土佐日記はじめました#3 船の上で正月を迎える①
年末に出発した紀貫之一行は、まもなく正月を迎えます。
彼らはふるさとではない土地、それも旅の船の上で迎える正月の不自由さを嘆いてこれから向かう都への思いを一層募らせます。
土佐のお医者さんが持ってきたお正月のお薬アイテム
12月28日に大湊という場所に停泊していると、土佐のお医者さんが、「わざわざ」持ってきたものがあります。
まずは、屠蘇(とそ)
土佐日記のころは「とうそ」と読んだそうです。元日にお酒にひたして飲むお薬で、邪気や毒気をはらい、延命の効果もあります。お薬の内容は山椒の実やキキョウの根などの生薬5〜10種類。これらの生薬は屠蘇散や屠蘇延命散と呼ばれ、現在でもドラッグストアなどに売っているのでそれを自分でお酒とみりんに漬け込めば屠蘇が作れるようです。
中国から日本に伝わり、江戸時代に一般庶民にも広まったもので、現代では単に正月に飲むお酒とも認識されているようです。
以下のサイトにお屠蘇の飲み方の作法が紹介されていましたが、地域や家庭によっても違いが出てくるそうです。私の家は宗教色も薄く、転勤族がゆえ地域性も薄いのでお屠蘇の作法など伝わるはずもありません。ですが、祖母が毎年お酒を用意していました。飲み方を今度もっと詳しく聞いてみましょう。
続いては百散
これは屠蘇とほとんど同じで、元日にお酒に浸して飲むお薬。屠蘇との違いは何なのかまだピンときていません。
お医者さんが親切に屠蘇と百散を持ってきてくれたのが29日、とんで元旦を迎えるとあることが発覚します。前日の夜に紀貫之御一行の従者の一人が船の上の小屋に百散をちょっとはさんでおいたら、風にふかれて海に落ちてしまったのです。これで元旦に飲むはずのありがたいお酒が飲めなくなってしまいました。
(イラストbyカナデ)
長くなりそうなので次回に続く。。
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