アーティスト滞在日記25(青木麦生)
こんにちは!クロスプレイ東松山インターンの唐澤です。
歌人の青木麦生さんの、2月26日-27日の滞在の様子をお届けします。
青木さんはこれまで、日帰りや少ない日数での滞在を何度か続ける中で、楽らくの窓に短歌を貼り出していました。カッティングシートの、握り拳よりもひと回りほど小さい文字が並んでいます。この日のお昼休みには、その窓の前で合唱が繰り広げられていて何だかほっこり。
楽らくでの青木さんは、利用者さんとの接し方がとても自然なのが印象的でした。
利用者さんの座席に話しかけにいく、という感じではなく、展示している途中で自由時間の利用者さんと立ち話していたり、隣に座って朝の会に一緒に参加したり。同じ場所で過ごしながら、利用者さんは利用者さんの、青木さんは青木さんの時間で過ごしていて、それがたまたま時々交わっているという印象を受けました。
27日は、午後のレクの時間を使って、全員で短歌あそびをしました。5・7・5・7・7のうち7・7の部分は「今日も一日・楽らく日和」に固定して、利用者さんが考えた5音と青木さんが考えた7音を組み合わせて、5・7・5の部分を作ります。
青木さんの声がけで、利用者さんは思いつく5音の言葉を白い紙に書き出していきます。始めは、楽らくで歌う曲の歌詞をまとめた「楽らく歌集」を参考にしながら。同じ歌集を参考にしていても、どの言葉をチョイスするかにそれぞれの個性が現れていました。例えば「たかしまだ(高島田)」とか。全く脈絡のない言葉の組み合わせで生まれた楽らく短歌たちが出来上がりました。でもいざ一つの歌の中に組み込まれてみると、「この言葉とこの言葉の関係、こういう読みができるのでは?」と考えるのも面白く、57577のリズムの不思議さを味わう時間になりました。
楽らくに滞在後、歌や体操器具、オブジェなどを施設に残してくれるアーティストもいますが、青木さんは「来た時よりも綺麗に!」と短歌をすべて撤去しました。翌日には窓はぴかぴか。元どおり、と言えばそうなのですが、たった数日前まであったものがなくなると何だか不思議な感じがしました。一時的に作品が出現することによって、以前とは景色が少し変わって見えるのも、クロスプレイの面白さだなと感じました。