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綿棒という異常な棒
はじめに 棒とはなにか?
棒という言葉がある。そして棒というものがある。
俺は今日綿棒を耳に突っ込んだり、あるいはパソコン周りの掃除のために用いていたのだが、綿棒は棒界隈の中でもかなり異質な存在であると気がついて慄然としてしまった。
理由を説明していこう。
まず、棒の前につく単語をいろいろ考えてみてほしい。以下、それらを腑分けしてみる。
1 目的(役割)+棒
警備員が持っている、警備のための棒が警棒。左翼的暴力活動に使われるからゲバ棒。指揮するためのタクトは指揮棒。舵棒とかもそうだろう。
2 素材+棒
鬼が持っている金棒は金属製の棒。金の延棒は黄金が素材。棍棒ってチゲ鍋みたいな言葉だが、丸い木の棒という意味なので素材系の名付けになっている棒だ。鉄棒とかひのきのぼうとかもこのカテゴライズだろう。そして肉棒。よみがえる性的衝動。
3 たとえ+棒
狼牙棒という武器がある。狼の牙のような突起がついた棒だ。天秤みたいな仕組みの棒で天秤棒。
4じゃあ「綿棒」はどうだ?
4ー1 綿棒って細くね?
note読者諸賢も綿棒の恐ろしさにだんだん気がついてきただろう。
まず綿棒は全然棒じゃない。棒ってのは、手のひらで握ってちょうどいいくらいの大きさだ。これまでみてきた棒を振り返ってみてほしい。あるいは、皆様の居室にある棒的なものを握ってみてほしい。あるんなら肉棒でもいいぞ。
それらはおしなべて掌サイズにつかめるものだ。
ところがどうだ。我らが綿棒は。おかしいだろ綿棒は!! 絶対に許さん!! おかしすぎる。太さが細い!!!
4−2 綿棒が持つ棒カテゴライズ拒否の態度
そして綿棒の「綿」は、棒の説明としてくっつきがちな接頭語? にまったくそぐわない。
「綿」は目的(役割)ではない。確かに素材ではあるのだが、よく考えてほしい。綿棒の綿は先っちょだけだ。棒の部分はプラスチックか紙みたいな素材だ。
そして綿棒は狼牙棒みたいに尖端部分に特徴がある棒なのだが、狼牙棒みたいに「綿」はたとえになっていない。「綿」はたとえじゃなくじっさいに先端の一部分についている素材だ。
あああああああああああ!!!!
綿棒!! ふざけすぎている。ふざけて、ふざけている。綿棒が棒のカテゴリに全然収まらなくて私は発狂したくなってくる。
綿棒は、他の棒が持つ棒の性質を全て拒否している。にもかかわらず、我が物顔で棒として大量にドラッグストアで販売されている。
あれは綿スティックではないのか? 綿楊枝ではダメなのか!?
おわりに 綿棒の言葉としての異常性
綿棒はサイコパスだ。あれば棒じゃない。