームとして強い状態だと思っています。」
(森下さんが自宅としても使っていらっしゃるオフィスの中には、ネコちゃんがもう1匹いました!)
多様な価値観を、逆に組織のストロングポイントとして活用しているのだといいます。
しかし、応募者の価値観を重視しないのだとすれば、採用ではどんなポイントを見ているのでしょうか?
沖津さん:
「うちでは、特に欲しい人材要件をはっきり言語化しているわけではないんですよね。採用面接では、もちろんスキルは注意して見ますが、あとは直感です。あまりにサラリーマンマインドが強い方はさすがにウチのようなベンチャー企業には向いていないので、そういった部分は直感で判断するようにしています。」
これまた、常識とはかなり外れた答えが返ってきました…
きちんとした採用をしようと思えば、欲しい人材の条件を細かく定義したくなるもの。そこを明文化していないというのは驚きです。
そのような状態だと、入社後にミスマッチを起こしてしまう確率もかなり高いのでは…?と思ったところ、最初は業務委託として働いてもらうなど、リスクを最小限にする対策も合わせてとっているそうです。
組織のキモは「流動性」
採用要件を明文化せず、非常にフレキシブルな方法で採用活動を行っているEverforthさん。正直、かなり変わった方法ですよね。
一体なぜそのような方法をとっているのか聞いてみると、次のような答えが返ってきました。
森下さん:
「僕たちの考え方の根底にあるのは、流動性の担保なんです。現代社会は移り変わっていくスピードがあまりにも早く、正解もどんどん入れ替わっていく。そんな中で固定化していては、どんどん正解からズレていってしまいます。
変化していく社会の中でなるべく完全解に近づくためには、組織に流動性を持たせたうえで、その場その場の状況に最適化した行動をとることが必要だと思うんです。」
沖津さん:
「流動性を大事にしているので、私たちは物事のルール化・フロー化もしません。だから、採用においても人材要件の明文化はしていないし、『1次面接は○○さんがやって、2次面接は××さんがやって…』のような採用フローも特に決めていない。
組織に必要な人材だって、その時々で変わるじゃないですか。経験をもとにしながら、その瞬間に最適な人材を採用できた方がいいですよね。」
変化していく環境に対応するため、会社全体として流動性を重視しているEverforthさん。特徴的な採用活動も、そういった考え方が反映されたものだったんですね。
経営戦略から組織戦略を立てる
ユニークな考え方、システムを取り入れ組織をデザインしているEverforthさん。
あまり例を見ない独特な方法で組織拡大ができている理由は、経営層である森下さん・沖津さんのお二人がきちんと人事・組織作りに向き合ってきたからなのでしょう。
沖津さん:
「経営者が『こういうサービスを作りたい!』のような事業戦略を考えることは大切です。でも、それだけではなく『こういう組織にしたい!』という組織戦略をきちんと考えることも、経営者の重要な仕事だと思っています。」
森下さん:
「経営戦略と組織戦略は常に一体であるべきです。例えば、『プロダクトが成長してきたから、今はカルチャーフィットする人が欲しいな』のように、プロダクトや事業の方針によって必要な人物像も変わってきます。しかし、経営戦略を無視して目先の採用だけを見てしまっては、『とりあえず良さそうな人を集めよう』という発想になりがちです。
スタートアップにとって人事・採用は難しい課題ですが、目先の採用でどのような失敗をしてしまったのかは正直大して重要ではないと思っています。やはり採用は入社してみないと分からない側面も大きいですから。本当に大切なことは、全体としてどのような組織を作りたいか描けているのか、そこが採用にしっかり結びついているのかどうかです。」
経営者として経営戦略を立てながら、そこと連動した組織戦略を作り採用活動を行うこと。
より強い組織を作っていくために最も本質的なことをきちんと押さえているからこそ、ユニークなシステムでありながらEverforthさんが順調に拡大を続けてきたのだと感じました。
おわりに
独自の方法で組織を成長させてきたEverforthさん。求職者にとって魅力的なワークスタイルも相まって、現在では月に150人以上の応募が来るのだとか。
しかし、決して現状に満足しているわけではないといいます。
沖津さん:
「僕たちのやり方で現状の組織に問題はないと思っていますが、課題がないわけでは決してありません。むしろ、もっと良い組織を作っていきたいという思いは常に持っています。
僕たちもこのやり方でどこまで上手くやれるのか、今は試行錯誤の真っ最中なんです。社名である『Everforth』は『常に前へ』という意味。常により良い状態を目指して、改善し続けていきます。」
常により良い会社を作るために、経営者として独自の組織作りに取り組み続けているお二人。
人事・組織が終わりのない奥深いものであると再確認するとともに、それらが経営と密接に結びついていることがよく分かるインタビューでした。
組織作りに悩まれているスタートアップの方々にとって、この記事が参考になりましたら幸いです!
また、私たちCrown CatはHR領域におけるコンサルティングを行っております。
「経営戦略から組織戦略を考えるってどうすればいいの?」
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