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クラリティ
息をはくように、嘘が混ざった言葉を言うんだって。
自分でも気付いていないね。
わたしを喜ばせるための嘘だね。
嘘だとわからなかった頃だったらうれしかったな。
嘘だとかわってからもその瞬間だけはうれしいよ。
会いたいも、好きも、口から出た瞬間は嘘じゃないもんね。
その瞬間だけは本当だもんね。
わたしのとは透明度が違うだけ。
わたしの会いたい、好きは100%の本当の気持ちだけど、同じだけの気持ちを求めるのはわがまま過ぎるんだね。
うるさいよ。
きみも同じだけ求めてよ。
わたしは毎回毎回どうにかきみの複雑な気持ちを単純化させようと策をめぐらせる。
その時だけの嘘じゃなくなるように。
心を単純にして、しがらみをふりほどき、行動が心に従うように。
多分、徒労。
気持ちいいだろうね。
これほどまで、自分のことが好きだと伝えてくれる女がいるなんて。
きみの寂しい気持ちが満たされるだろうね。
いつだっていい。
わたしを呼んで。
わたしは100%で答える。
透明度が高いからって純粋な思いとは限らないよね。
きみが好き。嘘はない。
けど、結果、これはきみの不幸を願う思い。
断ち切らなかったのは、お互い様なんだからもう仕方ない。
わたしはその心をあふれるくらい満たしてあげるよ。
きみの嘘が本物になるまで。
嘘でもその口から出た言葉は取り消せやしないよ。
あの日のわたしの輝きが消えたって、この思いは決して濁りはしないの。
*62日目