海外でLCCに乗ったら散々な目に遭った話
海外旅行。
それは、割とみんなが憧れる旅行のことだ。
日本を離れ、文化も言葉も違う場所へ行くというのは、中々にロマンも感じるし、ハードルも高い。
自然、そんな憧れからすごく楽しい旅行のように見える。
確かに海外旅行は非日常に溢れていて本当に楽しい。しかし、国内旅行では到底考えられないようなトラブルに遭遇することも往々にしてあるのだ。
今年1月、私は転職の合間の長期間の休みを利用して海外旅行に向かった。
行き先は、ヨーロッパとアジア、中東の狭間にある「南コーカサス地方」という場所だ。
いろんな文化が混ざっている非常に面白い場所で、実際行ってみてすごく楽しかった。
だが、海外旅行は苦労の積み重ねというが必然、その10日間にも及ぶ旅行の最後、同地方から日本に帰る飛行機で、散々な目に遭わされた。
是非「海外旅行!映え!美味しいご飯!映え!楽しい!」などのイメージを持っている脳内お花畑の方々の幻想を存分に打ち壊していきたい。
1.空港チェックイン
2024年1月某日。アルメニア共和国 首都エレバン。
私は10日間にも及ぶ長い旅行を終えて日本に帰るべく、タクシーでエレバン空港へやってきた。
アゼルバイジャンに始まり、ジョージア、アルメニアとこの10日間で3カ国も回ったが、正直10日も海外で過ごしていると、そろそろ帰りたくもなってくる。
私は余裕を持って、出発時間の2時間も前に空港へ到着し、早速飛行機の搭乗手続きを行った。新幹線に乗るのに2分前に駅に到着する国内旅行とはえらい違いである。
今回は、エレバンからイタリアのローマ、ローマから中国上海、上海から日本へ帰るという大回りで帰ることになった。安いルートがこんな面倒なものしかなかったためである。
そんなエレバンからローマへ向かう飛行機はヨーロッパの某格安航空会社、いわゆるLCCであった。LCCなんて安かろう悪かろうなイメージ(実際その通り)だったのでこれには初めから辟易したが、安さには勝てず予約してしまっていた。
ロシア人の老害ババアに列を抜かされながらようやくチェックインしようとすると、何やら係員が眉根を顰めている。すると、何やら紙に何かを書きながらこう言ってきた。
「あなたはお金を払う必要がある。これ持って2階の窓口へ行ってください。」
???
あまりの突然の要求に頭が固まった。一瞬詐欺かと疑ったが、アフリカじゃあるまいし空港職員がこんなにも堂々と外国人を騙すわけがない。とりあえず行けというのでそのカードを持ってその場を離れることにした。
お土産のワインやらブランデーやらで超絶重くなったスーツケースを引き摺りながら2階の窓口へ向かう。幸い、そのLCCの会社のロゴが見える窓口があったので話を聞いてみることにした。
あなたの英語がわからないと言われながら何のお金なのか問いただすと、以下の返答が。
「あなたは乗る前のオンラインチェックインをしていないので、手数料がかかります。あ、オンラインチェックインの時間はもう締め切っているので今からはできません。」
現金で払えと言われたが、手持ちがなかったので一旦窓口を離れてATMへ向かう。
そんなこと言われたか?と思いながら航空券のメールを見返すと、こんなメールが。
しっかりと日本語で案内が来てました。
たしかにこのメールを見た覚えはあったが、「手数料が必要」という部分は読み飛ばしていて「オンラインチェックインなんてしてもしなくても一緒だろ〜」と呑気に考えていた。
そもそも、これまで飛行機に乗ってきて、事前にチェックインしてから搭乗するという経験がただの一つも無かったため、飛行機に乗る前にチェックインをするという常識が自分の中になかったのだ。ここで、飛行機嫌いによる搭乗経験不足が出てしまった。
お金を下ろして窓口に戻ると、「5分後に戻ります」という書き置きを残して係員が離席していた。仕方がないので窓口前で待っていると、何やら私と同じ紙を持ったイタリア人カップルが何かを嘆き合いながら窓口へやってきた。
同じ状況かと思い話しかけるてみると、やはり追加で金を払えと言われたとのこと。
「こんなのは絶対おかしい。抗議してやる」と彼氏の方が息巻いているところへ係員が戻ってきた。
早速イタリア人彼氏が抗議に向かう。
だが、係員は「無理なものは無理」と、日本の役所も真っ青な切り返しで相手にもせず、まさに「とりつく島がない」という状況が目の前で繰り広げられていた。
「はい次次」と係員がお金を持った私を促してきたので、指定された25000アルメニアドラム(日本円で約1万円)を支払う。
金を払い終え、支払い証明のようなものを渡されたので、まだ抗議しているイタリア人を横目にチェックインカウンターへ行くと、今度はすんなり通れた。
こうして、ただチェックインするだけで1万円近くも取られて出国するはめになってしまった、
2.搭乗
