無知であることから生まれる障害者への暴力。
この世には僕らが知らないような、病気や障害がたくさんあります。
それらを知らないが故に他者を理解できず、相手を傷つけてしまうことがしばしばあると思います。今回は僕が実際に目にした実体験をもとに無知によって傷つけられてしまった人の話をしたいです。
小学校高学年の頃、僕は転校先でとある女子児童に出会いました。
仮にその子をSさんとしましょう。
Sさんは人前で決して口を開くことはなかったです。表情は乏しく笑顔をめったに見せない。動作もかなり固い。
現代文の授業で一人づつ音読しなければならない時があっても、だいたい先生に順番を飛ばされてしまう。
「Sさんがみんなの前で音読できないのは仕方のないことだから」
たまに「Sさん、頑張って読んでみて」と、他の先生より粘り強く音読させようとする先生もいましたが、無理でした。
そんな状況を見ていた周りの児童はSさんに不公平感からくる苛立ちや、気味の悪さを感じていたようです。
「あいつだけずるいよなー、発言しなくていいからよ。」
「ほんとにしゃべれないの?」
「甘えるなよ」
「気持ち悪い」
Sさんに聞こえるような大きな声で遠くから、または面と向かって罵声を浴びせている光景を時折目にすることがありました。
Sさんはいじめを受けていたのです。
Sさんの少し変わった様子は学年でも有名で、みな彼女の状態を認識はしていたんですけど、理解はしていなかったみたいです。
多分先生もなぜ話せないのか、その原因を理解していなかったと思う。
僕も分からなかった。だから正直いうと僕も
「ずるいな、なんで?、おかしいでしょ」
みたいに思っていました。最低ですが。
少し前、YouTubeの動画である障害の存在を知りました。
それは場面緘黙症です。
こちらがその動画です。
この障害はSさんの症状と完全に一致していました。動画には場面緘黙症の男性と女性が一人ずつ取材を受けています。
なぜSさんへのいじめが起こったのか?
周りの児童の未熟さもあったでしょうが、それらをエスカレートさせる別の要因があったと思います。
場面緘黙症という障害の存在を認知していなかった。
これがいじめを助長させた原因だと考えます。
病気や障害だから話せない。物事の原因がわかれば納得して接してくれる人もいたでしょう。
しかし、原因がわからなかったので僕たちは、Sさんは甘えているだけ、メンタルが少し弱いだけだろ、そう勝手に決めつけていました。
無知であったからいじめにつながったとも考えられます。
無知だったからいじめが起こったのは仕方がない、なんて言うつもりは毛頭ありません。
無知であったとしてもいじめは許されない行為です。いじめ自体が悪なんですから。
ただ無知であることは人を傷つける環境を生み出しやすくする。
ということを伝えたくこの記事を書きました。
その点このabema newsのYouTubeチャンネルはすごいなと思います。
場面緘黙症だけでなく、社会で苦悩を抱える様々な人々を紹介しており、その認知度の向上に貢献しています。
障害や病への認知度や関心が高まれば、より優しい社会を実現できるのではないかと個人的に思います。
情報がなくても、自分が無知であることを自覚するだけで効果はあると思いますよ。
ソクラテスも「無知の智は迷妄をはらし、真実の扉を開く」みたいな名言を吐いてますもんね。