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「気まぐれ外出日記」
自己紹介の記事でも軽く触れているが、私には脳性麻痺という先天性の身体障害があり、日常生活のほとんどの場面でヘルパーのサポートを受けながら生活している。
親元を離れ、「障害者向けシェアハウス」に入居してからは自己責任のもと、電動車椅子に乗って1人で自由に出かけられるようになった。
介助者なしで外に出かけるのはリスクもあるが、人の善意や優しさに触れ、心がふっと温かくなることも多い。
たとえば、駅。電動車椅子ユーザーが1人で電車に乗る際には駅員(正確にはサービス介助士)に降りる駅を伝えたうえでホームまで付き添ってもらい、電車に乗るためのスロープを設置してもらわなくてはならない。
出かけている時間によっては行きも帰りも同じスタッフが対応してくれることもあり、「お出かけは楽しかったですか?」などと声をかけられると、言語障害のため返事こそできないものの、やはり嬉しくなる。
顔なじみのスタッフになると、暑さの厳しい真夏などは「今日は特に暑いですね」という風に、季節感をまじえたコミュニケーションを取ってくれることもある。
もちろん、めったにあることではないが、だからこそ、些細なコミュニケーションを大切にしたい。
あるいは、銀行。シェアハウスに移ってからはほぼ月1回のペースで近所の銀行に行き、生活費を下ろすことにしている。当然、自分ではATMを操作できないから、手が空いている職員に付き添ってもらい、代わりに下ろす金額などを入力してもらう。
普段はたいてい同じ職員が対応してくれるのだが、タイミングなどによって不慣れな職員が対応することもある。
その場合、キャッシュカードをリュックのどこに入れているかわからず、ATMに行く前に手間取ってしまうことも多い。
そんな時、事情を知っている職員が新人の職員にそっと「リュックの○○にあると思うよ」と耳打ちしてくれることもある。このような「助け合い」は私自身のストレス軽減のためでもあるが、銀行側のタイムロスをなくすうえでも意味があるだろう。
事情をよく知らない職員でも、新人が対応に手間取っていることを察すると、「引継ぎ資料に書いてあるから確認して」と伝えてくれることもある。
私の情報は知らないうちに、細かい部分まで資料として残されているらしい。
これからも、外出でのほっこりエピソードを気ままに綴っていきたい。