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「浅瀬」はあるのに「深瀬」はないのか?

浅瀬という言葉がある。言葉というか、そういう場所がある。

「瀬」は水深が浅い場所や、(それ故に)流れが早い場所を指す。浅瀬はちょっとニュアンスが重複しているような気がするけれども意味はわかる。人が立てる水の深さ、みたいなニュアンスだろう。

一方で、深瀬という言葉はない。瀬という言葉の意味の出発点からして深瀬は存在しない。水の深いところは例えば淵などと言われるだろう。

ところが深瀬は名字では存在する。深瀬さんはいる。ところが逆に、浅瀬さんは極めて少ない。全国で140人くらいしかいないらしい。

これはいったいどういうことだろうか。

一般的な言葉としては浅瀬はある。だが名字としては深瀬が多い。



こっからは想像になってしまう。

多分、浅瀬は目に見える身の回りの地形として一般的だから言葉としてよく使われる。

一方深瀬は、おそらくもう少し広い視点から見た地形で、山の奥とか深いとみなされるところにある瀬なのではないか。地域名というか場所の名前としては深瀬は成立しうる。ここでは水深ではなく、何らかの深い場所にある瀬だったのではないか。

名字は地名から名付けられることが多い。なので深瀬が名字として成立しうる。一方浅瀬は身体に近いところにある日常的な場所の名前ゆえ地名になりにくく、よって名字にもなりにくかったのではないか。



まぁ素人の推測はここまでとしよう。浅瀬と深瀬は一見すると両立しうる言葉なのだが、実は「瀬」の性質上深瀬という身近な場所は存在しない。ところがより鳥瞰した場合、どこかの場所から見て深いところにある瀬、は成り立ちうる。

浅瀬と深瀬はつながっているようでつながっていない言葉なのかもしれない。

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