悲しみと同じくらいの喜び
「生まれ変わったら、わたしと結婚してね」
そしたら「いいよ」って言ってくれたから、それから指切りをした。
きみは本当に信用ならない男だけど、本当にうれしかった。
このまま死んでしまえたらどんなにいいか、息を吸うたびそんなことを思いながらビデオ通話を切った。
わたしたちが、顔を合わせることはきっと二度とないけど、またね、と言って次があるみたいにさよならするのは、いつだってあの日のわたしの決心をにぶらせる。
しってる?失恋って、その人を亡くしてしまうことと同じなんだって。
じゃあ今のわたしは、きみを亡くしたことを受け入れられなくて、死体を蹴りながら「まだ死なないで」って悪あがきしてるだけなんだよね。
悲しみも喜びも所詮、脳のはたらきにすぎないけど、きみを亡った悲しみを、今この死体蹴りの間に、悲しみを上回る喜びを与えて欲しいんだ。
自分じゃどうにもできなかったから、早々に根を上げた根性なしでごめんね。
ちゃんと葬るから、それまではうまくやってね。
大好きだよ。
*43日目