少女の風船

風に吹かれながら

高く高く空を昇っていく

僕は中身が空っぽだから

ただこうしているだけで

あの広大な青い天井へと

簡単に辿り着いてしまうだろう

だけど地上を見下ろす遥か上空で

力尽きてしまったその時は

きっと何も残らない

ただ一人誰もいない空の果てで

パッと姿を消してしまうのだ

せめて地上を離れる時に

泣きながら手を伸ばして

僕を見送ったあの子の中には

残るといいな

僕はあの子を覚えていよう

陽気の良い冬の空へと消えた

少女の風船は、高く広い空に混ざって

鮮やかな青色へと溶けていった


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