クレドその後に。其ノ三【小林 寛和さん】
どこよりも学生インターンを熱く募集し、そして実際に学生が集まる会社。
それがクレドシップだ。
「志」「交差点」という言葉をよく耳にするものの、実際にはどんな歴史が紡がれてきたのかまだまだ謎の多い会社である。
志を持った学生がクレドシップという箱を通して成長し、そして卒業後どこへ進んでいくのか。
その模様を広報の学生インターン上野が「クレドその後に。」と題し、紐解いていく。
今回インタビューを受けていただいたのは、「Learning Linkage Project」にメンターとして参加した小林寛和さん。クレドシップではアウターンの運営に携わった。
静岡県出身で、立命館大学への進学のため京都へ。大学卒業後は東京大学大学院で教育行政学を学ぶ。現在は文部科学省で働き始めて3年目になる。
クレドハウスの運営
クレドシップでの思い出について聞いたとき出てきたのは、大学4年生のときにクレドシップに関わる学生4人で始めた「クレドハウス」というシェアハウスだった。
「クレドハウスでは月に1回、クレドオープンハウスをしていました。
その当時そこに住んでいた料理好きな人にご飯をいっぱい作ってもらって、クレドに関わりのある学生や社会人が、入れ替わり立ち替わり毎晩30~40人くらいが参加していた。
それぞれが自分の今やってることや、感じている事、志を夜通し語ったりする場をつくっていました」
人が出会う場所や、安心して自分の思いや悩みを語れる場所というのが、コミュニティの機能として大事だと感じた。
また、そういった場作りを通してクレドや京都の学生のコミュニティに対し、自分なりに恩返しをしたいという思いから、一生懸命運営をした。
「多様性みたいなものが育まれる土壌を作るのはすごく楽しいなってその時感じていた。
多様なバックグラウンドを持つ人たちが集まって、ワイワイガヤガヤ話して。
その中で刺激をもらって自分の日常に持ち帰ったりするっていうのがすごくいいなーっていうのが、クレドに関わって気づかされたことの一つですね」
クレドシップはおもろいものを受け入れてくれる、お友達のような存在だった。「やってみなはれ」の精神で挑戦させてもらえた経験は、社会人として働く今も成功体験として自分の自信になっている。
院進学、そして文部科学省へ
教育の仕事に携わる両親の影響で、昔から教育に対する関心は高かった。社会における教育の在り方について考えるため、大学では法学部で公共政策学や行政学を学んだ。
大学卒業後の進路を決めるとき、ベンチャーや大手への就職という選択肢も存在した。しかし公共政策に関わる仕事に従事したいと思ったとき、政策立案の最大のシンクタンクである霞ヶ関で働くことを真剣に考え始めた。
「国家公務員試験や、自分の就活に対するモチベーションだったり、色んなことを加味するとなんとなくそこから逃げているところがあった。
本当に最後やりたいことって何だったんだろうなって初心に立ち返った時に、将来的には教育の仕事に携わりたいという想いがふつふつと出てきたんです」
教育の仕事に携わるなら、もう少ししっかりと教育の勉強ができたらいいかもしれない。そう思っていた時、教育行政学という学問分野を知った。
「日本で一番教育行政学の研究環境が整っている東京大学の大学院でね。
実際に一度行ってみようと思って、研究室訪問をして、帰りに過去問を買って帰ったんです。
そしたら、問一に『社会の課題が複雑化し、一つの領域だけでは物事が解決しないような時代の中で、教育行政はどうあるべきか』みたいな問いが質問としてあった。
まさに自分が大学四年間を通じて考えてきたことだったし、問いとしてそれを突きつけてくれる場所があるんだったらチャレンジしてみたいと思って、大学院進学を決意しました」
大学院での学びはとても楽しいものだった。
「大学院の2年間は、京都で過ごした4年間の大学生活の経験を、正解にしていく旅路だった気がしています。」
教育行政学の勉強をするのであれば、文部科学省に就職することは大学院を受験したときから決めていた。
「文部科学省に入るのであれば、『教育の質と平等の同時追求』をしたいとずっと言っていました。
それを目指して今も働いているけど、本当に自分の人生を通じてやりたいことかって言うとまだそんな気がしないんですよね。」
ただ、仕事を続けていけばその答えが分かるかもしれないという気持ちもある。それを確かめるためにファーストキャリアでは文科省で働いている。
「学生の頃に思っていたこととの違いとしては、やっぱり仕事って実務をやるっていうことがすごく大事だなって気がつきました。
もっと世の中こうなったらいいよねって思うことはたくさんあると思うんだけど、それを実現するために手を動かすのは結局自分なんですよ」
想いを実現するためには、願っているだけでは何も変わらない。社会人になり、地道に積み重ねることこそが想いを実現すると知った。
今の志
「文科省っていう場所で働いている今の自分で言うと、『開かれていること』と『対話的であること』がすごく大事だと思っています。
色んな声を拾ったり、届けたりできるっていう開かれている空間が、そもそも民主主義をつくる上で大事だと思っていて。
そういう政策立案のプロセスを実現したいなと思っています。
かつ、役所に閉じこもってるだけじゃなくて、外に出て行ったり、仕事を通じて出会う人と対話をしながら自分自身も成長させていかなきゃいけない。
そのためには対話的である姿勢がすごく大事だと思います。
それを本当に実現していくっていうのが当面の自分の志な気がしています」
開かれている場をつくることは、当然リスクも伴う。しかしみんなが安心して集まれる場所の必要性は、クレドにいた頃に学んだことだ。
大学生の自分が憧れていた場所で働く今、その頃の自分に恥じないように働きたいと強く思っている。
〈インタビュアー上野の感想〉
今回は小原さんに続いて、文部科学省で働かれている小林さんにインタビューさせていただきました。しかし同じ場所で働いていても、そこに至るまでの原体験や問題意識のちがいを感じられるインタビューでした。
小林さんのお話でとても印象的だったのは、自分で選んだものを「正解にしていく」というマインドを強く持たれていたことです。
周囲からは否定的なことを言われたとしても、自分が目指すものを信じ続けることが、道を切り拓くことに繋がるのだと思いました。
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