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いちばん大きなかなしみに
タイトルのコピーにピンと来て買った『さよならのあとで』という詩の本。
英国教会の神学者ヘンリー・スコット・ホランドさんという人が著した詩を、高橋和枝さんという方が訳している。
"死はなんでもないものです。
わたしはただ
となりの部屋にそっと移っただけ。"
という一文ではじまる、優しい優しい詩。
私の海外行きを応援してくれていた祖母が2年前に亡くなってから、生きていたときよりもリアルに祖母の声や笑顔があたまの中で再生されたり、「こんな時はこういう風に言いそうだな」と思ったら本当にその声が聞こえるような気がしたり、亡くなった直後はどうしても遠くへ行ってしまった気がしていたけれど、だんだんそれは違うんじゃないかと思うようになった。
だから、この詩は死について書かれたものの中で一番腑に落ちた。
神学者で哲学者でもあったというヘンリーさんはきっと、この詩を思考を重ねて書いたんじゃなくて、ふっと何かが降りてきたように一気に書き上げたんじゃないかな。そんな気がする。
100年以上前に書かれた詩なのに古びないのは、それが真実だからに違いない。
肉体的に存在しなければ存在しないなんて、ありえない。
いないけど、いる。
存在を感じられる限り、存在する。
祖母が亡くなってから2年。むしろ以前よりその存在を力強く感じながら、そんなことを想っている。
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