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司法試験過去問解答例

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#司法試験憲法

R2司法試験 商法

設問1
第1 新株発行無効の訴え
 Bは、本件決議1ないし2には後述する決議取消事由があることを理由に、既に効力が生じている本件株式発行の無効の訴え(会社法(以下省略)828条1項2号)を提起する。
 本件株式発行の効力は令和2年4月10日に生じているため「1年以内」(同号かっこ書)であり、また、Bは甲社株式を2万9000株保有する「株主」(同条2項2号)である。
 さらに、株主総会決議の取消事由

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R2司法試験 憲法

第1 規制①について
 規制①は、乗合バス事業者に対し、高速路線バスの運行のみを行うことを禁止するものである。これは、乗合バス事業者の職業遂行の自由を侵害し違憲ではないか。
 1 職業遂行の自由
 憲法(以下省略)22条1項は、職業選択の自由を保障している。これは、職業選択により収益を得て自立した生活をすることを保障するものであるが、職業を選択してもその遂行まで保障されなければ収益を得ることはでき

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R1司法試験 憲法

第1 立法措置①について
 1 虚偽の事実を流布する自由
 立法措置①は、虚偽事実の流布を禁止し罰則を科すとしている(法案第6、25条)が、虚偽事実の流布は憲法(以下省略)21条1項で保障されるか。
 21条1項は、表現により政治参加をするという自己統治の価値および表現が交流することにより人格を発展させるという自己実現の価値を含むことから保障される。虚偽事実は、政治を混乱させることから自己統治の価

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H24司法試験 憲法

第1 〔設問1〕
 1 提起すべき訴訟
 Dは、A寺への助成が政教分離(憲法(以下省略)21条1項、3項、89条)に反することを理由に訴えを提起したい。
 もっとも、政教分離は国家の宗教への中立性を要求する制度的保障にすぎず、個人の権利を構成するものではないため、国家賠償のような主観訴訟を提起することはできない。
 そこで、客観訴訟として、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、B村知事に対し、

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