見出し画像

長期かつ粘着的な人手不足時代。採用と定着する職場づくりをワンセットで

2025年がスタートしました。
巳年は縁起の良い年と言われ、幸運と繁栄の年とも言われているそうです。
企業にとっては様々なビジネスチャンスが訪れる、個人にとっては学びや他者との関わりにより大いに成長する、そんな年であるとのこと。

とはいえ、チャンスをつかむためには、備えること、計画性、自ら能力を高めようとする姿勢が大切。そうしたことによって「巳年の恩恵」に預かれるのではないか、そんな風に思いました。

さて、人手不足や採用のあり方、雇用のあり方など、毎日新聞ニュース等で目にしない日はない日が続いています。

厚生労働省の「令和6年度版の労働経済分析」では、「人口減少や高齢化が続くことが見込まれる中、2010年代以降の人手不足は「長期かつ粘着的」と、簡単に現状を打開できるものではないことを示すような表現に変わり、「2023年時点で、人手不足が相当に広い範囲の産業・職業で生じている」としています。

そんな中、年末の新聞記事で気になる記事が2つありました。


26年度新卒採用見通し調査から見える、中小企業の苦戦と採用・人材定着施策の重要性


1つ目はリクルートワークス研究所が発表した「2026年卒新卒採用見通し調査」です。こちらによると、

新卒採用を「増える」とした企業の割合: 13.2%、「減る」とした企業の割合: 5.4%。従業員規模別、業種別ともにすべての区分で増えるが上回っており、採用意欲は依然として高いとのこと。(2025年卒とのポイント比較では、従業員規模別では5~99人企業と5000人以上企業、業種別では小売業が増)。

また、25年度の充足率(採用予定数に対する内定数の割合)は76.8%(前年は74.7%)、比較可能な2014年以降(過去12年)では2番目に低い充足率とまとめられています。

そのような中、次のグラフはとりわけ中小企業の採用困難を示していると感じました。

リクルートワークス研究所 採用見通し調査(新卒:2026年卒)より

またこちらの記事によると、充足率の高い大企業では様々な施策を行っているとのこと。
例えば、
・「労働時間や教育研修、人事情報の開示」を積極的に行って、採用後どのような働き方ができるのか、どのように成長できるのかを学生にイメージを持ってもらうような施策
・懇親会の実施や、社員が学生をフォローするなど関係性を高める施策
・地域の大学やゼミへの個別訪問による関係構築

など。

一方、充足率の少ない中小企業では、こうした施策を取っていても1つか2つの場合が多いとのこと。

ここから読み取れるのは、粘着的な人手不足の時代に、これまでと同じような採用の仕方ではますます人手不足が深刻になってしまうこと。なんらかの戦略を持って施策を組み合わせてアピールする必要性があること。

さらに持論を加えるなら、せっかく採用した人材が定着し、力を発揮してもらうことに本腰を入れて乗り出すことが今、求められていると思っています。

採用のために行う「労働時間や教育研修、人事情報の開示」という施策も、元をたどれば今いる従業員が定着し、力を発揮してもらうため施策だとも言えます。今いる従業員がイキイキと働いてないところでは、せっかく採用した人材も離脱してしまう可能性があります。
そうした意味で、採用と人材の定着はワンセットで考え、中期的に腰を据えて取り組みながら、広く発信していく必要があります。

高齢者雇用状況調査に見る、長く働ける仕組みづくり

もう1つの記事は、厚生労働省が発表した2024年の高齢者雇用状況調査です。
70歳まで働ける企業の割合は前年比2・2ポイント増の31・9%となり、 中小企業を中心に、定年延長や継続雇用の導入が進んでいるとしています。

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、65歳までの雇用の確保を目的として、「定年制の廃止」 や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措 置)を講じるよう、企業に義務付けているところですが、

人手不足で長く働ける就業制度を充実させたい企業が増えていることを示しています。

令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果より

従業員規模別では、300人以下の企業で70歳までの雇用機会を確保しているのは32.4%、301人以上の企業では25.5%と、前述の採用難を補うように取り組みが進んでいるように思います。

令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果より

本記事のまとめとしては、長期かつ粘着的な人手不足の時代に、
繰り返しになりますが、

・自社の状況を学生がイメージできるよう、積極的に労働環境や教育機会、働くことに関する制度などの情報を開示する、複数の施策と組み合わせる
そのためにも、
・今いる従業員が働きやすく、成長できる環境を整えて人材の定着を図る。
・せっかく採用した人材に長く力を発揮してもらえる仕組みを整える。

じっくりと腰を据えて、採用担当者だけ頑張るのではなく、人事と現場が一緒になって人材定着をワンセットで取り組む戦略性が今、求められていると感じます。

社員の定着・育成・組織改善支援
クリエイトミライ

キャリアコンサルタント/HRアセスメント診断士
伊豆倉知美

info@create-mirai.net


関連記事:




いいなと思ったら応援しよう!