
架空の合コンで出会った、フレームデザイン大好き女子。
はじめに
初めまして。CMプランナーの大野聡馬(おおのそうま)と申します。週末限定で、お笑いの養成所に通っていたりします。ADKには様々なクリエイティブコンセプトを掲げるチームがあり、中でも僕が所属するチームはフレームデザイン・クリエイティブというコンセプトを掲げるチームとなっています。
フレームデザイン・クリエイティブとは、中長期的に同じ表現フレームを継続することで企業やブランドの売上やブランディングに貢献する広告コミュニケーションのことです。

ちなみに、ネットで「フレームデザイン」と検索すると、オシャレなデザインのフレームがたくさん出てきます。もし、検索する際は「フレームデザイン・クリエイティブ」にて。僕のスマートフォンでは「ふ」と入力するとフレームデザイン・クリエイティブが予測変換されてしまいます。みなさんも検索はほどほどに!ちなみにこれは余談ですがフレームデザイン・クリエイティブの次に出てくる予測変換は「孵化してから言えよ」でした。いつどこで使うんでしょうね…
架空の会話で紐解くフレームデザイン
このnoteではフレームデザイン・クリエイティブとは何か?を解説するだけではありません。誰かと自分の会話という手法で、より深く自分自身と向き合い、自分の脳内にある考え方をなるべく分かりやすく、自然な形で言語化したいなと思っています。
自分にとってのフレームデザイン・クリエイティブとは?フレームデザイン・クリエイティブに隠された新たな価値はないのか?この辺りを探っていきたいと思います。
それでは、架空の合コンでの架空の女性との会話をお楽しみ下さい。
架空の合コン。架空の一軒目。
大野「こんな分際で遅れてしまってすいません」
架空の合コンがあるにも関わらず、
架空の仕事が長引いてしまった。
男性A「おい〜なに遅れてんだよ!」
男性B「とりあえず自己紹介!」
架空の男性陣が騒いでいる。
大野「大野聡馬です!広告代理店でTVCMの企画をしてます!今日は遅れてしまいすいませんでした!」
あたりさわりもなければ、
面白みもない自己紹介を済ませる。
女性A「でた〜広告代理店!」
女性B「ちゃら〜い!」
架空の女性陣も騒いでいる。そんな架空の合コンの中で、とある女性がこう言ったとしよう。
女性C「TVCMってフレームデザイン・クリエイティブですか?」
なぜだ?なぜこの女性は知っているんだ!?フレームデザイン・クリエイティブの存在を!!!そう叫びたくなるほどの架空の気持ちを抑えて、僕は続けた。
大野「はい…フレームデザイン・クリエイティブです」
女性C「えー!すごい!フレームデザイン・クリエイティブ大好き!」
彼女は周りの目も憚らず、大胆にも僕の隣に席を移した。架空の男性陣が彼女のおしぼりと皿を、ダルそうにまわす。
大野「え?ご存知なんですか?」
女性C「もちろんです!同じフレームのクリエイティブを続けて、単発的なコミュニケーションでは到達しえないような領域に踏み込むための手段ですよね?」
な…なんなんだ!この架空の女性は!

大野「めちゃくちゃお詳しいですね(笑)もしかして同業ですか?」
男性A「2人はなんの話で盛り上がってんの?」
男性B「フレームなんつった?」
女性A「いーよいーよほっとこー」
女性B「こっちはこっちで盛り上がろー」
大野と架空の女性Cは、架空のラストオーダーを待たずに、架空の一軒目を後にした。
架空の二軒目で花咲かせたフレームデザイントーク
SE:カランコロンカラン
大野「先ほどお電話させていただいた大野です」
マスター「大野さんご無沙汰しています」
ここは以前、架空の先輩に教えてもらった、架空のBAR。架空の広告代理店出身の、架空のマスターがやっている。
女性C「ステキなお店ですね」
大野「気に入ってもらえてよかったです」
隣の席では、架空の芸能人がウィスキーを傾けていた。
大野「ところで、どうしてそんなにお詳しいんですか?」
僕は早速、気になっていたフレームデザインの話をした。
女性C「まぁそう慌てずに。まず乾杯しません?」
大野「ごめんなさい。あまりに気になって」
SE:架空のマスターがカクテルを振る音

