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年越しが近づくとため息が出る
クリスマスやら正月やら、気忙しいこの時期が、どうも好きになれません。
5年前に書いていた記事でも吐露していますけど
身近なところで納得のいかないことが増え、生活に支障が出るといっても過言ではない " クリスマス前〜年明け " は、いつも憂鬱です。
正月ゆっくりするために、その直前にアホほど忙しくなるのは大嫌いなので、大掃除なんかは11月からちょっとずつやっていて、残すところは網戸の掃除くらいです。
我が家は夫婦二人なので気楽なもんで、本当はおせち料理なんかもいらないんですけど、元日は下の階に住む母と一緒に新年を迎えるため、一応用意はするんですね。
母が楽しみにしているので。
簡単なものだけですけど。
でも、それもだんだん面倒になってきて、年々種類が減りつつあります。
っていうか、減らしていっています。
いつか、おせち制度をやめたいので。
一気に減らすとバレちゃうので、ちょっとずつ減らす作戦です。
たぶん母は、「別に用意しなくていいよ」と言ってくれると思うんですけど、正月のたんびに「これ、毎回楽しみなんだよ〜」なんて言われちゃうと、いきなりやめるのは気が引けますから、フェイドアウトしていこうと思ったわけです。
正月なんて、雑煮一択でいいんですよ、ワタシたちは。
「正月はコレ」みたいなものはないですし、なんなら田舎から届く餅だけ食ってりゃいいっていう感じで、正月の準備というのがまぁまぁストレスになっています。
" 年越しそば " も然り。
大晦日にそばを食べる意味は、その年の厄災や苦労を断ち切って翌年に持ち越さないとか、長寿や健康を願うとか、そばの切れやすさや細く長い特徴に由来して、江戸時代にはじまった風習といわれています。
なんか、食べるのが当たり前になっているので、「食べないとよろしくない」みたいな感覚になってしまっているところがすごくイヤです。
別に、食べなくてもいいのに。
自分の問題なんですけどね。
子供の頃から刷り込まれているものですし、食べないと縁起が悪いみたいな。
年越しそばを食べるたんびに、「これって意味あんのか?」と思ってしまうわけです。
そばを食べたくない時だってあるでしょ?
今はパンが食べたいんだけど、とか。
なのに「年越しなんだから、食べなさい」と言われる。
食べたくないもん食べて、いい年なんて迎えられるわけなかろう?
って思ってましたからね。
母は「スパゲッティでもうどんでもいい。長いもんなら、それでいい」と、そばに限ってはいませんでしたけど。
『長寿』や『縁が長く続くように』みたいな願いをこめて「長いものならいい」ってことだったんでしょうけど、大晦日は絶対麺類でしたね。
ピザやらカレーが食べたいと言っても「それは、お正月終わったらね」と言われましたから、母としては " 長いものを食べる " という点は大事にしていたようです。
それが、田舎に帰るとそうはいかず、ばあちゃんなんかは「縁が切れないように、切らずにすすって食べなさい」だの「幸せが逃げるから残さず食べなさい」だの、食べ方にまで口を出してくるし、お腹が空いていなくても強制的に食べさせられたので、年越しそばには良い印象というものがありません。
とはいえ、なんだかんだ『大晦日は年越しそば』となっていて、この時期にスーパーに並ぶ「年越しにぜひどうぞ」といった " 少しお高い生そば " を買って食べます。
数年前、「そばだけじゃなんだから、天ぷらも食べようか」と、とあるうどん屋に天ぷらを買いに行った時のことです。
とても有名な、生き物の名前が入ったうどん屋です。
ワタシはうどんが食べられないので、そこへは行ったことがなくよく知らないのですが
ボス曰く「天ぷらだけ買える」ってことだったので、車で30分くらいの所にあるその店まで買いに行きました。
入店すると、「いらっしゃいませ〜!」と元気な声が。
店の中央に、カウンターのように並べられた机がコの字型に配置され、そこに白い調理衣を着た若い男性 ( たぶんバイト) が3人立っていて、壁には大きく『本日は天ぷらのみ販売』と掲げられています。
机の上にはものすごい量の " えび天" のパックが山積みになっていて、表示にはこう書かれていました。
『えび天 390円』
さんびゃくきゅうじゅうえん?
2つ入り?
ちょっと意味がわからないので、そろそろと近づいてブツを確認すると、そこまで大きくないえび天が1つ、パックに入っています。
ひとつで、さんびゃくきゅうじゅうえん?
我が目を疑いました。
行ったことがなくても、リーズナブルで美味しいと評判のうどん屋、と認識していただけに、驚愕。
「こういうこと、するんだ」と。
これにはボスも目ん玉が飛び出たようで、無言で静かに驚いていました。
通常価格は知りません。
年末用の、特別な海老なのかもしれません。
でも、390円って。
ちょっと、どうなの。
『特大えび天』らしいんですけど。
" 特 " ではない。
" 大 " でしょ。
えび天以外は見当たらず、『野菜天ぷら 500円』のパックが数個あっただけでしたから、これなら『本日、えび天のみ販売』でいいんじゃね?と思っちゃいましたよ。
普通のが食べたかったのに。
普通のでいいのに。
「せっかく来たから」とボスがいうので、えび天5つ、野菜天1パックを買って帰りました。
天ぷらだけで、2450円。
揚げたてじゃない天ぷらに、こんな金額を出したのははじめてです。
年越しそばというものに良い印象なんてあるはずがありません。
次の年から、我が家の年越しそばは、1袋300円くらいの乾麺で『盛りそば』になりました。
普通においしい。
満足です。
年末年始のこういった風習は、我が家ではいつか卒業したいと思います。
もちろん、意味をしっかり理解した上で、神様への感謝を忘れることはありません。
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