馬鹿みたいに並んでいる出国審査の列に並んでいると、さっきのイタリア人が自分と同じように並んでいた。自分と目が合うなり「結局金払わされたわ」みたいなことを言ってきたので苦笑しつつ「good luck」と返してから出国。結局、LCCの宿命なのか、ちゃんとオンライン手続きをしないと金を取られるルールになっているらしい。
さて、そんなこんなで出国審査を終え、X線検査を終えてから40分ぐらい出発時間を待ったのち、ようやく搭乗時間と相成った。
係員の誘導に従い、滑走路に降りてから乗る飛行機へと向かう。そぞろ、乗客100人弱が滑走路を歩く姿はまた日本では見られない景色であり壮観であった。
そうしていざ乗る飛行機の前までぞろぞろとやむてきたのだが、問題はここからである。
乗る予定の飛行機のドアが、全然開かない。
この写真では開いているのだが、なぜか乗れないという状況。
しかも、なぜかこの状態のまま30〜40分ぐらい待たされた。マジでどういうことだよ。
アルメニアは北半球なので、1月ともなると真冬の真っ只中である。そんなクソ寒い冬の中吹きっ晒しの滑走路に何十分も待たされるこっちの身ときたらたまったものではない。
海外のいい加減なオペレーションに慣れているイタリア人やアルメニア人からしても、さすがにこれには堪えたとみえ、局所的に不満の声が上がっていたようだった。
そんな吹きっ晒しの中、乗客皆、前と後ろの入り口の二つに分かれて並んでいたのだが、いざ搭乗開始の時間となると、何故か前の扉からしか搭乗できず、仕方なく前扉の列に並んでいると途中から後ろ扉も開くという、この上ない手際の悪さを遺憾無く発揮していた。もう、今すぐ航空事業をやめて欲しい。
3.離陸
日本でやろうものなら非難轟々、倒産不可避な搭乗オペレーションののち(当然謝罪など一切ない)、約20分遅れで飛行機は離陸作業を開始した。
その滑走路に出るまでもノロノロとしていていつまでも飛び立たず、CAは私用のスマホでインスタを見ながら談笑している。まさにヨーロッパの悪いところを全て詰め込んだような地獄のような機内の雰囲気であったのだが、私の周囲もまた最悪であった。
以下、私の近辺の座席図である。
地獄か?
まず、私が座るなり、右側の母親が自分の息子を音が出るほど殴っていた。
どうやら息子がいつまで経ってもスマホゲームを辞めなかったのにキレてたらしいが、それにしても比喩表現でないほど音が出るまで殴るとはどういう状況なのだろうか。
そしてふと左を見ると、ローマからスペインへ向かうらしいロシア人の女の子がCAに何やら交渉している。
どうやら、この飛行機が遅れたせいでローマでの乗り換えが間に合わない可能性があるらしく、待ってくれるか交渉していた。だが、CAは「あ〜、ビミョーやな。最悪乗り換えできんかもしれんわ。すまんw」みたいな態度。それからどういう交渉をしたか分からなかったが、少し会話のラリーが続いて終了した。結局ちゃんと乗り換えられたのかは、今でも分からない。
4.フライト〜着陸
さて、そんなこんなで数々の難関を乗り越えて離陸したわけだが、正直言って、ここからが地獄だった。
離陸して数十分、とてつもなく喉が渇いてきたのである。
だが、機内で水分を得る手段が一切ない。
ペットボトルは離陸時の荷物検査で引っかかるので当然持ち合わせているはずもなく、激安LCCなので当然飲み物はぼったくり価格の有料である。
どうしても喉が渇いたので、1本1000円ぐらいのコーラを買うか迷っていたらなんと自分の席に来ないまま機内販売が終了した。
本当に意味がわからないのだが、もう耐えるしか無い。喉の渇きに耐えつつ、リクライニングもできないクソ硬い座席で眠ることもできず拷問のような4時間に耐えながら、ローマへ向かった。
なんだかんだあり、ようやく着陸のアナウンスが入る。ホッと胸を撫で下ろしていると、今まで爆睡していた横の親子が起きていた。
と、さっきまで音が鳴るほど息子をぶん殴っていた母親が今度は何やら猫撫で声で息子の頭をチュッチュしている。もうどういう精神状態なんだよこいつは。
着陸後の長い長い待ち時間の後、漸く飛行機のドアが開き私は機内から飛び出した。荷物を回収するのも忘れ、自販機を探して事前に両替していたユーロ紙幣をぶち込み、取り出し口に落ちてきた水を勢いよく取り出すと、もう獣のように水を貪り飲んだ。
嗚呼...俺生きてる...
500mlの水で生の実感を感じつつ、荷物を回収。
もう二度と乗らないからな。
そう飛行機の方向に小声で恨み節を述べ、私はローマ空港の喧騒に消えた。
5.まとめ
さて、ここまでいかに海外旅行が地獄だったかお分かりいただけただろうか。
まあ、今回の一件は私も悪い部分もあるのだが、それにしても日本がいかに素晴らしい国なのか実感した次第である。
今後、日本にムカついた読者諸兄は、ぜひこの記事を読み返して、日本の素晴らしさを再認識してほしい。
最後に、目の保養に海外で撮った綺麗な景色の写真でも貼っておく。
以上。
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