女性C「元カレがCMプランナーだったんです」
大野「そ…そうだったんですね」
女性C「彼ったら毎日毎日企画ばっかりで」
架空の彼を思い出す架空の女性Cの架空の横顔は、少しだけ嬉しそうな表情に見えた。まだ未練でもあるのだろうか。彼女の手元にあるズブロッカは何かを物語っていた。でも、その何かには、触れてはいけない気がした。
大野「へー!元カレさんはどんなCMを?」
女性C「フレームデザイン・クリエイティブばっかりですよ。来る日も来る日もフレームデザイン・クリエイティブ」
突然、彼女の話すスピードが上がった。
女性C「中長期的に続けることの大切さを教えてくれたのはフレームデザイン・クリエイティブを手がけていた彼でした。あっ!でも私たちはフレームデザイン・クリエイティブのように、長くは続かなかったんですけどね」
大野「フレームデザイン・ジョークですか」
なんてユーモアのある女性なんだろう。
大野「フレームデザイン・クリエイティブって4回言いましたね」
女性C「やだ!恥ずかしい!数えないで下さいよ!」
大野「本当にお好きなんですね。フレームデザイン・クリエイティブ」
僕たちのフレームデザイントークは
もう、止まらなかった。
大野「同じフレームのクリエイティブを中長期的に続けるってスゴいことだと思いませんか?」
女性C「待って!元カレも全く同じこと言ってた」
大野「マジっすか?」
女性C「もしかして元カレですか?」
大野「だといいんですけどね」
僕の架空のグレープフルーツジュースは、架空の溶けた氷でいい感じの酸っぱさになっていた。
大野にとってのフレームデザイン
女性C「大野さんにとってのフレームデザイン・クリエイティブってなんなんですか?」
突然の架空の質問に、僕は少し狼狽えた。ここでカッコよく返さなければ、フレームデザインプランナーの名が廃る。必死に言葉を紡ぎ合わせた。
大野「共通言語をなるべく多く作ること。ですかね」

BARの音が数分止まった気がした。
彼女にとってはどれくらいに感じたのだろう。
彼女C「どういうことですか?」
やっぱり伝わっていなかった。
奇をてらいすぎたのか。
僕は慌てて補足した。
大野「キャッチコピーとかセリフとか設定とか。サウンドロゴとか。もちろんタレントもそうなんですけど。共通言語になる可能性のある要素をなるべく多く含んだクリエイティブを作ることが大事だと思うんです」
彼女の返事が聞こえない。僕は続けた。
大野「共通言語になりうるようなCM内の1つ1つの要素がCMを見た人の記憶にだんだんと蓄積していって、居酒屋の会話に出てきたり、SNSでバズったり、子供がマネしてくれるようなセリフになったりしていくんじゃないかなと思うんです。大量のコンテンツに囲まれている時代だからこそ、人々の記憶に残るための1つの意識として、そういう仕掛けはあればあるほど良いと思うんです」
彼女の姿は消えていた。それでも僕は続けた。

大野「リモートでいろんなことができるようになって、従来のコミュニケーションが難しくなっている今。共通言語となりうるようなCMは、新たな人と新たな人をつなぐキッカケになるかもしれない。新たなコミュニケーションが生まれる。広がる。そんなキッカケになるかもしれない」
見かねた架空のマスターが会話に入ってきた。
マスター「フレームデザイン・クリエイティブはそういう力も秘めていると」
さすが架空のマスター。伊達に架空の広告代理店出身じゃない。架空のマスターが彼女の架空のグラスを下げようとしたその時。架空のコースターに何か書いてあるではないか。
S:中長期的によろしくね♡
さいごに
人々の共通言語になるという前提でTVCMを開発すれば、その商品やブランドに興味のなかった人にまで興味関心を持ってもらえる可能性がある。更には、どこかの誰かと誰かを結ぶようなコミュニケーションツールになれるかもしれない。架空の女性との架空の会話の中で、そう気付かされた。いちCMプランナーとして、共通言語になるための仕掛けをこれからも惜しみなく考えていきたい。
また、恐らく後にも先にも、ひとつのnote内においてここまでフレームデザイン・クリエイティブという言葉を連呼した記事はないのではないだろうか?

大野聡馬(おおのそうま)CMプランナー/鎌倉学園高等学校卒/青山学院大学経営学部卒/2016年に(株)アサツーディ・ケイに入社/3年弱のマーケティング&プロモーション職を経て/社内ブティック「スタミナ東京」のメンバーとしてクリエイティブ職に転局/2019年より現在の合田ルームに所属/コピーやセリフが真ん中にくるTVCMの企画が得意/第68回朝日広告賞入賞/第53回宣伝会議賞ファイナリスト/熱海広告祭コピーライター大喜利にて座布団4枚/三軒茶屋さくらんぼの種飛ばし大会優勝