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初めてCRMを構築する時に押さえるべきポイント(前編)
「CRMやらなきゃね~」
そう思い立ってCRM構築に乗り出す時、このようなことを考えたことはありませんか?
「まず何から構築すれば良いの?」
「CRMって費用いくらかかるの?」
CRMの構築にはメール・同梱物・DMなど、制作物が必要不可欠です。
・最低限押さえるべきチャネル
・まず何から制作すべきか
・いくらかかるか
このような切り口で見ていきましょう。
今回は前編として、
・最低限押さえるべきチャネル
・まず何から制作すべきか
この2つについてお伝えします。
最低限必要なCRMのチャネル
メール
最も低コストで一定の顧客接触頻度を担保できるツールといえばメール。
・定期継続促進のためのフォローメール
・定期配信のメルマガ
・バースデーメール
・休眠顧客への復活オファー
・新商品の案内
など、さまざま切り口で活用できます。
低コストで修正が容易というのが利点です。
LINE
メールに代わるコミュニケーションのチャネルと言われていますが、私の見解ではチャネルとしてはまだまだメール優勢かと思います。
根拠は
・リスト数が少ない(友だち集めに難儀するケースが多い)
・配信システムやカートとのデータ連携が弱い(ID連携でしないとメールほど細かなセグメント配信ができない)
・定期継続促進のコンテンツ提供に向かない場合がある(長文のテキストは敬遠される?)
このあたりです。
逆にこれらの課題をクリアできていれば、最低でもメールの2倍以上のコンバージョンを見込んで良いと思います。
SMS
文字数が制限されますが、電話番号をキーに顧客にリーチできるため、メールが送れない顧客にSMSを送るというのは選択肢の1つです。
同梱物
同梱物は重要視すべき!
メールやLINEと異なり、同梱物は「すべての顧客にリーチできる」チャネルです。
(もちろん読まれずに捨てられたりもするのですが・・・)
DM
DMは初期構築に含めるかどうか議論の余地があるかもですが、活用用途としては
・2ステップの場合の定期引き上げオファー
・定期継続促進のための成分訴求
このあたりが考えられます。
制作費用に加えて発送コストや、ステップメールのような使い方をするのであれば専用のシステムを導入するか力技で運用していく必要があるので、ややパワーのかかる施策と言えます。
コールセンター
・インバウンドアップセル
・クロスセル
・継続応援(一般的には解約抑止と言うことが多い)
このようなポイントで活用されます。
コールセンターは唯一「顧客と直接やりとりができる」チャネルです。
事務的な手続きや販促だけでなく、顧客の生の声を聞くことでエンゲージメントを高めることや、課題解決のヒントを得ることも可能です。
社内にコールセンターを抱えることが理想ですが、うまく外注も活用しながら顧客接点を設けましょう。
まず何から制作すべきか
まずは定期継続のための制作物から構築しましょう。
大前提として、こういう「シナリオ」は最初につくってください。
※シナリオ設計の方法についての関連記事をこの記事の最下部に記載していますのでよろしければ参考程度にご覧ください。
そのうえで、まずは同梱物とメールから着手します。
同梱物
同梱物は商品お届け時に100%の顧客にリーチが可能なツールなので、注力しない理由がありません(全員が読むかは別として)。
・挨拶状
・顧客の声チラシ
・クレカ誘導チラシ(後払いや代引の顧客にクレカ支払いの推奨)
・アップセル/クロスセルチラシ
・定期コースの説明チラシ
・ブランドブック
このあたりは多くの事業者さんが用意していると思います。
そして、最近は「鉄板」になりつつあるが
・読本
です。
ダイエット商材であれば「ダイエット読本」、化粧品であれば「スキンケア読本」など購入1回目からの経過期間に合わせたコンテンツ(主に商品理解や生活習慣の啓蒙)を盛り込んで制作します。
「ブランドブックがあるから、それじゃだめなの?」とたまに質問をいただくのですが、私的にはだめだと思っています。
多くのブランドブックは商品の説明や簡単な使い方などをまとめたものになっていて、コンテンツが中途半端なので、ブランドブックをつくるならもっと商品の利用シーンや愛用者の未来像が想起できるようなイメージに訴えるものをつくりましょう。
そして、その達成プロセスとして読本を活用してくださいというメッセージを顧客に伝えられると良いです。
用意している事業者さんの多くは、大体定期3~6回目分ぐらいまでは制作しています。
上記に挙げたもの以外では「会報誌」があります。
今回は「CRMの初期構築」という観点でお話をしているので触れていません(会報誌はその次のフェーズで用意すると良いと思います)。
メール
メールについては、定期6回目分ぐらいまでは用意しましょう。
コンテンツは同梱物と被って問題ありません。
同梱物は商品が届いたタイミング以降読み返すことはそう多くありません。
同梱物以外何もしないと、顧客は1ヶ月程度事業者さんからの情報に一切触れないことになります。
その情報不足を補うツールがメールです。
故に、コンテンツは同梱物と被って問題がない、というかむしろ被せるべきです。
企業として、顧客に「こうなってほしい」という一貫したメッセージを届けるというのはCRMのキホンのキです。
しかし、メールは全ての顧客にリーチできるチャネルではありません。
会員登録や購入時のデータの取り方にもよりますが、メール配信「OK」の顧客は60%程度だとします。
1,000人の新規顧客がいたら、600人にメールが送れます。
定期継続用ステップメールの開封率は低くて30%程度で、開封者は180人になります。
そうなると、情報が届く顧客は新規顧客全体の18%です。
この数字を高めることはもちろん可能ですが、チャネルの性質上仕方ない面もあります。
なので、考え方としては「この18%に必ず刺さるコンテンツをつくる」という考え方をしましょう。
「1ヶ月にだいたいどれぐらいの通数送れば良いの」という質問を多くいただきますが、大体は5~7通(1ヶ月目)で、2回目以降は少し減らします。
これはあくまで参考なので、まずはシナリオの骨子とコンテンツを決め、それを届けるために必要な通数を見積もりましょう。
通数ありきで設計しない方が良いです。
メールでどれだけの顧客にリーチできるかによっては、LINEやSMS、DMなどのチャネルを複合的に活用して情報を届けられる母数を増やしましょう。
コールセンター
まず行うべきは解約理由を把握することと、解約理由に合わせた「継続応援」の施策を用意することです。
解約理由は「効果ない」「余った」「お金ない」という最終的な状態ではなく、この状態に至った経緯を把握するようにしましょう。
例えば化粧品の定期で「効果がない」と解約の申し出があった顧客に「化粧品の使用と一緒にマッサージは実践していますか」と質問し、していなければマッサージの方法を説明し、その内容が載っている同梱物を再度送ってフォローを行います。
そのうえで「よろしければもう1ヶ月試してみてください」と継続を提案、納得いただければ継続という流れです。
うまくコミュニケーションできると、かなり多くの顧客が継続を選択してくれるようです。
ここで大事なのはあくまで「まだ効果実感できるのに、機会を失おうとしている顧客の背中を押す」ことであってそうじゃない顧客を強引に継続させることではありません。
「継続応援」という言葉は受け売りで使っているのですが、素敵な言葉です。
顧客数の規模がまだ小さい段階では、外注せずに自社で直接顧客とコミュニケーションをとり、生の声を聞きながらスクリプトを磨いたりしても良いかもしれません。
後編は制作物の費用感やPDCAの回し方についてお伝えします。
それでは。
【参考】
シナリオ設計の方法に関する記事
CRMシナリオ設計の考え方(前編)
CRMシナリオ設計の考え方(後編)