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イデオロギーとインテリジェンス

かつて保育園の園長をしていた時、
イデオロギーの存在を
あらためて痛感するような事が、
身の周りでたくさん起きていた。


しかしなんと様々なイデオロギーが存在し、
せめぎ合っていたことか。
最初に聞いたのは、
「保育園の経営中枢には、
N教組の影響を強く受けている人が多いよ」
という助言(?)であった。


実際に色々な保育関係者と会って話をする中、
杓子定規で融通の利かない、
マニュアル人間のような人と会うことも多く、
「もしかしたらこの人N教組なのかなあ?」
と感じることもあった。


次に中国籍の母親が、
日本語のわからない子供を連れて来た時、
スタッフから外国人差別的発言が出た。


それから、食育に関する認識に関して、
マクロビオティック信奉者による、
自然派有機栽培絶対主義と遭遇した。


そのことについて相談する組織を紹介してもらったのだが、
その組織への顔つなぎのために、
福岡市長選に立候補していた、
共産党の候補者の街頭演説を見に行くことになった。


こども劇場の方が
公演の案内を持ってきてくれたこともある。
この組織には共産党系の人が多いと聞いている。


健康食品のネットワークビジネスの人が、
子供にとっていいものだからと、
パンフレットと勧誘イベントの案内を、
わざわざ届けてくれたこともある。
日本にネットワークビジネスを持ち込むのは、
モルモン教の人が多いと聞いている。


そのうち衆議院選挙が始まり、
保育園の建物の大家さん(学会員だった)が、
公明党のポスターを
保育園の看板の横に貼ったため、
保護者から「公明党なんですか?」と質問された。


ある教育施設の設立を目指している人に
お話を伺いに行くと、
まず教育勅語の話が出て、
そこから日本人拉致問題、
沖縄の基地問題、憲法改正問題など、
イデオロギーを避けては通れない話へと展開した。


その方は本当に高邁な理想をお持ちなのだが、
イデオロギーの話が絡むと、
どうしても微妙な食い違いが生じてしまい、
ちょっと心残りな、残念な気持ちになった。

ちなみにその方が師と仰ぎ、信奉していたのが、後に森友問題で話題になった籠池さんだった。


一応僕の保育園、こりす保育園は、
ノーポリシー、ノーイデオロギーを、
基本方針として立ち上げた保育園なのだが、
個人の力ではどうにもできないことにも多々遭遇し、
誰かに相談したり助言を仰いだりすると、
何かのイデオロギーと抵触する。
世の中には様々なイデオロギーが、
携帯電話の電波のように、
目に見えないエネルギーとして飛び交っているようだ。


そしてドコモとソフトバンクとauが、
熾烈な顧客争奪戦を繰り広げているように、
どこのイデオロギーも、まず自分の傘下に入らないことには、
あまりフレンドリーなアドバイスはいただけないようなのである。


僕はそういうイデオロギーを超えて、
みんなが仲良く暮らせる社会を目指していたのだが、
そんなのまるでエホバの証人の「千年王国」のような、
夢物語のようなお話なのだろうか?
確かにあの世界では、
ライオンは何を食べるんだろうかとは思うが。


それともうひとつ、インテリジェンスの問題。
色々な人と色々な話をした結果、
保育の世界には、インテリジェンスが、
少し足りないのかもしれないと感じていた。
だから安易にイデオロギーを持つのだろうか?

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