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令和の白馬の王子様像 傲慢と善良を読んで!
『傲慢と善良』読書感想文的なもの
先日、辻村深月さんの小説『傲慢と善良』を読みました
粗筋
婚活アプリで出会った彼女にストーカーの影がちらつく。婚約後、彼女は突然姿を消してしまう。残された彼は彼女の過去を辿る中で、知られざる一面を知っていく。物語は前半を男性視点、後半を女性視点で描き出し、二人のすれ違いと失踪の真相が明らかになる
本作では、善良さと傲慢さが対比的に描かれています。善良さは「良い子」として、人の意見ばかりを聞く自分の意見がない人物として、傲慢さは「プライドの高さ」として、自己愛の強さとして描かれている
しかし、本当に自分がないことはいけないことなのか、自己愛が強いことはいけないことなのか、問いかける
物語が進むにつれて、それぞれの人物が抱える葛藤や成長が描かれ、単なる二項対立では捉えられない複雑な人間模様が浮かび上がります
彼女は、周囲の期待に応えようと「良い子」を演じていた。しかし、彼との出会いが、ありのままの自分を認めるきっかけをつかむ
思いがけない方法で…
一方、彼は、女性を「良い子」としてステレオタイプな女性像に当てはめ評価していた。彼女の本当の思いに鈍感な己の愚かさに気づき成長していく
二人はお互いを尊重し、新たな気づきを得ることで、真のパートナーシップを築いていく
本作は、単なる恋愛物語としてだけでなく、現代社会における女性の生きづらさや、結婚という制度の問題点も浮き彫りにしている
結婚が「婚活」という一つのやっかないなイベントを生み出した現代において
自己評価と他者評価に悩み苦しむ女性達に、この作品を通して「あなたは、あなたのままでも大丈夫」というメッセージを届けばいい
そして、なんだか、
バカな男ども、これが女性が今、求めている男の理想像だ!この野郎
という作者の叫びが聞こえてきたような気がした。
『傲慢と善良』は、人間の複雑な内面を繊細に描き出し、読者に多くの問いを投げかける作品です。ぜひ一度、手に取って読んでみてください
(書籍情報)
『傲慢と善良』辻村深月 著(朝日文庫)