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千年の時を超えて
“あてなるもの、薄色に白襲の汗衫。かりのこ。削り氷にあまづら入れて、新しき鋺に入れたる。水晶の数珠。藤の花。梅の花に雪の降りかかりたる。いみじう美しき児の、いちごなど食ひたる。”
枕草子、千年以上前を伝える随筆にかき氷の記載。
当時の甘味といえば麦芽から作られる飴や、米を醗酵させた甘酒、柿、ツタの一種甘葛の樹液、甘茶があったようですが、かき氷には甘葛煎(味煎とも呼ばれた)が掛けられていたようです。
大変手間暇のかかった高価なもの故、貴族の甘味ということだったみたいで庶民の口には入らなかったのでしょう。
暑い最中に食べるかき氷は今のそれとは想像できないほどに有難く体に染みる絶品だったと、想像に容易です。
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