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平家の怨霊にタンコブを取ってもらおう!



はじめに 耳なし芳一の話からわかること

ドジっ子のお坊さんのせいで、芳一は耳を平家の怨霊に取られてしまった。耳あり耳なし芳一だったのが、耳なし芳一になってしまったのだ。

正確には耳なし耳なし芳一になってしまった。

平家の怨霊は、見えている部分を万力のような力で持っていってしまう。極めて怨霊らしい、とても恐ろしい振る舞いだ。

このことを利用して、私たちは体の中で不要な部分を平家の怨霊に持っていってもらうことが可能かもしれない。

平家の怨霊に持っていってもらいたいもの

1 タンコブ

タンコブは邪魔だ。なのでお坊さんに、「ここだけお経書かないでください」と伝えよう。すると平家の怨霊がたんこぶをとってくれる。意地悪なじいさんが出てくれば、ほぼ「こぶとりじいさん」みたいな話になってしまうのだが、もしかしたら「こぶとりじいさん」に出てくる鬼は平家の怨霊かそれに近しいものだったのかもしれない。

大嫌いなそばかすとかも、お坊さんの筆でひとなでしないでおけば、嘆息しないですむかもしれない。

2 恋心

忘れられない恋心にお教を書かないでもらおう。すると、平家の怨霊が恋心を持っていってしまう。令和と平安の時の迷路にまよいこんだあなたは、平家の怨霊が来る夜に怯えることがなくなるだろう。

いわばラブファントムというわけだ。

補論 使わなくなったテレビ

下取りに出せればいいのだが、令和の現代では下取りに出さないでテレビを捨てるのは極めて面倒だ。そこで、平安末期の怨霊に頼ることになる。

使わなくなったテレビにお教を書かないでもらおう。すると、平家の怨霊が自宅まで来て持っていってくれる。

問題点・課題

1 琵琶法師ほど琵琶が上手くない

最大の課題だ。芳一さんは琵琶がめっちゃ良くて歌声もめっちゃ良かったから、わざわざ平家の怨霊が家まで来ていた。

俺たちにその才能が果たしてあるのか? 疑問と言わざるを得ない。

ここでは、ギターなどが得意なミュージシャンに代行してもらい、平家の怨霊が来た時点で入れ替わって部屋で待っている方法を取るのが簡便だ。

2 平家は根こそぎとっていく

テレビはいいのだが、芳一さんの事例を見ていると結構痛そうだ。たんこぶをむしり取られて、私たちは大丈夫なのだろうか。半分、というか全部「こぶとりじいさん」への批判になるのだが、コブを取ったら普通に痛いだろ、という話につながる。

恋心も同様だ。恋心をむしり取られて、果たして私たちは本当に楽になるのだろうか。叶わなかった恋の傷を、人生の中で様々な人との出会いや経験を通じて徐々に埋めていくのが理想なのではないか。平家の怨霊に根こそぎ取られたところは、こぶと同じような、いやそれ以上の見えざるダメージになるのではないか。

おわりに ゴーストオブダンノウラ

平家の怨霊のようなパワフルな根こそぎは、一見良さそうな気もするし、実際それが必要な時(畑を作るときに切り株を抜く時とか)もあるだろう。しかし、根こそぎゆえにかえって皺寄せがくるかもしれない。

たとえば細胞レベルにお教を書いてもらうことができるようになれば、医療はさらに発展するだろう。だが、平家の怨霊に悪い細胞などを根こそぎ取ってもらったとき、その根こそぎ具合でかえって悪いことになるのではないかということを、コブや恋心を通じて考えてみた。

そうしたリスクを踏まえてなお、平家の怨霊が来る夜に、あなたは身体や身の回りのどこを、お経を書かないでおきますか?

ぜひ一度考えてみてください。



追伸 ネタが被ってしまった

「公開する」を押す前に関連事項で検索をかけていたら、オモコロで2016年に同じような発想をしている記事が出ていた。

ネタが被ってしまったが、私よりも8年も前に同じようなことを考えてくれていた人がいて、とても安心している気持ちがある。論文だったら論旨の練り直しが必要だが、noteは平家の怨霊の査読は要らない世界だ。

ということで、この記事にはお経を書かないようお坊さんに頼んでおこうと思う。そのうち平家の怨霊がこの記事を私のブログから引き裂いて、赤間関のお墓まで持っていってくれるだろう。

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